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20代の年収を上げる代わりに、40代の年収が抑えられている?

20代の頃は「40歳くらいになればそれなりの給料を貰える」と思っていましたが、
実際に40代になっても若い時に考えていたほどは給料が上がっていません。

40代の年収が増えないのにはいくつか要因がありますが、
実は「20代の若者のせいで40代の年収が上がらない」と言われているのです。

20代の年収を上げる代わりに、40代の年収が抑えらえている?

20代の若者の年収を増やすために、
我々40代の年収が抑えられていると言われることがあります。

高度経済成長期やバブル期のように企業の業績が常時右肩上がりなら、
20代の年収を増やすのに40代の年収を抑える必要はないです。

しかしバブルが崩壊して以降は、企業の業績が常時右肩上がりにはなっておらず、
また上がり幅の小さくなっています。

業績はそれほど上がっていないのに、
全世代の社員の給料を上げていては企業の財布がもちません。

人件費を大幅に増やさずにやりくりするには、どこかの年代の給料を上げたら、
どこかの年代の給料を抑えないといけないわけです。

それが「20代の年収を上げる代わりに、
40代の年収が抑えられている」という現状になっているのです。

なぜ20代を優遇して40代を冷遇するのか

企業が人件費を大幅に増やさないためには、どこかの年代の給料を上げる
代わりにどこかの年代の給料を抑えるという理屈は分かります。

では、給料を上げる年代が20代で、
その代わりに給料を抑えられる年代が40代になっているのでしょうか?

給料を上げる年代として20代が選ばれている大きな理由は「人手不足」です。

最大の人口ボリュームゾーンである団塊の世代がリタイアし始めたことに加えて、
少子化によって人手不足が問題となっています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートによると、
2022年時点の企業の未充足求人は130万人にも上るとされています。
(https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2023/05/report_230508_01.pdf)

団塊の世代のリタイアなどで従業員が辞めても、
新たな従業員を十分に補充できてない企業があるということです。

人手不足の中で企業が必要な人員を確保するためには、
できるだけ「良い待遇」で募集をかけます。

待遇を良くするということは、勤務時間や勤務地などの条件に加えて
「給料を高く設定する」ということになります。

要するに、「高収入」を売りにして必要な人員を確保しようというわけです。

業績が好調で忙しくなって人手が足りなくなったわけではなく、
団塊の世代のリタイアなどで人手が足りなくなっただけです。

新たに確保する従業員の給料を上げるだけだと、
業績は上がっていないのに人件費を増やすことになります。

人件費を一定の水準に抑えるには、新たに確保する従業員の給料を上げる
代わりにどこかで給料を抑えないといけません。

給料を抑えないといけない「どこか」が40代になってしまっているのです。

この数年で大卒初任給が急激に上がっている

「20代の年収を上げる代わりに、40代の年収が抑えられている」と言われても、
「イヤ全然年収増えてないから」と反論する20代も多いと思います。

しかし、この数年で大卒初任給が急激に上がっており、
確実に20代の年収は増えているのです。

中間集計ですが、2024年の大卒初任給の水準は約226,000円、
前年に比べて約4%、金額にすると8,700円ほど上がっています。
(https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/chinginseido/shoninkyu/pr2404.html)

2023年から2024年の1年間で見ると大して上がっていませんが、
もう少し長いスパンで見ると急激に上がっているのが分かります。

東京労働局のデータでは、2022年の大卒初任給は約21万円、
2020年からの3年間はほぼ据え置きです。
(https://magazine.sbiaruhi.co.jp/0000-5998/)

もっと長いスパンで見ると、1996年に大卒初任給が20万円を超えて以降
2019年までの20年間20万円台で推移していました。

ところが2020年に21万円台、2024年には22万円台と
この4~5年の間に2万円以上も初任給が上がっています。

月2万円だと年24万円ですから、我々氷河期世代が新入社員だった頃と比べると
一か月分も多く貰っていることになります。

実際に働いていて、昇進昇格したわけでもないのに月の給料が
いきなり2万円も増えるなんてことはほとんどありません。

ビジネスパーソンにとってほとんど無いことが大卒初任給で起こっているわけ
ですから、20代の年収は確実に増えているのです。

給料を抑える「どこか」が40代なのはなぜ?

20代の年収を上げる代わりにどこかの年収を抑えないといけないとして、
その「どこか」が40代なのはなぜなのでしょうか?

氷河期世代だから

20代の代わりに年収が抑えられているのが40代なのは、
ひとえに「氷河期世代だから」だと思われます。

2024年現在は、人手不足で求職者の数よりも求人数の方が多い
「売り手市場」ですから、働く側が雇う側を選べます。

希望する職種・業種の中から給料の高い企業を求職者は選ぶことができます。

ところが我々氷河期世代が就職する頃は、
求職者よりも求人の数が少ない年もあるぐらい「超買い手市場」でした。

就職することすら難しい状況だったので、
希望する職種や業種で企業を絞ることはなかなかできなかったです。

まして内定がもらえれば御の字でしたから、
給料の高い企業を選ぶなんて余裕はありませんでした。

企業側の立場が圧倒的に強かったので、給料が多少安くても
昇給が期待できなくても氷河期世代は文句が言えなかったのです。

要するに、企業側が意図的に40代の年収を抑えているわけではなく、
就職した時の条件から年収が低くならざるをえないということです。

氷河期世代は年収を抑えられても文句を言わない

一概には言えないかもしれませんが、氷河期世代は年収を抑えられても
勤めている企業に対してあまり文句を言わない傾向があると思います。

私もそうですが、氷河期の就職難で今働いている会社には
「拾ってもらった」という思いがあるのです。

就職できずに派遣社員や契約社員、アルバイトで働かざるをえなかった
同級生を少なからず見ています。

今でこそ多少はマシになったものの、我々が20代の頃の派遣など
非正規雇用の労働条件はお世辞にも良いとは言えませんでした。

多少責任は軽いですが正社員と同じ仕事をしているのに、
給料は安くてボーナスや退職金が貰えません。

有期雇用なのでいつ職を失うか分かりませんし、
社会保険や厚生年金に加入できないケースもありました。

「劣悪」とも言える労働条件の非正規雇用と比べると、多少仕事はキツくても
給料が安くても正社員として雇ってもらえるのはありがたかったです。

就職難の中で「拾ってもらった」という思いがあるので、
40代になって年収が抑えられたとしも会社に文句を言いにくいのです。

それを逆手に取っているわけではないでしょうが、文句を言わない氷河期世代は
企業側からすると年収が抑えやすい存在と言えます。

40代は転職しにくい

20代の代わりに40代の年収が抑えられる理由としてもう1つ、
「40代になると転職しにくくなる」ということが挙げられます。

今は転職が当たり前になっていて、
20代30代で既に1回2回転職しているといったケースも珍しくありません。

転職支援サービスも充実しており、20代30代は転職しやすい現状となっています。

ところが40歳を境に転職の求人が少なくなって、
一気に転職のハードルが高くなってしまうのです。

転職は盛んになっているものの40代の人材は求められておらず、
転職による中途採用は35歳までと考える企業が多くなっています。
(https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000557900.pdf#page=22)

転職しにくい40代は、雇っている企業側からすると
「多少無理な条件を押し付けられる年代」ということになります。

転職が難しく退職するリスクが低いので、
40代の年収が抑えられているというわけです。

40代の転職率は20代30代より少ない

40代での転職が難しいのは、
20代30代と比べて転職率が少ないことからも分かります。

厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、40代の転職率は
 ・40~44歳 男性5.4% 女性8.6%
 ・45~49歳 男性4.5% 女性8.4%
となっています。
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/22-2/index.html)

20代の転職率が13%台、30代は11~14%程度ですから、
40歳を境に一気に転職する人が少なくなっていることが分かるのです。

転職が当たり前となっていて支援サービスも充実しているので、
20代30代と条件が同じなら40代の転職率はもっと高くても良いはずです。

ところが実際には40代男性に至っては転職率が20代30代の半分以下ですから、
40代の転職条件の厳しさを示しています。

40代で転職するにはスキルが必要

40代で、今働いている会社より条件の良い会社に転職するには「スキル」が
求められます。

中途採用する企業側からすると、40代は育成する人材ではなく即戦力の人材です。

一から育成するのであれば、
20代や30代前半の人材を採用した方が長く活躍してくれるので効率的です。

40代を育成しても戦力になる頃には定年が近づいているので、
40代を中途採用するなら即戦力となります。

40代で転職するには即戦力となるスキルが求められ、スキルを持っていない40代は転職が難しいのです。

実際に、
40代で転職が有利になるスキルを持っている人材はそれほど多くありません。

転職に有利なスキルを持っている40代は、
今働いている会社でも重用される存在のはずです。

役職に就いて年収もそれなりの金額になっているでしょうから、
転職する理由がありません。

スキルを持っていない40代は転職が難しいので、
雇っている企業側からすると年収を抑えやすい存在なのです。

年功序列の崩壊

20代の代わりに40代の年収が抑えられている理由としては、
「年功序列の崩壊」も挙げられます。

正確には、「年功序列の崩壊を理由に企業側が40代の年収を抑えている」
といった感じでしょうか。

最近は年功序列という人事制度を取り入れている企業は少なくなっていますが、
私が就職した頃はまだまだ年功序列の企業は多かったです。

年功序列は年齢や勤続年数が評価基準になる人事制度で、
簡単に言うと長く勤めているだけで役職と給料が上がるということです。

我々氷河期世代より上の世代は年功序列の恩恵を受けていて、
実際に年齢や勤続年数によって役職や給料が上がっています。

上の世代も一定のところで止まっているケースが多いですが、
それでも年功序列の恩恵は我々世代よりも受けています。

我々氷河期世代がいざ恩恵が受けられる年代になった頃に、
年功序列が崩壊してしまったのです。

現状でも年功序列を取り入れている企業は少なからずありますが、それでも
以前のように「長く勤めているだけ」では役職は給料は上がらなくなっています。

氷河期世代が恩恵を受けられそうな年代になったところで年功序列が崩壊、
恩恵を受けられずに年収が抑えられているというわけです。

まとめ

「20代の年収を上げる代わりに、40代の年収が抑えられている」というのは、
あながち間違っていないと思われます。

年収が上がっているということはそれだけの働きが期待されていますから、
それなりに今の20代も大変です。

ただ20代の時は就職難の上に給料が抑えられて、40代になっても
20代のために年収を抑えられている氷河期世代はもっと大変なんです・・・。

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この記事を書いた人

はじめまして、こんにちは。
HN:ミカエルといいます。
1978年生まれ、40代独身の中小企業サラリーマンです。ずっと平社員、つまり「ヒラ」です。

もともと理系ですが、プログラミングなどの専門スキルはなく、PCも人並みに使える程度。性格は内向的で、人前で話すのは大の苦手。そんな自分なりに頑張ってきたつもりですが、気づけば40代になっても平社員のまま。悔しさや惨めさを感じたこともありましたが、これからは気持ちを切り替え、「仕事は仕事」と割り切りながら、健康に気をつけつつ、投資や副業で新しい道を模索していこうと考えています。


「ヒラサラ」について
「ヒラサラ」は、意識低めの40代平社員が、会社や仕事に振り回されず、無理なく生きるためのヒントを発信するブログです。

社会では「出世しないとダメ」「頑張らないと負け組」といった風潮が根強いですが、私は「優秀じゃないと受け入れられない社会」から降りる選択肢もアリだと考えています。

このブログでは、
✅ 仕事は仕事と割り切る考え方
✅ 健康を維持しながら無理なく働く方法
✅ 副業・投資を活用して人生の選択肢を広げるヒント
✅ 会社に依存せず、個人としての価値を高める方法

などを、リアルな経験を交えながら発信していきます。

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