「縁の下の力持ち」、日本人の好きな言葉ではありますが、日本企業における
縁の下の力持ち的社員はあまり評価されない傾向が強いように思います。
縁の下の力持ち的存在や目立たない仕事をする人があまり評価されないのは
なぜなのでしょうか?
縁の下の力持ちが評価されない理由
日本企業における縁の下の力持ちがあまり評価されない理由としては、
「成果が目に見えにくい」といったことが考えられます。
例えば販売や営業を担当する社員は、
売り上げや契約数など成果が数字として表れるので目に見えやすいです。
しかし経理や総務の仕事は成果が目に見える数字として表われません。
また販売や営業でも、売り上げや契約数は平凡だけど特定の顧客に絶大な信頼を
得ているといったケースは成果が目に見えにくいです。
自分が評価する側だとすると、成果が数字など目に見える形で表われる方が成果が目に見えにくい方よりも評価しやすいのが分かります。
実際に経理や総務で完璧に仕事をこなすよりも、販売や営業で1円でも多く
売り上げたり1件でも多く契約を取る方が成果が分かりやすく評価しやすいです。
縁の下の力持ちと言われる人が担当する仕事の多くは成果が目に見えにくいので、
あまり評価されないことが多いというわけです。
縁の下の力持ちは「居て当たり前」だと思われている
縁の下の力持ちがあまり評価されない理由としてもう1つ
「居て当たり前だと思われている」ことが挙げられます。
(https://news.mynavi.jp/article/20210405-wadai/)
例えば実家で生活している時、
・衣類を洗濯かごに入れておけば、翌日洗濯してキレイにたたまれている
・時間になると食事が出てくる
・部屋を散らかしたまま出かけても、帰ってくると整理整頓されている
といったことは当たり前だと思っていますよね。
洗濯や食事の用意、片付け、掃除などは父親や母親が「やっておいて」と言わなくても
やってくれているのです。
実家で生活している間は父親や母親が家事全般をやってくれているのが
当たり前だと思っており、「ありがたい」という感謝の気持ちは生まれにくいです。
(本当は感謝しないといけませんが・・・)
ところが実家を出て一人暮らしを始めると
・洗濯かごに入れた衣類は翌日になっても洗濯かごに入ったまま
・自分で用意しなければ、いつまで経っても食事は出てこない
・部屋を散らかして出かけると、帰ってきても散らかったまま
となります。
洗濯かごに入ったままの衣類や散らかったままの部屋を見て初めて、実家で父親や
母親が何も言わずに家事全般をしてくれていたことに感謝を覚えるのです。
それと似たようなことで、会社における縁の下の力持ちも「居て当たり前」
「ちゃんと仕事して当たり前」だと思われています。
自分の仕事がスムーズに進められるのは縁の下の力持ち的存在のおかげ、
とはなかなか気付けないわけです。
縁の下の力持ち的存在が退職したり、自分が縁の下の力持ち的な仕事を
担当するようになって初めて、縁の下の力持ち的存在のありがたみに気付くのです。
できる上司や同僚は縁の下の力持ち的存在に気付いている
一般的には気付かれにくい縁の下の力持ちですが、
仕事ができる上司や同僚は縁の下の力持ちであるあなたの存在に気付いています。
仕事のできる上司は、
自分の仕事をこなしながらも部下の言動をしっかりとチェックしています。
将来出世して管理職に就くような同僚も、他の同僚が何をしているのか、
どういった仕事をしているのかしっかりと把握しているケースが多いです。
普通の上司は目に見える成果を上げた部下を褒めるだけです。
しかし仕事ができる上司は、成果を上げた部下を陰で支えた縁の下の力持ち的存在の
部下もしっかりと褒めてくれます。
将来管理職に就くであろう優秀な同僚も、自分の仕事が上手くいっているのは縁の下の力持ち的存在のおかげと労いの言葉をかけてくれるでしょう。
ただ縁の下の力持ち的存在に気付いて褒めたり労ったりする上司や同僚は僅かで、
縁の下の力持ち的存在に気付かないケースが残念ながらほとんどです。
私は出世する見込みが薄いですが、もし出世できるのであれば
縁の下の力持ち的存在を褒められる上司になりたいものですね。
縁の下の力持ち的存在になりがちな人の特徴
会社であまり評価されない縁の下の力持ち的存在になりがちな人には、
いくつか特徴があります。
縁の下の力持ち的存在の人によく見られる特徴が「献身的」です。
「誰かの役に立つこと」に何よりもやりがいを感じて、
人の成功を自分のことのように喜べる人は縁の下の力持ち的存在になりやすいです。
心のどこかで「誰かの役に立ちたい」と思っているので、どこかに困っている人が
居ないか助けてあげられる人が居ないかと周りに常に目を配っています。
こういった人は縁の下の力持ち的存在にも気付ける上司になりますが、
管理職にならないと評価されない縁の下の力持ち的存在になってしまいます。
また献身的な人は、
誰かの役に立つために求められていない仕事までこなしてしまいがちです。
求められていない仕事は評価の対象になりませんから、
同僚から感謝されることはあっても上司の評価が得られないのです。
献身的であることが求められる職業もありますが、
そういう職業でない場合は献身的すぎるのも考え物かもしれません。
口数が少ない
職場において口数が少ない人も縁の下の力持ち的存在になりやすいです。
口数が少ない人には、
仕事中は無駄話をせずに黙々と与えられた仕事をこなすタイプが多いです。
販売や営業のように人と対するよりも、経理や総務のようにデスクに向かって
事務仕事を行うのに向いているタイプとも言えます。
黙々と与えられた仕事をこなすタイプは事務など成果が目に見えにくい仕事を
任されることが多く、評価されないケースが多いのです。
私も口数が少なく人前で話すのが苦手なタイプで、
実際に事務の仕事に従事しています。
(縁の下の力持ち的存在ではありませんが・・・)
無理に明るく振る舞う必要はありませんが、縁の下の力持ち的存在から脱したいなら
親しい同僚や上司と積極的に話すようにしてみると良いかもしれません。
出世に興味が無い
出世することにあまり興味が無い人も縁の下の力持ち的存在になりやすいです。
出世に興味が無いと言ってもやる気が無いわけではなく、今やっている仕事が好きで
楽しいので出世することで仕事内容が変わるのがイヤというタイプです。
仕事が好きだと、
成果が出るまでの過程を楽しんでしまい成果を出すことが二の次になってしまいます。
過程を楽しむことで特定の顧客から絶大な信頼を得る可能性はありますが、
成果を出すことに興味は無いので成績は平凡なものになりやすいです。
出世に興味が無く仕事が好きで楽しいのであれば、
会社勤めよりも個人で仕事をする方が向いているかもしれないですね。
縁の下の力持ち的存在にならないためには
縁の下の力持ち的存在はあまり評価されないため、
骨折り損のくたびれ儲けで「疲れた」と感じることも少なくありません。
そんな縁の下の力持ち的存在にならないようにするには、どうすれば良いのでしょうか?
縁の下の力持ち的存在にならないためには、
「仕事の成果を上司にしっかりと報告すること」です。
多数の部下を抱える上司は、部下全員の働きぶりを完全には把握できません。
そこで上司に仕事の成果をしっかりと報告することで、
上司に自分を評価する材料を与えてあげるのです。
経理や総務といった成果が目に見えにくい部署でも、
仕事の成果を上司に報告することができます。
例えば経理にも、経費削減という大きな成果に加えて
・時間外労働時間削減(残業代の圧縮)
・伝票処理時間短縮
・売掛金回収率向上
などの目に見える成果があります。
総務も経費削減は大きな成果ですし、人事系なら新卒応募者数の増加、
セキュリティ系なら情報漏えいゼロも立派な成果です。
株主総会がスムーズに運営できるのも総務のチカラがあってこそですから、
株主総会の円滑な運営も総務の目に見える成果となります。
「これは成果と言えないかも」と思わずに、ちょっとしたことで成果として
自己評価シートに記載することで縁の下の力持ち的存在から脱せる可能性があります。
まとめ
縁の下の力持ちは目立たない仕事で評価されないですし、
くたびれ儲けで「疲れた」と感じることも多いです。
しかしどんな組織にも縁の下の力持ちは必要で、
縁の下の力持ち的存在が居ない組織は成長しません。
(実際に4番バッターばかり集めたプロ野球チームは優勝できませんでした)
今は評価されないとしても必ず評価される時がいつか来ますから、
縁の下の力持ち的存在を全うしてください。
私も明日出勤したら掃除のおばさんに感謝の気持ちを伝えます。