なかなか欲しい家電が見つからない中、海外製品を取り扱っている
ディープなサイトを覗くと「Zanussi(ザヌッシ)」というメーカーの製品を見つけました。
別に欲しくなったわけではないですが、
まったく知らないメーカーなのでZanussiについて調べてみます。
Zanussi(ザヌッシ)はどこの国のメーカー?
Zanussiについて調べてみると、
「イタリア」の家電メーカーであることがわかりました。
ローマ字感覚で読むと「ザヌッシ」となりますが、
「ザヌーシ」の方がイタリア語の発音に近いようです。
日本ではほとんど馴染みがないものの、
創業は1916年で100年以上の歴史を持っています。
個人経営の小さな工房からスタートして、
創業当初は家庭用ストーブと薪オーブンを作っていたとのことです。
1946年に創業者が亡くなって代替わりすると、
従業員数が3桁の近代的な企業へと生まれ変わります。
1951年にはガスと電気の複合オーブン、
さらにガス調理器の市場にも参入しました。
1958年には洗濯機、1959年には冷蔵庫、1960年にはテレビと
1年ごとに新しい商品を発売していきます。
1960年代中頃から1970年代中頃までの約10年がZanussiにとっての最盛期で、
・ベッキ
・カストル
・ゾッパ
・トリプレックス
というブランドを次々に買収します。
この10年の間にZanussiはイタリア国内の家電シェアの25%を獲得、
さらにヨーロッパ全体の家電売上の1割を占めるトップクラス家電メーカーでした。
エレクトロラックスによる買収
イタリア国内に留まらずヨーロッパでもトップクラスとなったZanussiですが、
1970年代後半になると状況が一変します。
1968年にZanussiを大きく成長させた創業者の息子が亡くなり、
1970年代に入るとイタリア全体の経済状況が悪化します。
イタリアの経済状況の悪化によって、
Zanussiが総合家電メーカーとして多角化したことが裏目に出たのです。
1970年代後半に深刻な財政危機に陥いると、当時のZanussi首脳陣は
自主再建を断念して1984年に「エレクトロラックス」に買収されました。
以降はエレクトロラックスの家電ブランドとしてZanussiの名前は残り、
2024年現在もZanussiブランドの家電が販売されています。
Zanussiの日本での知名度が極端に低い理由
現在はエレクトロラックスのブランドになったとは言え、1960年代から70年代に
かけてZanussiはヨーロッパでも指折りの家電メーカーでした。
ヨーロッパでも指折りの家電メーカーなら、現在はあまり見かけなくなっても
「そんなメーカーあったなぁ」となっても良さそうなものですよね。
にも関わらずZanussiが日本でほとんど知られていないのは、現在は
全くと言って良いほど日本国内でZanussi製品が取り扱われていないからです。
大手家電量販店の店舗はもちろん通販サイトでも取り扱いがありませんし、Amazonや楽天市場といった大手通販サイトでも販売されていません。
「Techinn」など主に海外メーカーの製品を取り扱っている通販サイトで、
Zanussi製品が購入できるぐらいとなっています。
「どうしてもZanussiでないとダメ」という製品があるならともかく、
大体の家電は国内で販売されているもので事足ります。
わざわざZanussi製品を求めて海外の通販サイトまでチェックする人が少ないため、
Zanussiの日本での知名度が極端に低くなっているわけです。
日本はイタリアから機械類を輸入していない
Zanussiが日本でほとんど知られていない理由としてもう1つ、
「日本はイタリアから機械類を輸入していないこと」が挙げられます。
外務省のデータによると、
イタリアの主要な貿易相手国はドイツやイタリアなどヨーロッパ諸国となっています。
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/italy/data.html)
ヨーロッパ以外はアメリカと中国ぐらいで、
日本はイタリアの主要な貿易相手国になっていないのです。
日本の貿易総額が輸出入合わせて約210兆円なのに対して、
イタリアとの貿易額は輸出入合わせても1兆7000億円程度しかありません。
またイタリアから日本へ輸入される主要品目は
・服飾
・皮革
・アクセサリー
・飲食料品
などです。
日本で見かけるイタリア製のモノと言えば、やはり
・グッチ
・フェンディ
・ブルガリ
・プラダ
・ヴェルサーチ
など服飾やアクセサリー関係のハイブランドですよね。
それに高級な革製品に使われている皮革だったり、
チーズやワインといった飲食物もイタリア製のイメージがあります。
日本で見かけるイタリアの機械類は
・フェラーリ
・マセラティ
・ランボルギーニ
・フィアット
・アルファロメオ
などの高級車ぐらいでしょうか。
イタリアの家電自体を日本でほとんど見かけませんから、かつてヨーロッパで
トップメーカーであったとしてもZanussiの知名度が日本では極端に低いわけです。
Zanussiの家電
日本ではZanussiの家電をほとんど見かけませんが、
ヨーロッパでは現在も一定の人気があるようです。
Zanussiの公式サイトによると、
・オーブン(電気、スチーム)
・コンロ(ガス、電気)
・電子レンジ
・レンジフード
・食洗機
・冷蔵庫、冷凍庫
・洗濯機、乾燥機
などを製造販売しています。
(https://www.zanussi.co.uk/laundry/laundry/washing-machines/8-kg-washing-machine/zwf842c3pw/)
かつてはテレビも作っていたとのことですが、
現在はキッチン家電と洗濯機に特化しているようです。
価格としては、日本で販売されている有名メーカーの家電と同じぐらいか
少し安いぐらいとなっています。
例えば容量が8kgのZanussiの洗濯機が約10万円、
60cm幅の食洗機が約8万円で販売されています。
日本で販売されている8kgの洗濯機は、10万円以下ので販売されているものも
ありますが、有名メーカーだと大体10万円前後です。
60cm幅の食洗機も日本だと大体10万円前後ですから、
Zanussiの食洗機は日本で販売されている食洗機より少し安めです。
ただし2024年10月現在の円相場での価格で、
円安が進むともっと高くなりますし、円高になるともっと安くなります。
Zanussiの家電は日本で使えない?
食洗機などは少し安めということもあって、ひょっとしたらZanussiの家電の購入を
検討しても良いと思った人も居るかもしれません。
しかし注意してもらいたいのは、
Zanussiの家電は日本で使えない可能性があることです。
Zanussiの家電は日本向けではなくヨーロッパ向けに作っていますから、
「ヨーロッパ仕様」となっています。
日本とヨーロッパでは電気事情が違っており、「電圧」と「プラグの形状」が違います。
日本の電圧は100Vですが、イタリアを始めとしたヨーロッパ諸国の電圧は
220-240Vで日本より高いのです。
100V対応の日本の家電をヨーロッパで使うのは良いですが、
220-240V対応のヨーロッパの家電を日本で使うのは問題アリです。
機器が対応しているよりも低い電圧で使うと、
十分な性能を発揮できない上に故障の原因となってしまいます。
昇圧変圧器を設置してヨーロッパの家電に電圧を合わせるか、
家電のパーツを日本の電圧に合うように交換することになります。
昇圧変圧器の設置には100万円単位の費用がかかりますし、
パーツ交換にも少なくとも数万円は必要です。
また日本とヨーロッパではプラグの形状が違っており、
そのままだと日本の家庭用コンセントからヨーロッパの家電に給電できません。
日本のプラグは2本の平行な板状ですが、
ヨーロッパのプラグは2本の平行な棒状です。
ヨーロッパの家電を日本の家庭用コンセントに繋ぐには、
家電量販店などで数百円で手に入る変換プラグが必要となります。
家電や家電の設置以外に費用をかけるほどの価値がZanussiの家電にあるとは、
正直なところ思えません。
日本仕様の家電が販売されるならともかく、
現状では個人輸入してまでZanussiの家電を使うことはおすすめできないです。
西日本では電気の周波数にも注意
Zanussiの家電に興味を持ったのが西日本に住んでいる人の場合は、
電気の「周波数」にも注意しないといけません。
日本は2種類の電気の周波数が使われているという世界でも珍しい国です。
新潟県の糸魚川と静岡県の富士川を境として、
東側では50Hz、西側では60Hzの電気が使われています。
(新潟県の一部など混在している地域もある)
ヨーロッパの電気の周波数は50Hzですから、
東日本でZanussiの家電を使う場合は周波数の問題はありません。
ところが西日本で使う場合は、電気の周波数が違うので注意のが必要なのです。
50Hz対応の家電を60Hzで使用すると、
モーターの負担が大きくなりすぎて故障の原因となる上に発火のリスクもあります。
パーツの交換で対応できますが、電圧やプラグの問題と同じで、
そこまでお金をかける価値がZanussiの家電にあるとは思えません。
ちなみに、かつては東日本と西日本を跨いで引っ越す場合には、
日本向けの家電であって対応周波数の違いから買い替えが必要でした。
しかし現在の日本仕様の家電は50Hz・60Hzのどちらにも対応しているものが
ほとんどで、そのままで東日本・西日本どちらでも使用可能です。
エレクトロラックスはどこの国のメーカー?
現在Zanussiを傘下に収めている「エレクトロラックス」は、
スウェーデンの家電メーカーです。
Zanussiも100年以上の歴史がありますが、エレクトロラックスは1910年創業で
110年以上とZanussi以上の長い歴史を持っています。
日本法人があって日本向けの製品も作っており、
私個人としてはエレクトロラックスと言えば「掃除機」のイメージが強いです。
以前、自分の車を掃除するのに購入したのがエレクトロラックスの
ハンディクリーナーでした。
ハンディクリーナー以外にも、
コードレス掃除機やロボット掃除機なども製造販売しています。
掃除機以外だと
・空気清浄機
・除湿器
・IHクッキングヒーター
・食洗機
なども作っています。
掃除機は大手家電量販店の店舗でも販売されていますし、
通販サイトでも購入可能です。
実際に私はハンディクリーナーを家電量販店で買いましたし、実家の掃除機を
買い替える際も家電量販店でエレクトロラックスの掃除機を見かけました。
(店員に勧められたので覚えている)
Zanussiの家電を日本で使うのは正直おすすめできませんが、
エレクトロラックスの家電は日本向けですからおすすめできます。
まとめ
Zanussiはイタリアの家電メーカーで、現在はスウェーデンの家電メーカーである
エレクトロラックス傘下の家電ブランドとなっています。
Zanussiの家電は基本的にヨーロッパ向けで、
そのままだと日本では使えないのであまりおすすめできません。
親会社のエレクトロラックスは日本法人も持っていて、
日本向けの製品も作っています。
Zanussiの家電を検討するのであれば、
エレクトロラックスの家電を検討した方が良いと私は思いますよ。