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「希望していない異動でやる気おきない」を乗り越えるには

決算の次は人事異動と、春・秋は会社勤めしているビジネスパーソンの気が
納まりませんが、人事異動では必ずしも希望する部署に配属されるとは限りません。

では、希望していない異動の辞令が下ってやる気おきない場合には
どうすれば良いのでしょうか?

そもそも人事異動はなぜ行われる?

現場で働くビジネスパーソンからすると、
「同じ部署で慣れた仕事を続けた方が効率的」です。

それを新しい部署に異動させてわざわざ慣れない仕事をさせる、
という非効率なことをさせる理由は何なのでしょうか?

会社が人事異動を行う目的はいくつかありますが、
主な理由として1つ挙げられるのが「社員の成長のため」です。

1つの部署に所属し続けて同じ仕事をしていると、その部署・仕事の
エキスパートになるかもしれませんが、仕事の幅が限られてしまいます。

例えば営業部でずっと仕事をしていれば営業のことは詳しくなりますが、
マーケティングや経理については分からないままです。

営業のことにしか詳しくない社員を、幅広い知識と視野が求められる管理職に
引き上げることは会社としてはできません。

異動で営業以外の仕事を経験させて仕事の幅と視野が広げ、
管理職としてふさわしい能力を身に付けてもらおうというわけです。

期待されていないから、今の部署で能力が認められていないから
異動を命じられるわけではありません。

むしろ将来的に管理職を任せられる人材になってもらいたい
という期待があるからこそ、異動を命じられるのです。

適材適所に配置するため

それぞれの社員の能力に見合った部署・仕事に就かせる、
いわゆる適材適所のために人事異動は行われます。

営業こそ天職と思っていても、
経理や総務で仕事をしたらもっと能力が活かせることがあるかもしれません。

裏方としての事務仕事が向いていると思っていても、
実は現場に出たらもっと活躍できるといったことがあるかもしれないのです。

能力に見合った部署・仕事に就いてくれた方が会社としてもプラスですから、
適材適所を見極めるためにも異動が行われます。

異動した結果合わないこともあるかもしれませんが、それはそれで「この社員にこの仕事は向かない」と見極められることになります。

組織を成長させるため

定期的な人事異動には、「組織を成長させる」という目的もあるのです。

異動が一切なく、ずっと同じメンバーが同じ部署で同じ仕事を続けている
「マンネリ化」が起こってしまいます。

同じメンバーが同じやり方で仕事に取り組んでいては新しい発想は生まれず、
組織として衰退しないまでも成長もしません。

異動によって人を入れ替えることで、
新しい考え方・やり方で仕事に取り組めるようになります。

他の部署で培ったノウハウを活かせることもありますし、
異動で人が入れ替えると組織としての成長が期待できるのです。

不正の防止

異動によって定期的に人を入れ替えることで「不正の防止」にもなります。

人の入れ替わりがないと、
外部の目が届きにくくなってブラックボックス化しやすいです。

経理など特にお金を扱う部署がブラックボックス化すると、
会社に大きな損害を与えることになってしまいます。

会社で「金庫番」と言われる経理担当者が会社のお金を
長年に渡って横領していた、というニュースを実際に見聞きしたことがあります。

不正が発覚すると、不正を行った社員だけでなく会社も金銭面や信用の面で
大きなダメージを受けるのです。

不正の温床となるブラックボックス化を避けるためにも、
定期的な人事異動が必要というわけです。

「希望していない異動でやる気おきない」どうすれば良い?

人によっては希望した部署に異動できることもありますが、
希望していない異動となることも少なくありません。

やりたい仕事がさせてもらえずにやる気おきない場合には、
どうすれば良いのでしょうか?

異動の理由を確認する

希望していない異動を命じられると、
どうしても「左遷された」「追い出された」などマイナスイメージを抱いてしまいます。

マイナスイメージを抱いたままではやる気おきないのも当然ですから、
希望していない異動を命じられたら「異動の理由」を確認しましょう。

会社側に異動の理由を開示する義務はありませんが、異動が嫌がらせや
上司の好き嫌いで行われたのではないことの証明は必要です。

人事担当者や上司に尋ねれば
 ・違う部署で経験を積んでほしい
 ・スキルアップしてほしい
 ・将来管理職になるためには他の仕事も知っておいた方が良い
など異動の理由を教えてもらえることがあります。

もちろん本当の理由であるとは限りませんが、
前向きな理由であれば希望していない異動であっても前向きに受け止められます。

多少なりとも会社から期待されているとなれば、
希望していない異動であってもやる気おきないことにはなりませんよ。

異動先に馴染む努力をする

希望していない異動でやる気おきないとしても仕事はしないといけませんから、異動先に馴染むよう心がけましょう。

やる気おきないことが伝わるようでは周りも仕事がしにくいです。

内心ではやる気がおきなくても、表面上は異動先の上司や同僚としっかりと
コミュニケーションを取って馴染むように努力する必要があります。

各部署にはそれぞれ難しさと同時に楽しさもありますから、
表面上だけでも馴染もうと努力していれば楽しさが分かってくるかもしれません。

また希望していない部署が自分に合っていたということもあります。

仕事で成果を上げれば希望が通りやすくなりますし、
成果を上げれば次の異動で希望部署に配属される可能性が高くなります。

やる気おきないからと言っていい加減に仕事をしていると、
よけいに希望部署に異動できません。

次の異動で希望部署に異動したいなら、
前向きに仕事に取り組んで成果を上げるようにしましょう。

希望していない異動を理由に転職するのはおすすめできない

希望していない異動でやる気おきない場合には「転職」が頭をよぎります。

転職サービスのCMをネットやテレビでよく見かけますし、希望していない部署に
異動させられるなら思い切って転職しようと思うかもしれません。

しかし希望していない異動でやる気おきないからと言って、
安易に転職するのはあまりおすすめできないです。

異動の理由が、
 ・経験を積んでほしい
 ・スキルアップしてほしい
 ・他の仕事を知ってほしい
などといった場合は、
現在の会社でも「何か足りない」と思われている可能性が高いです。

現状で「何か足りない」と思われている人が転職しても、
転職先で希望する仕事をさせてもらえるとは限りません。

転職先によっては一からキャリアを積み直すことになって、
今の会社でのキャリアが無駄になってしまうこともあるのです。

異動の理由を教えてもらえない、
納得がいかないといった場合は転職も1つの選択肢となります。

しかし期待されての異動の場合は、たとえ希望していない異動でやる気おきない
と言っても転職するのは得策とは言えません。

むしろ希望していない異動先でキャリアを積む方が、
将来的にはやりたい仕事ができる可能性が高くなります。

希望していない異動は拒否できる?

いきなり異動の辞令が下ることもありますが、
大抵は内示という形で事前に異動を知らされます。

辞令でも内示でも異動が希望していないものである場合には、
拒否することはできるのでしょうか?

結論から言うと、異動を拒否することは難しいです。

労働基準法や労働契約法によって従業員の権利が守られており、
会社は従業員を簡単に解雇できません。
(https://kigyobengo.com/media/useful/3082.html#i)

簡単に解雇ができない反面、
一定の強い人事権が会社側に認められているのです。

もちろん会社側は従業員を理由なく異動させることはできませんが、
従業員側も理由なく異動を拒否することはできません。

異動の理由が不当、もしくは拒否するのに正当な理由があるといった場合には
異動を拒否できます。

しかし会社側に異動の理由を開示する義務はありませんし、
不当であることを証明するハードルはかなり高いです。

拒否する正当な理由も限られていますから、
従業員側の都合で異動を拒否することは難しいというわけです。

異動が拒否できる正当な理由

異動を拒否できる正当な理由の1つは、
「契約で職種や勤務地が限定されていること」です。

会社に勤めるということは会社と従業員の間で雇用契約を結ぶことで、
その雇用契約で職種や勤務地が限定されているケースがあります。

例えば
 ・事務職に限定されているのに外回りの営業職に異動させられた
 ・勤務地が東京に限定されているのに北海道の営業所に異動させられた
などといった場合には異動を拒否できます。

希望していない異動で拒否したい場合には、
まず雇用契約書の内容を確認しましょう。

従業員にやむを得ない事情がある

異動を命じられた従業員にやむを得ない事情がある場合、
異動を拒否できることがあります。

ただやむを得ない事情で拒否できるのは、
「異動によって家族の介護ができなくなる」などのケースに限られます。

特殊な病気などで特定の病院・施設での治療・介護が必要で、
異動で病院・施設への送り迎えが困難になる、などといった場合です。

単に子どもの送り迎えができなくなる、妻が妊娠中で引っ越すのは負担が大きい
などの理由では拒否できない可能性が高いです。
(従業員本人が妊娠している場合は拒否できることもある)

異動によって給与が下がる

異動することで給与が下がる場合には、異動を拒否することができます。

会社には一定の強い人事権が認められているものの、
異動と同時に給与を引き下げることは認められていません。

職種によって給与体系が違っていて、
異動することで多少給与が上下するのは仕方がないです。

しかし給与体系の違いを越えた大幅な給与の減額が異動と同時に行われる
場合は、異動自体が違法として認められない可能性が高いです。

内示の段階なら拒否できる?

「辞令」として正式に言い渡されると拒否できないけど「内示」の段階であれば
拒否できる、と言われることがあります。

会社によっては内示の段階なら交渉の余地があることもありますが、
大抵の場合は内示の段階でも拒否できません。

辞令として社内に公表されて正式決定となり、内示は上司と異動する社員の
間だけの話で正式決定じゃないから拒否できるという理屈です。

しかし内示は上司一人の意向で出せるものではなく、
社内的にはすで決定事項として内示が出されます。

辞令はあくまで形式的なもので、
内示の段階ですでに異動することが決定しているので拒否できないのです。

内示の段階であっても拒否すれば「命令違反」となり、
解雇される理由となってしまいます。

まとめ

希望していない異動でやる気おきない、
というのはビジネスパーソンにとってはよくあることです。

と言っても仕事を辞めるわけにはいきませんし、転職するのも簡単ではなく、
希望していなくてもやる気がおきなくても異動先で仕事をするしかありません。

どうせ仕事をするなら前向きに取り組んで成果を上げて、
次の異動で希望が通りやすくするのも1つの方法ですよ。

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