先日家電を買い替えるために色々なサイトを見ていると、
コストコの通販サイトで「Beko(ベコ)」というブランドの家電を見かけました。
私はBekoという家電ブランドを初めて見たので、
どこの国のメーカーか調べることにしました。
Bekoはどこの国のメーカー?
Beko(ベコ)は、
トルコの電機メーカーである「アルチェリク」の家電(主に白物家電)ブランドです。
アルチェリクは1954年設立で、トルコ国内はもちろんヨーロッパ市場でも
トップクラスのシェアを誇る大手メーカーです。
キッチン家電、生活家電、小物家電など幅広い製品を取り扱う
総合家電メーカーとなっています。
日本では家電ブランドとしてのBekoの知名度は低いですが、
中国では1000店舗ほど展開しており、通販サイトでも旗艦店を運営しています。
中国の「一帯一路政策」にトルコが参加したことでアルチェリクが中国に進出、
一気にBekoブランドの家電が売り上げを伸ばしました。
日本でもBekoブランドの家電は購入できますが、
現状では食洗機と洗濯機ぐらいで種類もそれほど多くありません。
ただ中国でも売り上げを伸ばしているわけですから、近い内に食洗機や
洗濯機以外のBeko製品が日本に入ってくる可能性が高いのではないでしょうか。
Bekoと日本メーカーの関係
Beko製品のメーカーであるアルチェリクは、
日本の大手家電メーカーである「日立製作所」と深い関係があります。
日立が南アジアやヨーロッパ、アフリカの市場に参入するに当たって、
パートナーに選んだのがアルチェリクなのです。
2021年に日立とアルチェリクが合弁会社をトルコに設立、
日立の白物家電の海外事業をアルチェリクとの合弁会社に移管しました。
(https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/12/1216.pdf)
現状では、南アジアやヨーロッパ、アフリカに向けた製品をトルコの合弁会社で
作っており、日本には入ってきていません。
しかしBeko製品が日本に入ってきていますから、
その内日立ブランドのアルチェリク製品が日本にも入ってくる可能性があります。
ヨーロッパや中国で人気のBekoの日本での知名度が低いワケ
Bekoブランドの家電はヨーロッパや中国で人気ですが、
日本ではほとんど知名度がありません。
その大きな理由は
「日本はトルコから電化製品をほとんど輸入していないから」です。
外務省の資料によると、トルコの主要輸出品目で「機械類」と「電気機器・部品」が
合わせて約15%を占めています。
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/turkey/data.html#section4)
ところが、トルコの主要貿易相手国の上位に日本は入っておらず、
トルコから日本への輸出に関しては0.2%(71位)しかありません。
しかもトルコから日本への輸出品は
・魚介類
・繊維製品
・ニット製品
がメインで、主要輸出品目である機械類や電気機器は
日本に輸出していないのです。
(むしろ日本からトルコに機械類を輸出している)
日本には国内電機メーカーがありますし、
アメリカや韓国、中国などの海外メーカーも入ってきています。
これまではトルコから機械類を輸入する必要が無かったので、
Bekoを始めとしたトルコの電化製品が日本にほとんど入ってきていないわけです。
ただBekoの食洗機と冷蔵庫は日本に入ってきていますし、
今度はトルコメーカーの家電を日本で見る機会も増えるかもしれないですね。
サッカーファンならBekoを知らないはずはない?
Bekoがトルコの家電ブランドだと知らなくても、サッカーファンならどこかで
Bekoという文字を見たことがあるのではないでしょうか。
2022年までスペインのサッカー1部リーグ(リーガ)の名門チーム「バルセロナ」の
スポンサーにBekoが名を連ねていました。
(2024年現在はスポンサーから外れている)
ちょうど「楽天」がメインスポンサーを務めている時期と重なっています。
ユニフォームの胸に「Rakuten」、袖に「Beko」のロゴが入っているのを覚えている
サッカーファンも多いと思います。
バルセロナはリーガを27回、UEFAチャンピオンズリーズを5回、
クラブワールドカップを3回制している名門中の名門です。
古くは、マラドーナやヨハン・クライフといった世界最高と言われる選手が
所属していました。
(サッカーに詳しくない私でも2人の名前は知っている)
新しいところだとロナウジーニョやメッシ、日本でもプレーしたミカエル・ラウドルップ、
イニエスタもプレーするなど世界トッププレイヤーが所属するクラブです。
楽天がバルセロナのメインスポンサーに就任したニュースは、
日本でも驚きをもって伝えられていました。
それを考えると、Bekoがバルセロナのスポンサーを務めて
袖にロゴが入っていたことがいかに凄いかわかりますよね。
Bekoにはどんな家電がある?
トルコを含むヨーロッパでは
・冷蔵庫や食洗機などのキッチン家電
・エアコンや洗濯機などの生活家電
・コーヒーメーカーなどの小物家電
など幅広い製品がBekoブランドで販売されています。
ただ2024年10月現在、
日本で取り扱いがあるBekoブランドの家電は食洗機と洗濯機だけです。
種類もそれほど多いわけではなく、
食洗機・洗濯機ともに2種類ずつとなっています。
(https://www.jgap.co.jp/product/beko/)
ちなみに、私が探していたのは冷蔵庫だったので、
Bekoの家電は選択肢に入りませんでした。
洗濯機はともかく食洗機はビルトインタイプのため、買い替えや新規購入で
Beko製品が検討されることは現状では少ないかもしれません。
今後Bekoが本格的に日本に進出すれば、
冷蔵庫やエアコンなども販売されるようになり種類も増えることでしょう。
海外メーカーとしてはBekoの家電は安い
Bekoがヨーロッパや中国で人気となっている理由の1つが「価格の安さ」です。
例えばビルトイン食洗機だと、45cm幅で約22万円、60cm幅で約32万円です。
(https://www.nippocorp.co.jp/brands/beko)
海外メーカーの食洗機と言えば「ミーレ」が有名ですが、ミーレの食洗機は
標準的なモデルだと45cmで30万円前後、60cm幅だと40万円前後です。
ミーレに比べるとBekoのビルトイン食洗機は10万円ぐらい安くなっています。
あくまで海外メーカーとしては安いというだけで、
日本メーカーの製品と比べると割高です。
日本メーカーの食洗機だと、
45cm幅で10万円台、60cm幅でも20万円台で購入できます。
ただ日本メーカーの食洗機の多くは引き出し式で、
Bekoやミーレのようなフロントオープン式は少ないです。
私はビルトイン食洗機を使ったことがないのでわかりませんが、実際に使っている
人に聞くとフロントオープン式の方が食器の出し入れがしやすいそうです。
フロントオープン式の食洗機となると海外メーカーを選ぶしかなく、
その中でも安いものとなるとBekoとなります。
Bekoの家電は長く使える?
裏付ける情報はありませんが、Bekoの家電は長く使える可能性が高いです。
Bekoの主戦場はヨーロッパで、
ヨーロッパでは日本以上にモノを長く使う文化が根付いているとのことです。
壊れてもすぐに買い替えるのではなく修理して使い続け、
電化製品の買い替え頻度は日本より少ないのだとか。
長く使えるモノが求められるヨーロッパで人気があるわけですから、
Bekoの家電は長く使える可能性が高いというわけです。
現状では西日本で使いにくい
2024年10月現在、Bekoの家電は西日本だと使いにくくなっています。
Bekoの製品ページを見るとわかりますが、
洗濯機と45cm幅の食洗機は50Hzの周波数にしか対応していません。
(60cm幅の食洗機には60Hz対応モデルがある)
日本では電気の周波数が50Hzと60Hzの地域に分かれており、
これは世界的に見てもかなり珍しいです。
混在している地域もありますが、新潟県の糸魚川と静岡県の富士川を境に
東側では50Hz、西側では60Hzとなっています。
電気が使われ始めた明治時代は周波数が統一されておらず、
25Hzから133Hzまで8種類ほどの周波数が使われていました。
しかし工場で大型機械が導入されると、周波数がバラバラでは
生産に支障が出るということで周波数の統一が図られます。
この際に国が一括で発電機を輸入すれば良かったのですが、
東京と大阪の電力会社がそれぞれ違う発電機を輸入してしまいました。
東京はドイツから50Hzの発電機、大阪はアメリカから60Hzの発電機を
輸入したため、東日本と西日本で電気の周波数が違っているのです。
周波数を統一するには設備の一斉更新が必要で、手間も費用もかかるので
統一されずに東西で周波数が違うままとなっています。
Bekoはトルコの家電ブランドで周波数は50Hzなので、
取り扱っている家電も50Hzにしか対応していないわけです。
最近は50Hzでも60Hzでも使える電化製品が増えていますが、
Bekoの60cm幅食洗機は50zhモデルと60Hzモデルに分かれています。
と言うことは、洗濯機と45cm幅食洗機は50Hzにしか対応しておらず、
周波数が60Hzの西日本では使えないことになります。
インバーターを使えば西日本でも使えるが・・・
電気の周波数変換器いわゆるインバーターを使えば、
西日本でも50Hz対応のBeko製品が使用可能です。
インバーターを設置すると、
建物内の電気の周波数を50Hzから60Hz、60Hzから50Hzに変換できます。
インバーターで60Hzの周波数を50Hzに変換すれば、
Beko製品が使えるようになるわけです。
ただインバーターの設置には100万円単位の費用がかかります。
インバーターではなく、家電のパーツを交換することでも使えるようになりますが、
こちらも数万円単位の費用が必要です。
数万円であっても費用をかけて対応周波数が違うBeko製品を使うぐらいなら、
自宅の周波数に合った家電を使う方が経済的ですよ。
ちなみに、エアコンやテレビ、炊飯器、トースターなど対応周波数が違っても
そのまま使える家電もあります。
洗濯機や食洗機は対応周波数が違うと使えないタイプの家電なので、
現状では西日本でBeko製品は60cm幅食洗機以外は使えません。
対応周波数が違う洗濯機などを無理に使おうとすると、
モーターに大きな負担がかかって故障の原因となります。
最悪の場合には発火する恐れもありますから、
無理に対応周波数が違う家電を使うのは止めましょう。
まとめ
Beko(ベコ)はトルコのアルチェリクという電機メーカーの家電ブランドです。
サッカースペイン1部リーグのバルセロナのスポンサーを務めていたことから、
Bekoのロゴを目にしたことがあるサッカーファンも多いはずです。
アルチェリクは総合家電メーカーですが、現状の日本で販売されている
Beko製品は洗濯機とビルトイン食洗機だけとなっています。
バルセロナのスポンサーを務めていたことから、
ヨーロッパでは高い知名度と信用があるブランドだと思われます。
今後日本に本格的に進出してきた時には注目したい家電ブランドですね。