会社で昇進・昇格するには「アピールが重要」と言われますが、
同僚や上司にアピールすることに意味を感じない人も多いのではないでしょうか。
本当に昇進・昇格のためのアピールには意味があるのか、
について詳しく見ていきましょう。
アピール上手ほど昇進・昇格する事実
昇進・昇格するため必要以上に上司ヘアピールすることに意味を感じない人も
多いかもしれませんが、アピール上手ほど昇進・昇格するのも事実です。
もちろん能力があって十分な成果を上げることが何より重要ですが、
同じ能力・成果ならアピールをした方が評価されやすいのです。
日本では「自分を大袈裟にアピールしない」のが良くて、アピールしなくても
能力があって成果を上げれば誰かが評価してくれるとされています。
例えば、スポーツ選手のように結果が目に見えやすい職業であれば、
自分で積極的にアピールしなくても結果を残せば周りが評価してくれます。
しかしビジネスパーソンには、営業成績のように目に見える分かりやすい成果も
ありますが、数字には表れない成果もあるのです。
数字に表れない成果を正しく評価してもらって、
昇進・昇格に繋げるにはアピールすることが重要となるわけです。
宣伝しなければ良い商品を作っても売れない
この数年、多くの会社や事業者が倒産・廃業したというニュースをよく耳にします。
倒産・廃業したのはヒットする商品・サービスを提供できなかったからですが、
商品・サービスの質が悪いからヒットしなかったわけではありません。
中には素晴らしい商品・サービスを提供しているにも関わらず、アピールが
足りないために多くの人に知ってもらえずにヒットしなかったものもあるのです。
経営の神様とも言われる松下電器(現パナソニック)の創業者である
松下幸之助氏は「宣伝広告は商売人の義務」と生前語っています。
(https://dot.asahi.com/articles/-/125917?page=1)
「この商品を使えばあなたの利益になる」ということを消費者に伝える義務がある、
その義務を果たす手段が「宣伝広告」だと松下氏は言っていたのです。
消費者の立場で考えると、
確かにTVやネットで宣伝されている商品の方が目に付きやすいです。
同じ役割の商品を比較する場合、
最終的な決め手は「TVで宣伝していて有名だから」だったりします。
松下氏の言葉をビジネスに当てはめると、
「自分を使えば会社の利益になる」とアピールすることが重要となります。
いくら能力があって成果を上げていても、
アピールが足りないと上司に評価されず引き上げてもらえません。
上司からすれば、同じように仕事ができる部下が2人居る場合は
目立っている方が目に付きやすくて評価しやすいことになります。
昇進・昇格するためには、
自分の存在が会社に利益になることを上司にアピールすることが重要なのです。
アピールするには能力があることが前提
松下幸之助氏は宣伝広告の重要性を説くと同時に、
「宣伝もできないようなものは作ってはならない」とも言っています。
要するに、宣伝広告するだけの価値のある物を作るのが前提で、
価値のある物が作れないなら宣伝広告しても意味がないということです。
会社で昇進・昇格するには上司へのアピールが重要ですが、
アピールするには能力があることが前提となります。
仕事ができない人がアピールしても昇進・昇格できるわけではなく、
あくまで能力のある人がアピールしないと昇進・昇格には繋がらないのです。
能力よりも目立つことの方が重要?
日本企業では目立つことはあまり良くないとされていますが、
外資系企業では目立つことがキャリアアップでは重要となっています。
外資系企業でキャリアアップするのに重要なのが、
「PIE(パイ)の原則」というものです。
「P」はPerformanceで仕事の能力、「I」はImageで印象、「E」はExposureで
目立っていることをそれぞれ指しています。
キャリアアップには上記3つが必要で、その割合が1:3:6とされているのです。
外資系企業で評価される割合は、仕事の能力は10の内1だけで、
印象と目立っていることが残り9を占めています。
勘違いしてはいけないのは、「仕事の能力が無くても印象が良くて目立っていれば
昇進・昇格できる」というわけではないということです。
外資系企業においてキャリアアップするのにも能力が第一で、
仕事ができることは前提です。
仕事ができるのは当たり前として、
仕事ができる以上に目立つことが重要となっています。
昇進・昇格のためのアピールはわざとらしくて意味を感じないと思いますが、
アピールして目立たないことには評価されにくいというのも事実なのです。
昇進・昇格のためのアピールが目的になってはいけない
昇進・昇格のためのアピールに意味を感じない人は、
アピールが「目的」になっているかではないでしょうか。
アピールして目立つことは昇進・昇格するための手段であって、
アピールすることが目的ではありません。
ビジネスパーソンの本来の目的は「会社のために成果を上げること」です。
真剣に仕事に取り組んで本来の目的を達成すれば、
特別なアピールをしなくても上司にとっては目立つ存在となるのです。
本来の目的を見失ってアピールすることが目的になると、
無駄に残業して仕事量をこなして「頑張っているアピール」をすることになります。
頑張っているアピールをする部下は上司にとってある意味目立つ存在では
あるものの、評価する対象にはなりえません。
「成果を上げる」という本来の目的を見失っていないビジネスパーソンは、
「仕事は量よりも質が重要」ということに気付いています。
必要以上に残業はしないし休日出勤もしない、
でもきっちりと成果を上げることでアピールするのです。
「一生懸命頑張っていれば誰かが見てくれている」とよく言われますが、
これは「本来の目的を見失わずに頑張っていれば」ということです。
昇進・昇格するためにはアピールが重要ですが、
上司へのアピールが目的になっては昇進・昇格には繋がりません。
昇進・昇格のためのアピールに意味を持たせるには
会社で昇進・昇格のためのアピールをすることに意味を感じない人は、
アピールすることが目的になってしまっているからです。
アピールすることが目的とならずに、
昇進・昇格のためのアピールに意味を持たせるにはどうすれば良いのでしょうか?
上司への報告の仕方でもアピールできる
「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」は仕事の基本として入社してすぐに
教えられますが、報告の仕方1つで上司の印象が大きく変わります。
例えば1か月後を期限として仕事を任されたとします。
よほど行き詰ったり困ったことがなければ自分1人で仕事を進めて、
完了したら上司に報告するのが普通です。
期限1か月の仕事を1週間10日で済ませられるなら、
この仕事の進め方・報告の仕方でも全く問題ありません。
(本来1か月かかる仕事を1週間10日で終わらせられることがアピールになる)
しかし1か月という時間を目一杯使って仕事を完了させる場合には、
報告の仕方を変えた方が上司の印象に残りやすいです。
任された仕事の期限である1か月を、
1週間なり10日なり短い期間でいくつかに区切り、区切りごとに目標を策定します。
自分で決めた1週間なり10日なりの区切りが来たら、
その時点での進捗状況と今後の進め方を上司に中間報告するのです。
与えられた期限をさらに細かく区切って目標を立てることで、
「仕事の進め方が上手い」と上司に印象付けられます。
また中間報告の際に、ここまでの成果やこれからの仕事の進め方について
上司にアドバイスを求めます。
アドバイスを求めることは「相談」となり、相談されてイヤな上司は居ませんから、
さらにプラスの印象を与えることができるのです。
仕事ができる上にアピールが上手いビジネスパーソンは、
実際にこうした報告の仕方をしています。
1つの質問でもアピールできる
上司にたった1つ質問するだけでも、昇進・昇格のためのアピールができます。
アピールするためのたった1つの質問は、
「会社の目標達成のために私ができることは何ですか?」です。
「会社」の部分を「部署」にしても良いですし、上司の名前にしてもOKです。
終身雇用制が崩壊して、キャリアアップのための転職が当たり前となった現在では、
「会社への忠誠心」を示すことが大きなアピールとなります。
自分のためではなく会社・部署・上司のために何ができるのかを聞くことで、
会社への忠誠心があることを上司に対してアピールできるのです。
経験を積んだらすぐに転職しそうな社員と長く勤め続けてくれそうな社員、
会社・上司としては後者を重宝したいと思うのは当然です。
高い目標を設定されたら
「会社の目標達成のために私ができることは何ですか?」と聞いたら、
思っていたよりも高度なことを求められるといったことがあるかもしれません。
現状の自分の能力では難しいことを求められたら、
先の質問はアピールするどころか藪蛇だったと感じてしまいます。
しかし思っていたよりも高度なことを求められた場合には、
二の句三の句の継ぐことで上司へのアピールに繋がります。
二の句として「自分に求められたことが、
会社の目標達成のためになぜ必要なのですか?」と続けるのです。
そして三の句として「何とか頑張りたいですが、現状の自分の能力では
難しいかもしれないので具体的なサポートをお願いします」と継ぎます。
単に「自分にはできそうもない」と不安を伝えるのではなく、前向きに取り組む
けれども今の自分には難しいかもしれないと、まず前向きな姿勢を伝えます。
上司は、成果を出せるかどうかの前に「仕事に前向きに取り組めるかどうか」を
見ているのです。
仕事に前向きに取り組む部下に対しては、
上司は積極的に協力・サポートしたいと思ってくれます。
前向きに取り組むことをアピールしつつ不安を伝えることで、
上司のサポートを引き出せるというわけです。
上司のサポートを引き出せれば、仕事での上司との距離が縮まります。
距離が縮まれば、後は仕事で結果を残しさえすれば上司にアピールできて、
意味を感じないアピールをする必要が無くなります。
まとめ
会社で昇進・昇格のためのアピールをすることに意味を感じないかもしれませんが、
アピールすることは昇進・昇格には必要です。
上司へアピールすることに意味を感じないのは、アピールすることが
目的になっているかアピールの仕方を間違っている可能性が高いです。
あからさまにアピールしなくても、
仕事の報告の仕方を変えるだけでアピールすることはできます。
昇進・昇格している人は能力がある上にアピール上手です。
私のように昇進・昇格を諦めるならアピール上手にならなくても良いですが、
昇進・昇格したいならぜひアピール上手になってください。