家電を探しているのか珍しい家電メーカーを探しているのか分からなくなって
きましたが、また「Fagor(ファゴール)」という聞きなれないメーカーを見つけました。
Fagorはどこの国のメーカーで、どういった家電を作っているのか、
日本でも買えるのかなど詳しく見ていきましょう。
Fagorはどこの国のメーカー?
「Fagor(ファゴール)」はスペインの家電メーカーです、
と言うよりもスペインの家電メーカーでしたと言った方が正しいかもしれません。
1956年に設立された「ウルゴール」という工業協同組合がFagorの前身です。
スペインの事情がよく分からないのですが、どうやら法的な問題で企業としては
創業できずに協同組合の形になったとのことです。
設立直後は調理用や暖房用のストーブを作っていましたが、
すぐに家電製造を開始します。
1960年に組織の名称をウルゴールから現在のFagorに変更しました。
1980年代にはスペインでもトップクラスの家電メーカーとなり、1990年代に入ると
ポーランドやアイルランドなどの企業を買収して事業を拡大します。
2008年にはグループ全体で18億ユーロ、日本円にして3000億円近い売上高を
記録、ヨーロッパでも5本の指に入る家電メーカーとなったのです。
しかし2009年のギリシャ危機に端を発する欧州経済危機のあおりをまともに受け、
2012年には負債額が売上高と同程度にまで膨れ上がってしまいます。
2013年に負債の借り換えと財政支援要請に失敗、工場は操業停止となり、
2014年にFagorは正式に倒産しました。
家電ブランドとしてのFagorは同じスペインの家電メーカーに引き継がれ、
現在はポーランドの家電メーカー「アミカグループ」が引き継いでいます。
家電メーカーとしてのFagorは無くなりましたが、
アミカグループの一家電ブランドとしてFagorの名前は残っています。
Fagorは工業機械メーカーとして生き残っている
倒産する以前のFagorは「電子電気機器部門」と「産業機器部門」に
分かれていたとのことです。
倒産によって無くなったのは電子電気機器部門で、
産業機器部門のFagorは残っています。
(https://www.fagorautomation.com/ja)
「Fagor Automation」という名前で、工業機械そのものというよりは
工業機械を運用したり管理したりするシステムを作っているようです。
私のように、Fagorの家電を探しているとFagor Automationのページに
たどり着くこともあるので注意してください。
FANGORはまったくの別会社
Googleで「Fangor」と検索すると、
検索結果の最上部に「もしかして:fangor」と表示されることがあります。
余談ですが、
私は最初入力ミスをしたと思ってfongorの検索結果を一生懸命見ていました。
Fangorとは別にFANGOR(ファングァー)という中国の会社が存在しています。
ややこしいことに、FANGORはプロジェクターやポータブルBDプレーヤーなどを
作っている電機メーカーです。
私はFangorとFANGORを間違って検索したため、
ずっと中国のメーカーだと思って情報を調べていました。
いくら調べてもスペインに関することが出てこないので、
おかしいと思って見直してみたらFagorではなくFANGORだと気付きました。
FANGORの方は現在もちゃんと活動しており、
日本向けにもプロジェクターやポータブルBDプレーヤーを製造販売しています。
Fagorの日本での知名度が低い理由
2014年に倒産してしまったとは言え、少なくとも2010年の欧州経済危機までは
Fagorはヨーロッパでもトップクラスの家電メーカーでした。
日本は家電大国ではあるものの、
ミーレやケルヒャーなど日本でも人気のある家電ブランドはあります。
ヨーロッパでもトップクラスだったFagorの日本での知名度が極端に低いのは
なぜなのでしょうか?
Fagorの日本での知名度が低いのにはいくつか理由がありますが、
一番大きいのは「Fagorが日本市場に参入していないこと」です。
Fagorは生産拠点こそアフリカ大陸や中国に持っていましたが、
販売網はほぼヨーロッパに限定されています。
スペイン国外での売り上げの大半はフランスやドイツなどヨーロッパ諸国で、
ヨーロッパ以外ではそれほど売り上げがありませんでした。
日本にはFagorの日本法人も無ければ輸入代理店も無く、
日本市場にはほとんどFagor製品が入ってきていないのです。
「Techinn」のような海外メーカー製品を専門に取り扱う通販サイトなら、
日本からでもFagor製品を購入できます。
しかし家電量販店の店舗には並んでいませんし、Amazonや楽天市場といった
大手通販サイトでも日本向けにはFagor製品は販売されていません。
購入先がかなり限られていますから、
実際に日本で購入した人や使っている人が少なく、知名度も低いというわけです。
日本はスペインから機械類を輸入してない
そもそも日本はスペインから機械類をほとんど輸入してません。
外務省のデータによると、スペインの主な輸出品目は
・自動車
・自動車部品
・医薬品
・燃料、機械油
などとなっています。
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/spain/data.html)
日本との二国間の貿易に限っても
・豚肉
・自動車
・石油製品
がスペインから日本への主な輸出品です。
機械類はほとんどスペインから輸入されていませんから、Fagorに限らず
スペインの家電メーカーの製品を日本で見ることがほとんど無いわけです。
ちなみにスペインの主な輸出品に「自動車」が含まれていますが、
日本ではスペイン車ってあまり見ないですよね。
スペイン車をあまり見ないのも関わらず、スペインから輸入で自動車の割合が
大きくなっているのは「生産拠点がスペインにあるから」です。
スペインはEU圏内では比較的物価が安いことから、ドイツやフランス、イタリアなど
他のEU諸国の自動車メーカーがスペインに生産拠点を持っています。
EU以外にもアメリカのフォードもスペインに生産拠点がありますし、
日本の日産もかつてはスペインに生産拠点がありました。
EU諸国の自動車メーカーは比較的物価の安いスペインで自動車を作って、
他のEU諸国やアメリカ、日本に輸出しています。
またアメリカや日本の自動車メーカーは、
スペインで自動車を作ってEU諸国に輸出しているのです。
そのためスペインの自動車メーカー自体はそれほど有名ではありませんが、
自動車がスペインの主要輸出品目になっているわけです。
日本でもドイツやフランスのメーカーの車だと思っていたら、
実はスペインで作られたものだったということもあるかもしれません。
Fagorの家電にはどんなものがある?
家電量販店や大手通販サイトでは販売されていませんが、
海外製品専門の通販サイト「Techinn」ではFagorの家電が販売されています。
ざっと見た限りでは
・冷蔵庫
・食洗機
・クッキングIHヒーター
・ガスコンロ
・電子レンジ
・オーブン
などのキッチン家電がメインですね。
キッチン家電以外は、洗濯機とスチームアイロンぐらいとなっています。
価格は、容量が240Lの冷蔵庫が87,000円ぐらいで、
日本の大手メーカーとそれほど価格差はありません。
洗濯機は容量が8kgのもので4~5万円台となっており、
日本の大手メーカーだと8万円前後ですから、洗濯機はかなりお得です。
スペインの家電は「クセがすごい」?
Fagorの家電が当てはまるかどうか分かりませんが、
スペインで生活している日本人によるとスペインの家電はクセが強いらしいです。
(https://jopelog.com/mystery-appliances/)
例えばガスコンロ、
日本ではツマミを回したりスイッチを押したりすると自動で点火します。
ところがスペインのガスコンロは自動点火ではなく、ラ
イターやマッチなどを使って手動で点火しないといけません。
ツマミを回したりスイッチを押したりしてガスが出ているのを確認したら、
ライターやマッチの火を近づけて点火するのだそうです。
少し古い情報(と言っても数年前)なので現状は変わっているかもしれません。
私が子供の頃、
実家のガスコンロの調子が悪い時には同じように手動で点火していましたね。
火が付いた瞬間にはかなり勢いよく火が上がるので、
ガスコンロを手動点火する時は気を付けてください。
もう1つクセが強いスペインの家電が洗濯機です。
日本でも洗濯機の安全機能が強化されて、運転中は蓋が開かない、
チャイルドロックで運転中以外も蓋が開けられないようになっています。
スペインの洗濯機は運転中に蓋が開かないのは当然として、
洗濯が終わってもしばらく蓋が開かないのです。
どういう理由か分かりませんが、運転が終了してからもしくは電源を切ってから
5分経たないと蓋が開かない仕組みになっているらしいです。
ただこれも数年前の情報で、最新式のものは運転が終了したら
すぐに蓋が開けられるようになっているという情報もあります。
ひょっとしたらガスコンロや洗濯機以外にもクセの強い家電があるかもしれません。
スペインの家電を日本で使う場合やスペインに行った時に家電を使う場合は、
気を付けた方が良いですね。
Fagorの家電を買っても日本では使えない?
Techinnなど海外製品を専門に扱う通販サイトならFagorの家電が買えますが、
Fagorの家電を買ってもそのままだと日本では使えない可能性が高いです。
Techinnに出品されているFagor製品には「EU Plug」と表記されています。
EU Plugはプラグの形状を示しており、
EU Plugはそのままだと日本の家庭用コンセントには挿せません。
日本のプラグはUS Plugと言われるもので2本の板状の突起物が付いていますが、
EU Plugは2本の棒状の突起物が付いているのです。
家電量販店などで数百円程度で購入できる変換プラグを使わないと、
EU Plugの家電は日本では使えません。
対応電圧が違う
日本とスペインでは「電圧」が違うため、家電の対応電圧も違います。
日本の家庭用コンセントの電圧は100Vですが、スペインの電圧は220Vです。
Fagorの家電も220V対応となっており、日本の100Vのコンセントに繋いでも
十分な性能が発揮できませんし故障の原因ともなります。
プラグは変換プラグで対応できますが、
電圧の違いは昇圧変圧器の設置か製品のパーツ交換が必要です。
昇圧変圧器の設置には少なくとも数十万円単位の費用がかかりますし、
パーツ交換にかかる費用も決して安くありません。
家電の購入以外に費用をかけるほどFagorの家電に魅力があるとは、
正直なところ私には思えないです。
どうしてもFagorの家電を使いたいなら止めませんが、
素直に日本仕様の家電を購入する方が良いと思いますよ。
ちなみに海外メーカーの家電でも、家電量販店などで販売されているものは
日本仕様になっているので、そのままでも使えます。
まとめ
Fagorはかつて存在したスペインの家電メーカーで、
現在はポーランドの家電メーカーの一ブランドです。
日本ではスペインに家電のイメージはありませんが、スペインはEU内でも
比較的物価が安いので、ヨーロッパの家電メーカーが生産拠点を置いています。
日本で販売されているドイツやフランスのメーカーの家電は、
ひょっとしたらスペインで作られたものかもしれません。