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氷河期世代の年収の中央値は低くない?

一般的に「氷河期世代」と言われる我々40代は、
他の年代と比べて年収が低いとされています。

では実際に氷河期世代の年収の平均や中央値は、
他の年代と比べて低いのでしょうか?

氷河期世代の年収の平均、中央値

バブルが崩壊した1993年から輸出産業が持ち直して景気回復の兆しが見えた
2005年までの間に、社会に出た世代を氷河期世代と一般的に言います。

2024年現在、1993年に大学卒業だと53歳ぐらい、2005年に大学卒業だと
41歳ぐらいなので、具体的には41~53歳ぐらいの年代のことを指します。

私も経験しましたが、人手不足が叫ばれる現在では考えられないほどの就職難で、
100社に応募しても内定がもらえないといったこともありました。

そのため給料の安く不安定な非正規雇用で働かざるをえなかったり、
正社員でもあまり良くない条件を飲まざるをえなかったりしたのです。

賃金に関する労働環境があまり良くなかったので、
氷河期世代は他の世代に比べて年収が低いとされるわけです。

氷河期世代には一部50代も含まれますがメインは40代なので、
40代の年収を中心に見ていきます。

総務省が2022年に行った「就業構造基本調査」を元にしたデータでは、
 ・40~44歳 男性498万円 女性222万円
 ・45~49歳 男性529万円 女性197万円
が年収の中央値です。
(https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/07/3040-1_1.php)

中央値が550万円を超える50代よりは少なく、中央値が400万円台半ばの
30代よりは多いので極端に少ないようには感じません。

氷河期世代だけ30年で年収が大幅に減っている

年収の中央値だけ見ると、
氷河期世代と言っても極端に年収が少ないようには見えないです。

ところが30年前と比較すると、
明らかに氷河期世代の年収だけおかしなことが分かります。

同じ総務省の調査を元にしたデータでは、1992年の年収の中央値は
 ・40~44歳 男性524万円 女性134万円
 ・45~49歳 男性570万円 女性145万円
となっています。

女性の中央値は30年で大きく増えていますが、
男性の中央値は30年で反対に大幅に減っているのです。

「氷河期に限らず全体的に減っているのでは?」と思うかもしれません。

50代前半や30代後半も減ってはいますが、
30年前と比べて年収の中央値は10万円も変わりません。

ところが氷河期世代は、
40代前半で26万円、40代後半は41万円も30年前と比べて減っています。

簡単に言うと、30年前より1か月分少ない11か月分ぐらいの年収しか
氷河期世代は貰っていないということです。

もう少し短いスパンの10年で見ても、45~49歳は平均年収が下がっています。
(https://pbs.twimg.com/media/GMizQ0WX0AAnIrT?format=jpg&name=900×900)

ちなみに女性の中央値が上がっているのは、
結婚しても会社を辞めずに働き続ける女性が30年前よりも増えたからです。

別に氷河期世代の女性の待遇が30年前と比べて良くなったわけではありません。

年収の数字だけ見たら極端に低いようには見えませんでしたが、
30年前と比較すると明らかに氷河期世代は年収が低くなっているが分かります。

氷河期世代は貯蓄額も低い

氷河期世代は年収だけでなく貯蓄額の中央値も低くなっています。

年収が少ないわけですから生活費で精一杯、
貯蓄に回せるだけの余裕が無いということです。

2023年の金融庁の調査を元にしたデータでは、
40代単身世帯の貯蓄額の平均が559万円で中央値は47万円となっています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/12fedbe4b500c7113e9fc8a0fd6c07e4bf8219e0#:~:text=%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%80%A4%E3%81%AF47%E4%B8%87,%E3%81%AE29.3%EF%BC%85%E3%81%AE%E3%81%BF%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82)

貯蓄額1000万円以上が全体の16~7%ほど居て、
その人たちが上げているので平均値だけ見ると少なくはありません。

ところが単身世帯にも関わらず貯蓄額がゼロも40%以上居て、
中央値は47万円という低い数字になっているのです。

ちなみに30代単身世帯の貯蓄額の平均は494万円、
中央値は75万円となっています。
(https://www.tr.mufg.jp/tameru/monefit/column/detail.html?id=8#:~:text=30%E4%BB%A3%E3%81%A7%E5%8D%98%E8%BA%AB%E3%81%AE,%E6%9C%80%E3%82%82%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)

平均こそ40代の方が多いですが中央値は30代の方が多くなっており、
氷河期世代は30代よりも生活に余裕が無いことが分かります。

氷河期世代の年収が低いのはなぜ?

氷河期世代の年収が低いのは、ひとえに「就職難だったこと」が理由です。

先にも少し書きましたが、100社受けて1つも受からないなんて当たり前でしたし、
氷河期世代の大卒の新卒就業率は70%もありませんでした。

ちなみに氷河期を除く1985年から2019年の大卒の新卒就業率の平均が
80%超ですから、氷河期世代の就活がいかに厳しかったかが分かりますね。

氷河期世代は大卒でも3割超が正社員として採用されず、
派遣やバイトなど非正規雇用で働かざるをえなかったわけです。

さらに正社員として採用されても、不景気を理由に初任給を抑えられたり、
ボーナスが少なかったり、なかなか昇給しなかったりしました。

今なら給料が安いことを理由に転職できるかもしれませんが、
就職難で何とか拾ってもらった状況では転職なんてできませんでした。

また終身雇用制がまだ残っていて、今ほど転職が当たり前になっておらず、
転職サービスもほとんど無いという状況でもあったのです。

給料が安くてもボーナスが少なくても給料が上がらなくても、
同じ会社で働き続けるしかありませんでした。

初任給が低く、若い時は昇給もなかなか無かったので、
結果として40代のなった今の年収も低くなってしまっているというわけです。

非正規雇用の割合が多い

氷河期世代の年収が低い要因である「就職難」は、
もう1つ「非正規雇用の割合が多い」という問題も引き起こしています。

厚生労働省の「就業形態別労働者の状況」によると、
日本全体の非正規雇用の割合は約34%です。
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/03/kekka5.html#:~:text=%E5%B9%B4%E9%BD%A2%20%E6%AD%A3%E7%A4%BE%E5%93%A1%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E9%9A%8E%E7%B4%9A,%EF%BC%85%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82)

年代別で見ると、40代が約24%でもっとも高く、
次いで20代の約23%、50代の約20%となっています。

氷河期世代の具体的な年齢は41歳~53歳ぐらいですから、
氷河期世代の非正規雇用割合が大きくなっていることが分かります。

非正規雇用は正規雇用に比べて雇用が不安定なだけでなく、
給料が安くてボーナスはありません。

必然的に非正規雇用の年収は正規雇用よりも低くなるため、非正規雇用の割合が
多い氷河期世代は年収の平均も中央値も低くなるというわけです。

氷河期世代の年収は低いのは自己責任ではない

一部には「氷河期世代の年収が低いのは自己責任」といった意見もあります。

新卒時の就業率が低いと言っても、
40代になった現在の氷河期世代の就業率は約9割となっています。

あくまで結婚・出産した女性がパートなどで働いているから、
非正規雇用割合が多く年収の平均を引き下げているというわけです。

要するに、新卒時に就職できなかっただけで今は普通に働けているんだから
給料の低いのは自分のせい、という理屈です。

実際先の厚生労働省のデータでは40代男性の非正規雇用割合は11%なので、
一見するともっともらしく聞こえます。

しかし今正社員として働けていても中途採用だとスタートが遅れているため、
給料の上がるスピードが遅いです。

場合によっては、
新卒採用された少し下の年代よりも給料が安いといったこともあります。

また先にも書いたように、新卒で働き始めた頃の賃金関係の環境が悪すぎたため、
若い時にそれほど給料が上がっていません。

多少景気が回復して給料が上がり始めても、
若い時に上がらなかった分を上乗せしてくれるわけではないです。

給料据え置きの期間が長かったので、
給料が上がり始めても水準が低いままなのです。

氷河期世代の労働力としての評価は悪くない

氷河期世代の「労働力としての評価」は、他の世代と比べても悪くありません。

仕事に対してストイック

氷河期世代は「仕事に対してストイック」と言われています。

私はそれほどストイックではないので、個人差はあると思いますが・・・。

とにかく就職難でしたから、
正社員として拾ってもらった以上は一生懸命働くしかありませんでした。

新卒でも就職が厳しいのに再就職は絶望的なので、
クビにならないようにとにかく必死だったのです。

また大卒の新規就業率が低いにも関わらず40代現在の正規雇用率は約9割で、
非正規雇用から正規雇用に昇格した人が多くなっています。

非正規雇用から正規雇用に昇格するのは簡単ではありませんから、
これも氷河期世代が仕事に対してストイックであることの証明と言えるのです。

身体的にも精神的にタフ

氷河期世代は身体的にも精神的に「タフ」だとされています。
(私はそうでもありませんが・・・)

現在はコンプライアンス重視で職場でのパワハラやモラハラが減っていますが、
我々が若い頃はまだパワハラ・モラハラが横行していました。
(普通に人格を否定されるようなことを言われる)

私は男性なのでほとんど経験がないものの、
女性だとセクハラも当たり前のように受けていたのです。
(「女性社員は体を触られてナンボ」と言う輩も居た)

さらに就活の段階から「圧迫面接」なんてものも当たり前のようにあったので、
イヤでも精神的にタフにならざるをえませんでした。

またサービス残業も当たり前にありましたし、休日出勤もたびたびさせられましたし、
体力勝負のようなところもあって身体的にもタフだったような気がします。

ハラスメントやサービス残業は経験しないに越したことはありませんから、
これらによってタフになったからと言って昔の労働環境が良かったとは言いません。

デジタルにそこそこ強い

「デジタルにそこそこ強い」というのも氷河期世代の強みです。

中学生ぐらいの頃に学校でパソコンの授業が始まり、
私は高校の合格祝いとしてパソコンを買ってもらいました。

高校の頃はまだインターネットは一般的ではなくゲームばかりしていましたが、
ブラインドタッチができるようになったのはそのおかげです。

高校生の頃にポケベルが流行り、
早い子は高3ぐらいで携帯電話を持っていましたね。

私は大学に入ってから携帯電話を持ち、パソコンでもインターネットを始めました。

今の光回線のように常時接続ではなく、通信速度もめちゃくちゃ遅かったのですが、
毎日寝る間を惜しんでインターネットを楽しんでいたように思います。

ダイヤルアップ接続で従量課金だったので、
電話代がとんでもない金額になって親に怒られましたが・・・。
(定額サービスで電話代の問題は解決した)

今の若い世代のように子供の頃からデジタル機器に触れてはいませんが、
比較的若い時から触れられているのでデジタル機器はそこそこ使えます。

働き始めた頃はまだアナログな方法で仕事もしていましたから、
アナログ・デジタルの両方が使えるハイブリッド世代とも言えます。

まとめ

氷河期世代の年収の中央値は500~530万円ぐらいで、
数字だけ見ると決して低くありません。

しかし30年前の40代と比べても大幅に年収が減っていますから、
氷河期世代の年収は他の世代と比べても低い水準と言えるのです。

あくまで就職難で賃金関係の条件が良くなかったことが年収が低い要因で、
決して氷河期世代の能力が低いわけではありません。

ちなみに私の年収は同世代の中央値に比べると・・・、
むなしいだけなのでやっぱり止めておきます。

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この記事を書いた人

はじめまして、こんにちは。
HN:ミカエルといいます。
1978年生まれ、40代独身の中小企業サラリーマンです。ずっと平社員、つまり「ヒラ」です。

もともと理系ですが、プログラミングなどの専門スキルはなく、PCも人並みに使える程度。性格は内向的で、人前で話すのは大の苦手。そんな自分なりに頑張ってきたつもりですが、気づけば40代になっても平社員のまま。悔しさや惨めさを感じたこともありましたが、これからは気持ちを切り替え、「仕事は仕事」と割り切りながら、健康に気をつけつつ、投資や副業で新しい道を模索していこうと考えています。


「ヒラサラ」について
「ヒラサラ」は、意識低めの40代平社員が、会社や仕事に振り回されず、無理なく生きるためのヒントを発信するブログです。

社会では「出世しないとダメ」「頑張らないと負け組」といった風潮が根強いですが、私は「優秀じゃないと受け入れられない社会」から降りる選択肢もアリだと考えています。

このブログでは、
✅ 仕事は仕事と割り切る考え方
✅ 健康を維持しながら無理なく働く方法
✅ 副業・投資を活用して人生の選択肢を広げるヒント
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などを、リアルな経験を交えながら発信していきます。

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