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将来社会保険料が金融資産に応じて高くなる?

日本が世界に誇れるものの1つが「社会保険制度」ですが、
高齢化による医療費の増大で社会保険料負担が年々重くなっています。

社会保険制度を維持するために、将来的には社会保険料が金融資産に応じて
高くなる仕組みの導入が検討されています。

社会保険料が金融資産に応じて高くなる?

現状ではまだ検討段階ではありますが、
将来的に社会保険料が金融資産に応じて高くなる可能性があるのです。

日本の社会保険制度は、
「現役世代が高齢者世代を支える」というのが基本的な仕組みです。

現役世代が納めている社会保険料は、現役世代が高齢者になった時の
備えではなく、現在の高齢者世代のために使われています。

現在の高齢者世代が現役だった頃は、
当時の高齢者世代のために社会保険料を納めていました。

なので、今の現役世代も高齢者になれば、その時の現役世代が納める
社会保険料で医療費を補ってもらうことになるのです。

我々氷河期世代より少し上の世代まではそれなりに人口ボリュームがあり、
現役世代の社会保険料負担はそれほど大きくありませんでした。

ところが少子化が進んだことで、
氷河期世代より下の世代は人口が減っていく一方です。

少子化で現役世代は減っているのに高齢化で高齢者は増えているので、
現役世代の社会保険料負担が年々重くなるわけです。

収入がなかなか増えない中でこれ以上現役世代の社会保険料が増やせないため、
金融資産に応じて社会保険料を決める仕組みが検討されています。

ただ今年来年から始まるといったことはなく、2028年度までに道筋を決めるとの
ことですから、早くて開始されるのは2030年以降と考えられます。

現役世代1人で高齢者1人を支える時代に

社会保険制度は現役世代が高齢者を支える仕組みですが、
現状では現役世代1人で高齢者1人を支える状況になりつつあるのです。

1960年代までは、
65歳以上の高齢者1人を64歳以下の現役世代が10人で支えていました。

その後は少子化によって支える現役世代の人数が減っていき、バブル崩壊後の
1995年には5人を切って4.8人で1人の高齢者を支えるようになります。

その後も高齢者に対する現役世代の人数が減っており、
2021年時点では現役世代2.1人で高齢者1人を支える状況になっています。

40年後の2065年には現役世代1.3人で高齢者1人を支えるようになる、
と内閣府が試算しているのです。
(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_1.html#:~:text=%E4%BB%8A%E5%BE%8C%E3%80%81%E9%AB%98%E9%BD%A2%E5%8C%96%E7%8E%87%E3%81%AF,1%EF%BC%8D1%EF%BC%8D2%EF%BC%89%E3%80%82)

年齢を重ねるほど病院のお世話になる機会が多くなり、
年間に支払う医療費も多額になります。

高齢者1人分の医療費を現役世代1人で支えるようになるわけですから、
現状の社会保険料負担では当然足りません。

だからと言って社会保険料負担をこれ以上大きくすることもできないので、
金融資産に応じた社会保険料負担を検討しているわけです。

要するに、平均的な収入の庶民からはこれ以上取れないので、
多額の金融資産を持っているお金持ちから取ろうという算段です。

社会保険料を金融資産に応じて高くするのは難しい?

金融資産に応じた社会保険料負担が検討されていますが、
現状では実施のハードルはかなり高いと言えます。

個人の金融資産を元に社会保険料を算出するには、当然ですが国や自治体が
個人の金融資産額を1円単位まで細かく把握しておかないといけません。

現状では国や自治体は個人の収入は細かく把握しているものの、
金融資産までは把握できていません。

個人の金融資産まで1円単位で把握するには、
マイナンバーと個人が所有するすべての金融機関口座の紐づけが必須です。

マイナンバーカードを持っていなくても、お年寄りから今日生まれた赤ちゃんまで
日本国民全員にマイナンバーは割り当てられています。

現在でもマイナンバーと金融機関口座の紐づけはできますがあくまで任意であり、
2024年時点でも4%程度に留まっています。
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0212Z0S4A700C2000000/)

またマイナンバーと金融機関口座の紐づけ必須化に反対する人の割合が
50%を超えている、という朝日新聞の調査結果もあるのです。
(https://www.nli-research.co.jp/files/topics/74125_ext_15_19.jpg?site=nli)

そもそも現状ではマイナンバーと紐づけられる口座は1つまでで、
基本的には給付金など公金受取を目的とした紐づけです。

公金受取を目的した紐づけでも4%程度に留まっているわけですから、
そもそもマイナンバーと金融機関口座の紐づけに消極的な人が多いです。

金融資産把握のためにマイナンバーと金融機関口座を紐づけるとなると、
国民の反発が大きくなるのは目に見えています。

マイナンバーとすべての金融機関口座の紐づけが難しい現状では、
金融資産に応じて社会保険料を決めるのはかなり難しいです。

マイナンバーと金融機関口座の紐づけても資産は把握されない?

公金受取を目的としたマイナンバーと金融機関口座の紐づけでは、
国や自治体が個人の資産を把握することはできません。

「できない」と言うより「しない」と言った方が正確かもしれないです。

公金受取を目的とした紐づけでは、あくまで給付金などの振込先としての
口座情報がマイナンバーと紐づけられているだけです。

マイナンバーに紐づけられた口座情報を通して残高まで把握することは、
国や自治体はしないことになっています。
(仕組み的にはできるかもしれない)

資産が把握されるからマイナンバーと口座の紐づけはしない、
という人も居るかもしれません。

しかし公金受取目的では資産が把握されることはないので、
給付金などを迅速に受け取れるので紐づけしておいた方が便利です。

実際に私は公金受取でマイナンバーと口座を紐づけていますが、
数年前の10万円給付の際は簡単な手続きで受け取れました。
(自治体から送られてきた書類を送り返しただけ)

2024年から「預貯金口座付番制度」によるマイナンバーと口座の紐づけが
できるようになりました。

こちらは公金受取目的と違って、
口座番号や名義だけでなく残高など口座の中身まで紐づけられます。

資産を把握する目的ではなく、災害などで通帳を失くしたり相続が発生した時に
マイナンバーで手続きができるようにするための制度です。

預貯金口座付番制度での紐づけをすると資産を把握される恐れがありますが、
公金受取目的なら資産を把握される心配はありません。

社会保険料を金融資産に応じて高くする制度は現役世代と無関係?

金融資産で社会保険料を決めると聞いて、
「また社会保険料を絞り取られるのか」と憤った現役世代も少なくないはずです。

ただ現在検討されている金融資産に応じて社会保険料を決める仕組みは、
現役世代とは直接関係はありません。

国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険について、
金融資産で社会保険料を決めるという仕組みです。

実は現在も国保・後期高齢者医療制度・介護保険の保険料は、
一部金融所得が賦課の対象となっています。

現状では「金融所得を確定申告した場合」に限られており、
確定申告していない場合は金融所得が社会保険料の対象とはなりません。

所得額は同じなのに確定申告の有無で社会保険料が変わるのはおかしいので、
確定申告に関係なく金融資産を対象にしようとしています。

要するに、退職して事業所得は少ないけど金融所得でお金をたくさん持っている
高齢者に保険料をもっと負担してもらおうというわけです。

あくまで国保や後期高齢者医療制度の加入者が対象で、
健保加入のビジネスパーソンには関係の無い話なのです。

投資しない方が良いというわけではない

金融資産が社会保険料の対象になるなら、
投資はせずにタンス預金した方が良いと思うかもしれません。

もし社会保険料が金融資産に応じて決められるようになると、
投資で利益が出ると社会保険料が高くなるのは事実です。

ただ、景気が良くないと言っても物価は徐々に上がっていて、
相対的に現金の価値が下がっています。

投資せずにタンスに現金をしまい込んでいるだけでは、
実質的な現金の価値が目減りしてしまうのです。

例えば、これまで1万円で買えていたものが2万円出さないと買えなくなったと
すると、現金の価値がこれまでの半分に下がってしまったことになります。

価値が下がるのを黙って見ているだけなら、
投資して少しでも増やした方が社会保険料が高くなったとしても得です。

別にすべての金融資産が社会保険料として持っていかれるわけではなく、
金融所得によって社会保険料が変わるだけです。

投資で儲けると社会保険料が高くなりますが微々たるものですから、
余ったお金はタンス預金より投資に回す方が良いでしょう。

とは言っても投資にはリスクが付き物ですから、
NISAなど比較的リスクの少ないサービスを利用するのがおすすめです。

高齢者の窓口負担を増やすことも検討されている

金融資産で社会保険料を決めることとは別に、高齢者の「窓口負担」を増やすことも検討されています。

現行制度でも現役世代並みに所得のある高齢者は、
医療機関での診察・治療にかかる医療費の負担割合は現役世代と同じ3割です。

しかし高齢者は退職して所得が現役世代より少なくなるのが一般的です。

年金生活など高齢者として一般的な所得額の場合、医療機関窓口での医療費は
 ・75歳以上 1割
 ・70~74歳 2割
となっています。
(75歳以上でも一定の所得があると2割)

現役世代よりも高齢者の方が病院にかかる機会が多く、
医療費の支払いも多くなります。

にも関わらず高齢者は窓口負担が現役世代よりも少ないので、
「受益者負担」の観点から行くと不公平感があるのです。

そこで高齢者も窓口負担割合を一律3割にする、
もしくは75歳以上も2割負担にするといったことが検討されています。

高齢者の窓口負担割合を増やすことは現役世代にも影響がある

高齢者の窓口負担割合を増やすことで社会保険料が上がらないなら、
現役世代としてはありがたいと感じます。

しかし高齢者の窓口負担割合を増やすことは、
現役世代にまったく影響がないわけではありません。

私も含めた現役世代が退職して高齢者になった時、優遇が受けられずに
現役世代の時と同じ割合で医療費を負担しないといけなくなります。

20代30代は予防接種や健康診断以外でお医者さんの顔を見ることはほとんどなく、
自身にかかる年間の医療費は微々たるものだったりします。

実際に私は40歳になるまでは風邪をひくこともほとんどありませんでしたし、
予防接種や健康診断以外で病院に行くのは数年に一度でした。

ところが40歳を超えると色々と体に不調が出始めて、
ついには入院まで経験することになりました。

これまでに不摂生を重ねてきたこともありますが、40代でこれですから
高齢者になったらかなりの頻度で病院に通わないといけなくなるのは必至です。

高齢者で収入が減っているのに窓口負担が3割で医療費負担が増えると、
必然的に生活が苦しくなります。

若い時は「医療費を多く使うのは高齢者だから高齢者が負担すれば良い」と
思いがちです。

しかし年齢を重ねて病院のお世話になる機会が増えてくると、
高齢者の負担は少しぐらい軽くても良いと思えてきます。

まとめ

現行の社会保険制度は崩壊の危機に瀕しており、危機を脱する方法として
社会保険料を金融資産に応じて高くする案が検討されています。

まだ検討段階で課題も多くすぐに実施されることはないですし、
国保加入者や高齢者が対象で会社勤めの給与所得者には関係がありません。

高齢者の負担が増えることで、我々現役世代の社会保険料負担がこれ以上
増えないのはありがたいことです。

ただ自分が高齢者となった時のことを考えると、
高齢者の負担はあまり増やしてほしくないとも思いますね。

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この記事を書いた人

はじめまして、こんにちは。
HN:ミカエルといいます。
1978年生まれ、40代独身の中小企業サラリーマンです。ずっと平社員、つまり「ヒラ」です。

もともと理系ですが、プログラミングなどの専門スキルはなく、PCも人並みに使える程度。性格は内向的で、人前で話すのは大の苦手。そんな自分なりに頑張ってきたつもりですが、気づけば40代になっても平社員のまま。悔しさや惨めさを感じたこともありましたが、これからは気持ちを切り替え、「仕事は仕事」と割り切りながら、健康に気をつけつつ、投資や副業で新しい道を模索していこうと考えています。


「ヒラサラ」について
「ヒラサラ」は、意識低めの40代平社員が、会社や仕事に振り回されず、無理なく生きるためのヒントを発信するブログです。

社会では「出世しないとダメ」「頑張らないと負け組」といった風潮が根強いですが、私は「優秀じゃないと受け入れられない社会」から降りる選択肢もアリだと考えています。

このブログでは、
✅ 仕事は仕事と割り切る考え方
✅ 健康を維持しながら無理なく働く方法
✅ 副業・投資を活用して人生の選択肢を広げるヒント
✅ 会社に依存せず、個人としての価値を高める方法

などを、リアルな経験を交えながら発信していきます。

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