最近は働き方にも「多様性」が求められるようになっており、
中には「静かな退職」という働き方を選ぶ人も居ます。
一般的に静かな退職という働き方はあまり歓迎されませんが、静かな退職は
何が悪いのでしょうか?そもそも静かな退職とはどういう働き方なのでしょうか?
「静かな退職」という働き方
「静かな退職」という言葉をそのままの意味で捉えると、
静かにひっそりと退職するといった感じになります。
しかし実際の静かな退職は、現在勤めている会社を辞めるわけではありません。
現在の会社に勤め続けながらも、仕事に情熱を傾けるのではなく
与えられた必要最低限の仕事をこなすだけという働き方のことです。
アメリカでキャリアコーチをしているブライアン・クリーリー氏が、
2022年にTikTokで「Quiet Quitting」という言葉を発信したことで広まりました。
(https://hatarakigai.info/news/2024/0221_3335.html)
動画が発信された2022年にビジネス界ではちょっとした流行語となり、
現在では日本でも働き方のトレンドの1つとなっています。
日本に限ったことではありませんが、会社勤めをしているビジネスパーソンの
ほとんどは与えられている職務の範囲を超えて仕事をしています。
実際問題として、
服務規程や契約書などに従業員の職務をすべて記載しておくことはできません。
職務をすべて記載すると膨大な量になるため確認が難しいですし、
想定外の事態に対処できなくなってしまいます。
また新しい事業を始めたら、服務規定をすべて書き直さないといけませんし
契約書も作り直さないといけません。
なのでほとんどのビジネスパーソンが職務の範囲を超えた仕事をすることで、
多くの企業は成り立っていると言えるのです。
しかしそうした働き方に疑問を持って、規定などで定められた職務の範囲内で
必要最低限の仕事しかしないという働き方を選ぶ人が出てきたのです。
そうした働き方や働き方を選ぶ人を「静かな退職」と呼んでいます。
「サイレント退職」とは別物
静かな退職と似た言葉として「サイレント退職」というものがありますが、
静かな退職とサイレント退職は全くの別物です。
静かな退職は、必要最低限の仕事をしながら会社に勤め続けることで、
実際に退職するわけではありません。
対してサイレント退職は何の前触れもなく突然退職してしまうことで、
実際に会社を辞めます。
退職したかのように働き続けるのが静かな退職で、
実際に会社を辞めてしまうサイレント退職とは全く別物なのです。
ちなみに、これまで普通に働いていたのに急にストレスを爆発させて辞めてしまう
ことから、サイレント退職ではなく「騒がしい退職」と言われることもあります。
ある日突然出社しなくなって、弁護士や退職代行を使って話し合いも
できない状況で辞めていくので、これはこれで会社としては困りものです。
静かな退職は何が悪い?
静かな退職はビジネスパーソンにとっては働き方の1つですが、
会社側にとっては歓迎すべき働き方ではありません。
では、静かな退職は会社側にとって何が悪いのでしょうか?
上司や同僚の負担が増える
従業員の1人が静かな退職という働き方を選ぶことで、
同じ会社・部署で働く上司や同僚の負担が増えます。
先にも書きましたが、会社勤めをしているほとんどのビジネスパーソンが
本来の職務の範囲を超えて仕事をしています。
1人が職務の範囲内で必要最低限しか仕事をしなくなると、
上司や同僚がその人の分をカバーしなければならないのです。
そもそも多くの会社では、バブル崩壊やリーマンショックなどの影響で
「経営効率化」の名の下に人員整理が行われてきました。
1人の従業員が1.5人分2人分働くことで、
何とか仕事をやりくりしているというのが多くの会社の現状です。
それにも関わらず1人が静かな退職をしてしまうと、
上司や同僚は3人分4人分働かないといけないことになってしまいます。
1人分以下の仕事しかしない人を横目に見ながら、
3人分4人分働く上司や同僚は当然大きなストレスを抱えます。
ある日突然ストレスが爆発して3人分4人分働いた上司や同僚が辞めてしまい、
静かな退職をしている従業員だけが会社に残ることになるのです。
静かな退職の従業員だけが残っても仕事は回らないので、
会社側にとっては静かな退職は悪いことなわけです。
生産性が低下する
1人が静かな退職を選択して上司や同僚の負担が増えることで、
会社としての生産性も低下してしまいます。
世の中は目まぐるしく変化しており、「定番」と言われる商品やサービスも
時代に合わせてリニューアルを繰り返しているのです。
会社としては、定番の商品・サービスを大事にしながらも新しい商品・サービスも
開発していかないと競争に勝ち残れません。
しかし静かな退職を選ぶ従業員が増えると、
会議などを通して新しいアイデアが生まれにくくなってしまいます。
新しいアイデアが出なくなることで、
新規事業は停滞、既存事業もマンネリ化して消費者に飽きられます。
生産性が低下して業績が悪化、場合によっては会社の経営自体が傾くことにも
なりかねないので、静かな退職は会社にとって悪いことなのです。
静かな退職を選ぶ人にもデメリットがある
静かな退職は会社にとって悪いことですが、
それを選択する従業員にもデメリットがあります。
成長を妨げる
静かな退職は、静かな退職という働き方を選んだ従業員の成長を妨げます。
職務の範囲内で必要最低限の仕事しかしませんから、
身体的・精神的なキツさは感じません。
身体的・精神的に追い込まれるから成長するというわけではありませんが、
キツイことを乗り越えると成長できる可能性は高いです。
若い内から静かな退職を選択すると、ビジネスパーソンとしてだけでなく
人間的にも成長する機会を失うことになってしまいます。
3人分4人分と言わないまでも、他の同僚と同じように働いていれば
将来は重役クラスになれる能力があるかもしれません。
それが静かな退職を選ぶことで成長せずに終わってしまうわけですから、
会社にとっても本人にとってももったいないです。
ただ静かな退職を選ぶ人は成長したい・出世したいと思っていませんから、
成長できなくても出世できなくてももったいないとは感じないですけどね。
経済的な安定が望めない
静かな退職という働き方を選ぶことで、
年齢を重ねても経済的な安定が望めなくなります。
必要最低限の仕事しかしませんから、当然ですが昇進・昇格はできません。
昇進・昇格できないということは給料の大幅アップも望めず、
言い方は悪いですがずっと「ヒラ」のままということになります。
一般的にはキャリアを重ねることで昇進・昇格して給料も上がり、
それに伴って生活のグレードも上がります。
結婚して家庭を持っても生活していけますし、
子供ができても衣食住に困ることはありません。
ところがずっと「ヒラ」のままだと給料は上がりませんから、
子供を作ることはもちろん結婚することすら難しくなってしまいます。
若い内に静かな退職を選ぶと、
将来的に結婚することや子供を作ることも半ば諦めることになってしまうのです。
働くのが時間の無駄
静かな退職を選ぶと、会社で働くことが時間の無駄になってしまいます。
他の同僚と同じように働いていると、
規定の就業時間では足りずに残業や休日出勤をすることになります。
私も残業や休日出勤はイヤですが、残業や休日出勤をしてでも仕事を
終わらせることで時間の使い方が上手くなるなど新しいスキルが身に付くのです。
しかし静かな退職だと、
毎日与えられた同じ仕事をを繰り返すだけで定時になると帰宅します。
短時間でできることを時間をかけてやることになるので、
時間の使い方が下手になりますし新しいスキルは身に付きません。
新しいスキルが身に付かず成長しないとなると、
働いている意味が無く、働くことが時間の無駄となってしまうわけです。
ただ私の個人的な意見ですが、毎日同じことをしているだけで給料が貰えるなら、
働くことが時間の無駄とは全然思わないですけどね。
会社をクビになる恐れもある
静かな退職という働き方を選択すると、
最悪の場合には会社をクビになる恐れもあります。
現状では、会社が従業員を簡単に解雇できないように法律で決まっています。
しかし2024年9月現在、一部の有力政治家が「解雇規制の緩和」を訴えており、
今後法律改正によって現状よりも解雇のハードルが下がることも考えられるのです。
解雇のハードルが下がれば、静かな退職で必要最低限の仕事しかしない
従業員は真っ先に解雇される恐れがあります。
必要最低限の仕事をして給料が貰えるからこそ静かな退職が成り立つのであって、
解雇されてしまったら意味がありません。
私も40代になって出世できないことを悟り、
静かな退職のように割り切って仕事がしたいと常々思っています。
しかし「明日から来なくて良い」と言われるのが怖いので、
静かな退職までは割り切れません。
自分では静かな退職までは行っていないつもりですが、
上司や同僚からは静かな退職をしていると思われているかもしれないですが・・・。
静かな退職は悪いことばかりじゃない
静かな退職という働き方を選ぶことは、
従業員側にとっては悪いことばかりではなくメリットもあります。
精神的なゆとり
静かな退職という働き方をすると、精神的なゆとりが生まれます。
現状ではどこの会社も人手が足りていませんから、
1人で1.5人分2人分ぐらいの仕事をこなすのが当たり前です。
私のようにあまり有能でない人が1.5人分2人分も働くと、
精神的に追い詰められてしまいます。
精神的に追い詰められることで眠れなくなって体調を崩しやすくなり、
仕事でもミスが目立つようになるのです。
しかし静かな退職だと与えられた必要最低限の仕事をするだけですから、
精神的なゆとりができます。
精神的にゆとりができると眠れないということも無くなって、
仕事にも集中できてミスが少なくなります。
私生活が充実する
静かな退職という働き方をすることで私生活が充実します。
他の同僚と同じように働いていると、通常の就業時間だけでは足りないので
期限内に仕事を終わらせるには残業や休日出勤をしなければいけません。
残業や休日出勤をすると私生活の時間が削られて、
プライベートでやりたいことができなくなってしまいます。
プライベートで趣味などを楽しんでリフレッシュしたり、
ストレスを発散したりといったことができなくなってしまうのです。
静かな退職だと残業や休日出勤はしませんから、
私生活が充実してストレスが溜まりにくくなって精神的に安定します。
精神的に安定すると、
かえって仕事へのやる気が生まれるといったこともあるかもしれません。
まとめ
「静かな退職」を選ぶビジネスパーソンが増えており、
これは会社側にとっては決して良いこととは言えません。
ビジネスパーソン側にとっては悪いことばかりではなくメリットもあって、
場合によっては仕事へのやる気が生まれることにも繋がります。
ただ今後法律が改正されて解雇規制が緩和されると、
静かな退職によって解雇される恐れもあるので注意も必要です。
私もできることなら静かな退職をしたいのですが、
勇気が無いのでただの「やる気のない社員」になってしまっています・・・。