アウトドア用や防災用品、最近は電気代節約のために「ポータブル電源」を使うケースも増えています。
ポータブル電源は火災のリスクも指摘されていますが、「Jackery」のような大手メーカーのポータブル電源でも火災のリスクはあるのでしょうか?
Jackeryのポータブル電源でも火災は発生する?
Jackeryのような大手メーカーのポータブル電源でも、火災が発生するリスクはゼロではありません。
「事故情報データバンクシステム」に登録されているものだけでも、2017年から2024年の間でポータブル電源関連の火災が241件発生しています。(https://www.jikojoho.caa.go.jp/ai-national/accident/list)
もちろん全てにJackeryのポータブル電源が関係しているわけではありませんが、ポータブル電源自体に火災のリスクがあるのです。
製品評価技術基盤機構(NITE)のホームページでは、火災が発生したポータブル電源の型番やメーカーも確認できます。(https://safe-lite.nite.go.jp/)
NITEで確認できるデータによると、
・2020年11月
・2022年8月
・2023年2月
にJackeryのポータブル電源による火災が発生しています。
こちらも全てポータブル電源が原因による火災かどうかまでは分かりません。
しかしJackeryのポータブル電源が燃える火災が、2020年以降に少なくとも3件発生しています。2024年は報告されていませんが、Jackeryのポータブル電源にも火災のリスクは確実にあるのです。
Jackeryにリコール製品は無い
NITEのデータでは、ポータブル電源関連の火災情報だけでなくリコール製品の情報も確認できます。
2024年12月現在、確認できるリコール情報は3件のみで、Jackeryのポータブル電源は含まれていません。リコールされていないからと言って100%安全というわけではないですが、現状で火災のリスクが高い製品はJackeryには無いと言えます。
ポータブル電源に関する火災やリコールの情報は、ネットで簡単に検索することができます。Jackeryに限らずポータブル電源の購入を考えている場合は、まず火災やリコールの情報を確認しましょう。
購入を検討しているメーカー・製品に火災やリコールの情報があれば、購入を考え直した方が良いかもしれませんね。
ポータブル電源で火災が発生するのはなぜ?
別に火を使うわけでもないポータブル電源が原因で、火災が発生するのはなぜなのでしょうか?
ポータブル電源で火災が発生する理由は少し専門的な話で、私も100%理解できているわけではありません。私が理解している限りで簡単に説明しますから、多少言葉足らずな部分があってもご容赦ください。
ポータブル電源で火災が発生する原因の多くは「短絡」、いわゆる回線のショートです。
回線がショートすることで瞬間的に大きな電流が流れ、同時に激しい熱が発生します。ショートによる異常発熱が、ポータブル電源のバッテリーであるリチウムイオン電池内部の有機溶剤に引火することで火災が発生するのです。
ポータブル電源でショートが発生する原因
ポータブル電源で火災の原因となるショートが発生する原因ですが、1つは「外部からの衝撃」です。外部から強い衝撃がポータブル電源に加わることで、バッテリー内部が破損してショートが発生します。
ポータブル電源のバッテリーには「リチウムイオン電池」が使われています。リチウムイオン電池は、簡単に言うとリチウムイオン電解液で満たされた箱に正極と負極という2つの電極が刺さっているものです。
電極に電気が流れることで、電解液内のリチウムイオンが正極から負極に移動することで充電、負極から正極に移動すると放電される仕組みです。
電池内にはセパレータという仕切り板があって、2つの電極が直接繋がらないようになっています。外部から強い衝撃が加わることでセパレータが破損すると、正極と負極が直接繋がってしまいショートが発生します。
ポータブル電源を落としたり何か強くぶつけたりすると、その衝撃でバッテリー内部にショートが発生して火災に繋がってしまうことがあるのです。
電極の劣化もショートの原因
外部から強い衝撃が加わらなくても、電極が劣化することでもバッテリー内部でショートが発生する恐れがあります。
リチウムイオン電池の負極には銅箔が使われており、銅箔にリチウムイオンが集まることで充電できます。
ポータブル電源を使用していると、負極の銅箔がリチウムイオン電解液に少しずつ溶け出すのです。
スマホでも数年使っていると「バッテリーの持ちが悪くなる」ことがあります。このバッテリーの持ちが悪くなるというのは、負極の銅箔が電解液に溶け出すことでリチウムイオンを蓄えられる量が減ってしまうからです。
多少溶け出すぐらいならバッテリーの持ちが悪くなるだけで済みますが、大量に溶け出すとショートの原因となります。
劣化した負極に電気が流れることで、負極が発熱して可燃性のガスを生み出します。
さらに電解液に溶け出した銅がデントライト(針状結晶)を形成、デントライトがセパレータを超えて正極と接触することでショートが発生するのです。デントライトによるショートで、負極の発熱によって生み出された可燃性ガスに引火してポータブル電源が発火するというわけです。
単に長年ポータブル電源を使用しているだけでは、ショートの原因になるほど電極が劣化することはありません。長期間使用せずに過放電の状態となったり、フル充電されているのに充電を続けて過充電の状態になると電極が劣化します。
直接的な原因は電極の劣化によるショートですが、過放電や過充電が電極の劣化の原因で火災を引き起こす間接的原因となるのです。
事故情報データバンクシステムの情報によると、実際に充電中のポータブル電源が発火した事案が報告されています。これらの多くは、過放電や過充電によって電極が劣化したことでショートが発生したことによる発火と考えられます。
ポータブル電源は高温にも弱い
ポータブル電源の内部でショートが発生する原因としてもう1つ「高温」が挙げられます。
夏場、車の中にスマホやモバイルバッテリーを置きっぱなしにしていて発火したというニュースを見聞きしたことがあるはずです。事故情報データバンクシステムにも、車の中にポータブル電源を置いていて発火したという事案が何件が報告されています。
外気温35℃の炎天下で車を駐車していると、1時間と経たない内に車内温度は50℃を超えます。(https://jafmate.jp/car/traffic_topics_20230710.html)
高温の環境下に置かれると、バッテリー内部の絶縁体であるセパレータが破損してしまうのです。セパレータが破損すると正極と負極が直接繋がるので、ショートが発生して発火してしまうわけです。
スマホやモバイルバッテリーと違って、ポータブル電源は高温だけでなく低温にもある程度耐えられるようになっています。
しかし車に積んでいる時点で、強くはありませんが、外部から衝撃を継続的に受けています。弱いながらも継続的に衝撃を受け続けることでセパレータがヘタり、50℃を超える高温下に置かれることでセパレータが破損することも十分考えられます。
キャンプなどアウトドアでしかポータブル電源を使わない場合は、積み降ろしが面倒で車の中に置きっぱなしにするケースが少なくありません。車の中にポータブル電源を置きっぱなしにしていることが火災の原因となるので、使わない時は車からポータブル電源を降ろしましょう。
ただし外部からの強い衝撃も火災の原因となりますから、ポータブル電源を積み降ろしする際は落とさないように注意してください。
Jackeryのポータブル電源は火災のリスクが低い
リスクはゼロではないものの、Jackeryのポータブル電源は比較的火災のリスクが低いと言えます。
Jackeryのポータブル電源の火災リスクが低い理由の1つが、「リン酸鉄リチウムイオン電池」を使っていることです。
ポータブル電源のバッテリーにはリチウムイオン電池が使われていますが、リチウムイオン電池にはいくつか種類があります。スマホやモバイルバッテリーには、「リチウムポリマー系リチウムイオン電池」が使われています。
Jackeryもかつては、ポータブル電源のバッテリーにリチウムポリマー系を使っていました。2020年から2023年の間に3件の発火事案が報告されていますが、いずれもリチウムポリマー系のバッテリーを搭載した機種だと考えられます。
リチウムポリマー系も安全性が高い方ではあるものの、リン酸鉄系はさらに安全性が高くなっています。
リチウムイオン電池の内部にはリチウムイオン電解液が入っていますが、リン酸鉄系の内部には固体電解質が使われています。固体電解質は電気を通す反面熱や圧力に対する耐性が高く、万が一破損して電解液が漏れ出ることがありません。
またリンと鉄と酸素によって形成される結晶体の結びつきが非常に強く、分解や崩壊による酸素放出が起こりにくいです。酸素は燃焼に必要なものですから、酸素放出が起こりにくいと発火もしにくいというわけです。
Jackeryの最新型のポータブル電源にはリン酸鉄リチウムイオン電池が採用されているので、火災のリスクは比較的低いというわけです。
安全機能が搭載されている
Jackeryのポータブル電源には、「安全機能」が搭載されているので火災のリスクが低くなっています。
バッテリーマネジメントシステム(BMS)によって
・過充電、過放電
・過電流、過電圧
・高温、低温
・ショート
などの異常からバッテリーが保護されています。(https://www.jackery.jp/blogs/power-station/battery-management-system)
万が一ショートや過負荷などの異常が検知された場合は、充放電を停止するようになっているのです。
ポータブル電源内部には冷却ファンも付いており、効率的に排熱することでバッテリーが熱くなりすぎるのを防いでいます。
こうした安全機能によって、Jackeryはポータブル電源の発火リスクを低減しているわけです。
衝撃にも強い
ポータブル電源の火災の原因となるのがショートで、ショートの原因となるのが外部からの衝撃です。
Jackeryのポータブル電源は、ショートの原因となる外部からの衝撃にも強くなっています。
「9メートルの高さからの落下試験」「535gのスチールボールをぶつける衝撃試験」などを行っています。万が一落としたり、何か硬いものをぶつけたとしてもJackeryのポータブル電源は大丈夫なのです。
バッテリーの充放電テストや浸水のテストも行っており、どのような環境下でも安全に使えるようになっています。
もちろんムチャな使い方をして良いわけではありませんが、少々雑に扱ってもJackeryのポータブル電源は安全です。
まとめ
Jackeryのポータブル電源は、2020年から2023年の間に3件の発火事案が発生しています。
しかし2017年から2024年までに、ポータブル電源が関係する火災が200件以上発生しています。
Jackeryのポータブル電源は発火のリスクがゼロではありませんが、決してリスクが高いとも言えません。むしろ安全性が高いポータブル電源と言えますから、ポータブル電源を購入するならJackeryはおすすめのメーカーです。
今のところ予定はありませんが、私もポータブル電源を買うならJackeryを第一候補にしようと考えています。