先日同僚と家電について話していると、
「Fisher&Paykel(フィッシャー&パイケル)というメーカーの話題が出ました。
私は初めて聞く名前だったため話題についていけなかったので、
Fisher&Paykelについて調べてみます。
Fisher&Paykelはどこの国のメーカー?
Fisher&Paykelについて調べてみると、
ニュージーランドの家電メーカーであることがわかりました。
創業は1934年と古く、ニュージーランドではどちらかと言うと
「高級家電メーカー」として知られているようです。
Fisher&Paykelは技術力が高く、電子制御ブラシレス直流モーターを搭載した
洗濯機を1985年に世界で初めて発売しています。
(https://www.fisherpaykeltechnologies.com/knowledge-hub/direct-drive-washing-machines)
家電に搭載するモーターの開発を得意としており、ギアボックスとベルトが無い
洗濯機の実現を可能としたダイレクトドライブモーターのパイオニアでもあります。
Fisher&Paykelのダイレクトドライブモーターは現在でも世界トップクラスの品質で、
・ウォーターポンプ
・油圧ポンプ
・天井ファン
・工業用ミキサー
など工業機械にも使われているほどです。
ダイレクトドライブモーターによって
・コストの最適化
・効率化
・低騒音
・長寿命
が実現されたとのことですから、現在洗濯機などのモーターを使う家電が快適に
使えているのはFisher&Paykelのおかげなのかもしれませんね。
Fisher&Paykelは中国系企業?
Fisher&Paykelはニュージーランドの家電メーカーですが、
中国の「ハイアール」傘下となっています。
2004年にはアメリカの「Dynamic Cooking Systems」、2006年にはイタリアの
「Elba」を買収するなど2010年代初頭にかけて大きく成長しました。
ニュージーランド・オーストラリアはもちろん、タイや中国、イタリア、メキシコなど
50か国で事業を展開するグローバル企業となったのです。
ちなみに、この頃には日本にもFisher&Paykelは進出しており、
住宅展示場のモデルハウスなどで使われていました。
ところが2010年代に入ると中国メーカーが台頭、
価格競争に耐えきれずに2012年に中国のハイアールに買収されます。
現在はハイアール傘下として、
ニュージーランド・オーストラリアを中心に家電を販売しています。
ハイアールはどんなメーカー?
ハイアールは1984年に中国の青島で冷蔵庫メーカーとして創業、
現在も本社を青島を置いている中国の家電メーカーです。
1991年にドイツの建設機械メーカーで家電を作っている「リープヘル」と
技術提携を結び、1992年に社名を現在のハイアールに変更します。
2002年には日本の「三洋電機」と合弁会社を設立、
当初は三洋電機の冷蔵庫や洗濯機を輸入して中国で販売していました。
2007年には三洋電機の冷蔵庫の製造をハイアールが請け負うようになり、
2011年には三洋電機の白物家電部門をハイアールが買収しました。
三洋電機の洗濯機ブランドである「AQUA」はハイアールが継承、
2024年現在もハイアールがAQUAブランドの洗濯機を製造販売しています。
その後三洋電機は無くなってしまいましたから、言い方は悪いですが、
三洋電機から見ると「庇を貸して母屋を取られた」といった感じですね。
2008年には冷蔵庫、2011年には洗濯機の世界シェア1位をハイアールが
獲得しており、2023年までそれぞれ15年間・14年間その座を守り続けています。
(https://haier.co.jp/story/no-1-global-market-share-for-15-consecutive-years/)
冷凍庫やワインセラーの世界シェアも1位で、
白物家電全体の世界シェアでもハイアールが1位です。
Fisher&Paykelは洗濯機などモーターを使う家電に強みがあります。
ハイアールが冷蔵庫や洗濯機など白物家電の世界シェア1位を獲得したのには、
Fisher&Paykelも少なからず貢献しているのではないでしょうか。
ハイアールは評判があまり良くない?
白物家電の世界シェア1位で、日本国内でもトップクラスの販売実績がある
ハイアールですが、「あまり評判が良くない」という話もちらほら聞かれます。
世界シェア1位なので単純に販売している家電の数が多く、
それに比例してクレームの数が増えるのは仕方ありません。
ただでさえ海外メーカーに対するクレームが多い中、
ハイアールはとりわけクレームの数が多いと言われているのです。
(https://news.livedoor.com/article/detail/9405573/)
初期不良で交換してもらった、
購入から1年ほどで冷蔵庫から変な音が聞こえるようになったなどの話もあります。
またハイアールの公式サイトのトップページには、
2件のリコール情報が掲載されています。
(https://www.haier.com/jp/)
初期不良や短期間での故障はハイアールに限ったことではないものの、
他メーカーに比べると少し多いという印象です。
ハイアールの家電は価格が安く、価格の割に機能性が高いことから日本でも人気があります。
しかしクレームが多いなどネガティブな情報も少なからず聞かれますから、
ハイアール製品を購入する際は慎重に検討した方が良いかもしれませんね。
日本でFisher&Paykelの知名度が低い理由
日本でFisher&Paykelの知名度が低い理由は、何と言っても
大手家電量販店などでFisher&Paykel製品が取り扱われていないことです。
はっきりした年代はわかりませんが、モデルハウスなどで使われていたことから
2010年ぐらいまでは日本でもFisher&Paykel製品が販売されていたようです。
恐らくハイアール傘下となったことで事業規模が縮小、
日本市場から撤退したのではないでしょうか。
海外メーカーの製品を取り扱っている通販サイトで、
日本からFisher&Paykel製品を購入することは可能です。
しかし大手家電量販店での取り扱いがありませんから、
Fisher&Paykel製品を目にする機会が少なくて知名度も低くなっているわけです。
もう1つの理由は、「そもそも日本がニュージーランドから機械類を
輸入していないこと」が挙げられます。
外務省の資料によると、ニュージーランドにとって日本は主要貿易国の1つで、
輸入・輸出ともに全体の5%程度の割合となっています。
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nz/data.html)
ただ、日本からニュージーランドへは機械類を輸出しているものの、
ニュージーランドから日本へは機械類をほとんど輸出してません。
ニュージーランドから日本への輸出品は「乳製品」「食肉」「果物」がメインで、
この3品目だけで40%を超える割合となっています。
そもそも日本はニュージーランドから機械類を輸入していないので、
Fisher&Paykelなどの家電メーカーの知名度も極端に低いわけです。
Fisher&Paykel Healthcareとは関係ない?
医療に従事している方は、Fisher&Paykelと言えば
「Fisher&Paykel Healthcare」が真っ先に思い浮かぶかもしれません。
医療用の呼吸器などを作っているメーカーで、日本法人もあって
日本の医療機関でもFisher&Paykel Healthcareの呼吸器などが使われています。
家電メーカーのFisher&PaykelとFisher&Paykel Healthcareは
元々は同じ会社でした。
オークランドの医師から相談を受けて、
Fisher&Paykelは人工呼吸器用加湿器を開発します。
呼吸器用加湿器だけでなく患者ケア製品を本格的に取り扱うようになったことで、
医療部門をFisher&Paykel Healthcareとして分社化したのです。
Fisher&Paykel Healthcareは、独立企業としてオーストラリアとニュージーランドの
証券取引所に株式を上場しています。
ハイアール傘下となった家電メーカーであるFisher&Paykelとは、
現在は直接的な関係は無くなっているようです。
Fisher&Paykelの製品
Fisher&Paykelは洗濯機が主力製品ですが、洗濯機以外にも
・冷蔵庫
・食洗機
・ビルトインオーブン
・コンロ(ガス、電気)
なども取り扱っています。
日本の家電量販店などでは販売されていませんが、Fisher&Paykelの
公式オンラインストアや海外メーカー製品を扱う通販サイトで購入可能です。
デザインは比較的オーソドックスですが、
冷蔵庫はドアが木目調になっているビルトインタイプもあります。
キッチンの壁や棚と合わせることで、
そこに冷蔵庫があるということがわからなくなるデザインとなっています。
また、食洗機は海外メーカーでは珍しい「引き出し式」です。
海外では食洗機は「フロントオープン式」がメインですが、日本では引き出し式が
メインなのでFisher&Paykelの食洗機は日本人にとっては使いやすいです。
日本の家電メーカーの食洗機は、
日本の住宅事情を考慮して容量の少ない引き出し式のものが多くなっています。
Fisher&Paykelの食洗機は、引き出し式で二段になっているモデルもあり、
日本の家電メーカーの食洗機に比べると大容量です。
少し大きめのキッチンで、大容量の食洗器が欲しいと思っている人にはFisher&Paykelの食洗機はおすすめです。
ただFisher&Paykelは高級家電メーカーで、さらに円安の影響もあって、
製品によっては価格が高くなっていることがあります。
例えば、容量が350Lの冷蔵庫がFisher&Paykelでは一番安いものでも
日本円で約16万円です。
日本のメーカーの350L冷蔵庫は10万円前後で購入できますから、
Fisher&Paykelの冷蔵庫は少し高めです。
食洗機に関しては日本のメーカーと大体同じぐらいの価格で、
容量を考えるとFisher&Paykelの方が割安だったりします。
Fisher&Paykel製品は日本で使えない?
冷蔵庫や洗濯機、食洗機といったFisher&Paykel製品は、
そのままだと日本では使えません。
Fisher&Paykelは現状で日本に進出しておらず、
公式オンラインストアで販売されている製品も日本向けではありません。
ニュージーランド仕様になっているため、そのままだと日本では使えないのです。
まず日本とニュージーランドでは、
家庭用コンセントに供給されている電気の電圧が違います。
日本は100Vですがニュージーランドでは230-240Vで、
Fisher&Paykelの家電は当然230-240V対応となっています。
電圧の低い日本で高電圧対応のFisher&Paykelの家電を使うと、
本来の性能が発揮できない上に故障の原因となるのです。
日本でFisher&Paykelの家電を使おうと思ったら、
電圧を上げる昇圧変圧器(アップトランス)が必要です。
昇圧変圧器自体が数万円しますし設置には工事が必要ですから、
Fisher&Paykelの家電を使えるようにするだけでもかなりの費用がかかります。
また日本とニュージーランドではプラグの形状が違っており、
そのままだと日本の家庭用コンセントにFisher&Paykelの家電を繋げません。
日本のプラグは、差し込む部分が2本の板状で平行になっているAタイプです。
ニュージーランドのプラグは、
差し込む部分が板状なのは同じですが八の字型になっているOタイプです。
Fisher&Paykelの家電を日本の家庭用コンセントに繋ぐには、
家電量販店などで数百円程度で購入できる変換プラグが必要となります。
Fisher&Paykelの家電は西日本では使えない?
Fisher&Paykelの家電は、
昇圧変圧器や変換プラグを導入しても西日本では使えない可能性が高いです。
世界でも珍しいのですが、日本は東と西で電気の「周波数」が違っています。
新潟県の糸魚川と静岡県の富士川を境として、
東側では50Hz、西側では60Hzとなっているのです。
(一部混在している地域がある)
ニュージーランドの周波数は50Hzで、
Fisher&Paykelの家電も当然50Hzの周波数に対応しています。
50Hz対応の家電を60Hzの西日本で使うと、
故障する恐れが高い上に発火のリスクもあります。
インバーターを設置するか家電の部品を交換すれば使えないことはないですが、
かなりの費用が必要です。
電圧も違いますし、西日本では周波数も違いますから、
日本でFisher&Paykelの家電を使うのは現状ではあまりおすすめできません。
まとめ
Fisher&Paykelはニュージーランドの家電メーカーで、
現在は中国のハイアール傘下となっています。
かつては日本でもFisher&Paykel製品が取り扱われていたことがあったようですが、
2024年現在は家電量販店などでの取り扱いはありません。
公式オンラインストアや通販サイトで購入可能ですが、
電圧や周波数の違いからそのままでは日本で使えない可能性が高いです。
Fisher&Paykelの家電自体が少し高めですし、それを使えるようにするのにも
お金がかかりますから、正直あまりおすすめはできないですね。