ディープな通販サイトで家電を探っていると、
またまた日本ではほとんど馴染みがないメーカーを見つけました。
「Blaupunkt(ブラウプンクト)」というメーカーなのですが、
いったいどこの国のメーカーなのでしょうか?
Blaupunktはどこの国のメーカー?
Blaupunktは、ドイツのヒルデスハイムというところに本社がある
家電やオーディオ機器を作っているメーカーです。
1924年にドイツのベルリンで「Ideal(イデアル)」という社名で、
ラジオを製造するメーカーとして創業します。
(https://blaupunkt.com/company/success-story/)
今では自動車にラジオが搭載されているのは当たり前ですが、実は世界で初めて
カーラジオを開発(1932年)したのがBlaupunktの前身であるIdealなのです。
Idealの製品には品質を示す青いドットが記されていたに因み、
ドイツ語で「青い点」を意味するBlaupunktが商標として使われていました。
1938年には、商標に合わせてIdealからBlaupunktへと社名を変更します。
社名よりも商標の方が有名になって社名を商標に合わせるといったことが、
日本企業でも時折あります。
例えば、日本を代表する電機メーカーである「シャープ」、
元々の社名は「早川電機工業」でした。
シャープは早川電機のブランド名だったのですが、
ブランド名がユーザーに浸透したので社名をブランド名に合わせたのです。
現在はカーラジオなど自動車関連製品に加えて、
キッチン家電や充電池などバッテリー、電動自転車なども作っています。
日本ではBlaupunktはあまり馴染みがありませんが、
自動車関連製品は50か国以上、家電も17か国以上で販売されています。
カーライフが充実したのはBlaupunktのおかげ?
私も車を運転しますが、現代で車が快適に運転できるのは
Blaupunktのおかげと言っても良いぐらいです。
Blaupunktは自動車メーカーではありませんし自動車部品も作っていないので、
自動車自体の進化にはそれほど関与していません。
しかし世界で初めてカーラジオを開発しましたし、VHFカーラジオ要するにFMを
受信できるラジオを初めて作ったのもBlaupunktです。
高速道路を走っていると、
渋滞情報など「交通情報」がラジオで受信できる区間がありますよね。
この交通情報を受信できるカーラジオもBlaupunktが世界で初めて作りました。
余談ですが、私は仕事で平日の朝や昼間に車を運転することがあり、
その時にカーラジオを聞くんですよね。
平日の朝や昼のラジオって独特な雰囲気で好きなんですが、
それを車で聞けるのがBlaupunktのおかげとは知りませんでした。
カーラジオだけに留まらず、カーナビのルート案内システムの試作品を
初めて作ったのも、カーナビを初めて量産したのもBlaupunktです。
さらに2002年にはWebリンクナビシステムも初めて開発しています。
私は休日の暇な時(休日はいつも暇)に、車で遠出をすることがあります。
ナビに頼らず気の向くままドライブしたのは良いものの、
帰り道が分からなくなることが時折あるのです。
帰り道が分からなくなった時はナビを頼りにしているので、私が毎回ドライブで
無事に自宅に帰ってこられるのもBlaupunktのおかげだったんですね。
Blaupunkt製品を標準装備している欧州車もある
Blaupunktは、
「Velocity(ヴェロシティ)」という高性能カーオーディオブランドも展開しています。
このVelocityというブランドのカーオーディオは、
日本でも有名な欧州車に標準装備されていることがあるのです。
例えば
・アウディ
・フォルクスワーゲン
・ポルシェ
・ベンツ
・BMW
といったドイツ車はVelocityのカーオーディオを標準装備しています。
ドイツ車以外でも、イギリスのボクスホール、イタリアのフィアットなどが
標準装備しているカーオーディオもVelocityです。
アウディは「Audi Symphony lines」、フォルクスワーゲンだと「VW Gamma」といった
メーカーオリジナルブランドのカーオーディオが使われていたりします。
しかしブランド名が違うだけで、
中身はBlaupunktのVelocityというケースがほとんどです。
日本車の純正カーオーディオを作っているのは「JBL」や「BOSE」などで、
Blaupunktは日本で言うところのJBLやBOSEみたいな存在と言えます。
現在はアウレリウスグループ傘下
Blaupunktは現在アウレリウスグループというグループ企業の傘下に入っています。
以前は自動車部品や電動工具、家電などを作っている「BOSCH(ボッシュ)」の
完全子会社でした。
車やオーディオが好きな人には、
「BlaupunktはBOSCHのオーディオ部門」と思われていたこともあるようです。
しかし2008年12月にBOSCHがアウレリウスグループにBlaupunktの株式を
すべて売却し、現在はアウレリウスグループ傘下となっているのです。
アウレリウスグループについて色々と調べてみたのですが、
投資会社であるということぐらいしか詳しいことはわかりませんでした。
2005年設立ですが、
2024年現在は世界9か国にオフィスを構えるグローバル企業となっています。
公式サイトを見ても、かなりの数の企業やブランドを買収していることが分かります。
(https://www.aurelius-group.com/investments)
ただ公式サイトの投資案件の中にBlaupunktの名前がありませんから、
ひょっとするとBlaupunktは既に売却されているのかもしれません。
投資会社と言えば、業績の落ち込んでいる企業やブランドを買収・再建して
高値で転売する、というのが私の勝手なイメージです。
再建に多少時間がかかることもあるでしょうが、
結構短期間で転売している印象が強いです。
Blaupunktがアウレリウスグループに売却されたのが2008年ですから、
投資会社の性質を考えると既に売却されていることも十分にありえますね。
ドイツ経済を支えた家電産業
Blaupunktはラジオメーカーとしてスタートし、
カーラジオやナビシステムなど自動車関連製品を多く作ってきました。
しかし同時に
・オーブン
・スチームクッカー
・電子レンジ
・ウォーミングドロワー
・コンロ
・食洗機
・冷蔵庫
などのキッチン家電、洗濯機などの生活家電も作っています。
ドイツと言えばビールやソーセージなど飲食物、ベンツに代表される
自動車などの印象も強いですが、実は「家電大国」でもあるのです。
日本が大正末期から昭和初期だった1920年代に、
ドイツでは本格的な電化製品が作られ始めます。
当初は高級品だったので一般的には普及しませんでしたが、
先の大戦後の1950~1960年代にかけて一般的にも電化製品が普及します。
この1950~1960年代にかけて電化製品が一般家庭に普及したことで
経済が活性化、ドイツが敗戦から立ち直る原動力となったのです。
先の大戦では日本・イタリアと同盟を結び連合国と戦いましたが、
敗れて日本と同じようにドイツは焼け野原となります。
日本が繊維工業や鉱業を原動力に高度経済成長へと突き進んだように、
ドイツは家電産業を原動力に活力を取り戻したのです。
以降は家電産業がドイツを代表する産業の1つとなり、現在でも
・ミーレ
・ケルヒャー
・ブラウン
などの家電メーカーは日本でもお馴染みです。
ちなみに、
かつて世界トップの家電大国であるドイツからその座を奪ったのが日本でした。
松下電器(現パナソニック)や日立、三菱電機、東芝などの
日本メーカーの電化製品が世界を席巻します。
ところが日本でバブルが崩壊すると日本メーカーの勢いも衰え、
家電大国トップの座は韓国に奪われてしまいます。
韓国メーカーも最近は一時期の勢いが無く、現在は中国、
さらにはトルコが家電大国トップの座を狙っているといった状況です。
日本ではトルコが家電大国というイメージはありませんが、
実はヨーロッパや中国ではトルコメーカーの製品が多く流通しています。
日本市場に本格参入していないだけで、
今後日本でもトルコメーカーの家電を見かけることになるかもしれません。
ドイツの家電の特徴
Blaupunkt製品はほとんど日本に出回っていませんから、
その特徴や評判などは分かりません。
ただドイツメーカーの家電に共通している特徴として、
1つに「丈夫である」ことが挙げられます。
ドイツに限らずヨーロッパでは、
日本以上に「モノを長く使う」という考え方が定着しています。
そのためドイツを含めたヨーロッパ市場では、
家電も長く使える丈夫なものが好まれる傾向なのです。
Blaupunktとともにドイツを代表する家電メーカーである「ミーレ」の食洗機の
平均使用年数は15年以上とされています。
他のドイツメーカーの食洗機も、ミーレほどではないものの、
平均して10年以上は使えるとのことです。
日本メーカーの家電も丈夫で長く使えますが、
食洗機の寿命は大体6~7年とされています。
日本メーカーの食洗機に比べると1.5倍から2倍近く長く使えますから、
ドイツメーカーの家電はかなり丈夫だと言えます。
ドイツ家電のもう1つの特徴として挙げられるのが、
「デザインがシンプル」ということです。
最近は日本でも明るい色の家電が増えてきたものの、
冷蔵庫や洗濯機は基本的に白、シルバー、黒ぐらいです。
ヨーロッパでもイタリアやトルコの家電メーカーは、
冷蔵庫に赤や青、黄色といったカラーバリエーションがあったりします。
フロント部分い絵柄が施されていたり、日本人から見るとかなり奇抜なデザインや
カラーの家電も少なからずあるのです。
しかしドイツはデザインも色もシンプルで、
他のヨーロッパ諸国の製品よりも日本のメーカーの製品に近い感じがします。
実際にミーレやケルヒャーなどドイツメーカーの製品は日本でも人気ですが、
デザインや色が日本の製品に近いことも人気の要因かもしれませんね。
Blaupunkt製品を日本で使うには注意が必要
Blaupunkt製品、特にBlaupunktの家電を日本で使う場合には注意が必要です。
ミーレなどは日本向けに家電を作っているので、そのままでも日本で使用できます。
ところがBlaupunktは日本向けに家電を作っていませんから、
そのままだと日本では使えない可能性があります。
まず日本とドイツでは「プラグ」の形状が違っており、Blaupunktの家電を
日本で使おうと思っても家庭用コンセントに電源ケーブルが挿せません。
日本のプラグはUS型と言われるもので、
コンセントに差し込む部分が2本の平行な板状になっています。
ドイツのプラグはEU型で、コンセントに差し込む部分が2本の平行な棒状です。
Blaupunkt製品を始めとした日本向けに作られていないドイツ家電を
日本で使うには、家電量販店などで変換プラグを購入しないといけません。
それからもう1つ「電圧」も違っており、
日本が100Vなのに対してドイツは220-230Vです。
220-230V対応のドイツ家電を100Vで使うと、
十分な性能が発揮されないだけでなく故障の原因となってしまいます。
日本の電圧に対応していない家電を使うには、
昇圧変圧器を設置するか家電の電圧に関するパーツを交換するしかありません。
どちらにしても結構な費用がかかりますから、正直なところ日本向けに
作られていない家電を日本で使うのはおすすめできないです。
まとめ
Blaupunkt(ブラウプンクト)はドイツの家電メーカーで、
車のカーラジオやナビシステムに関してはパイオニア的存在となっています。
日本でBlaupunktの知名度が低いのは、日本法人が無く、
日本市場でBlaupunkt製品がほとんど流通していないからです。
海外製品を専門的に取り扱っている通販サイトなどで、
日本からBlaupunktの家電を購入することはできます。
しかし日本向けに作られていないのでそのままでは使えない可能性が高く、
わざわざBlaupunktの家電を選ぶ必要はないと思います。