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氷河期世代はほかの世代に比べて損ばかり?

バブル崩壊後、特に1993年から2005年の間に社会人となった人たちは
「氷河期世代」と呼ばれます。

我々氷河期世代には上の世代にも下の世代にも理解されない辛さを抱えており、
言ってみれば「損ばかり」押し付けられている世代なのです。

団塊の世代やバブル世代にはじき出された就職氷河期

現在は人手不足で外国人労働者の受け入れが必要なほどですが、
我々氷河期世代は今では考えられないほど就職難でした。

バブルが崩壊して日本経済が戦後最大級の不景気に陥り、
日本中の企業という企業が従業員を増やす余裕が無かったのです。

加えて我々の親世代、
いわゆる「団塊の世代」が40代半ばから50代前半の働き盛りの年代でした。

さらに我々より少し上のバブル世代が大量に入社していたこともあって、
我々氷河期世代が入る隙間がありませんでした。

法律によって解雇が規制されていることもあって、
余っている団塊の世代やバブル世代を簡単に解雇することはできません。

企業は余っている社内の人材を活用することで新卒採用を絞ったのです。

要するに、団塊の世代やバブル世代が働き手として大量に居たため、
不景気のあおりを我々氷河期世代がまともに受けることになったというわけです。

100社落ちてからが勝負の就活

最近は就活でもネットサービスを利用して、
人によっては企業側からスカウトが来ることもあります。

我々氷河期世代が就活する頃はインターネットが一般的に普及し始めたばかりで、
就活のネットサービスはそれほど充実していませんでした。

私が就活する時にはネットサービスが無いことはありませんでしたが、
せいぜい求人を検索したり面接などのスケジュールを管理できるぐらいでした。

AIを使っておすすめの求人をピックアップしてくれることもありませんし、
ネットサービスがあっても就活はまだまだアナログだったのです。

リアルに「100社落ちてからが勝負」と言われていて、
エントリーシートを100社200社送るのは当たり前でした。

それでも面接に進めるのは数えるほどで、
内定をもらえるのは100社応募して1社あるかないかという状況だったのです。

私は早い段階から業種や職種を絞らなかったこともあって、
幸いにも数十社にエントリーシートを送っただけで内定がもらえました。

しかし100社以上応募したのに1社も面接に進めなかったという同級生も
居ましたし、今では考えられないほど就職しにくい時代だったのです。

我々より上のバブル世代は超売り手市場で、内定を辞退させないために企業が
内定者を海外旅行に招待するなんてこともありました。

氷河期世代は内定がもらえるだけでもありがたく、
内定辞退なんて考えられませんでした。

有効求人倍率が1を切っていた

今の若い世代に「氷河期は就職難だった」と言ってもなかなか信じてもらえない
でしょうが、当時の有効求人倍率を見れば分かってもらえるはずです。

有効求人倍率は、ハローワークに出されている企業の求人数をハローワークに
登録している求職者の数で割ったものです。

例えばハローワークの求人数が100でハローワークに登録している求職者数が
100だと有効求人倍率は1倍となります。

2023年の有効求人倍率の年平均が約1.3倍ですから、
求職者数よりも求人数の方が多くなっています。

業種や職種を選ばらなければ、
ハローワークに登録している求職者は全員就職することが可能です。

ところが、氷河期である1993年から2005年までは有効求人倍率の年平均は
1倍を切っています。

特に氷河期に入った1993年と超氷河期と言われる2000年が酷く、
1993年10月には0.67倍、2005年には0.59倍でした。
(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0301.html)

新卒を対象とした求人に絞っても1998年には1倍を切っています。

今は選ばなければ就職できる時代ですが、
氷河期は選ばなくても就職できない時代だったのです。

時代の変化のあおりをまともに受けた氷河期世代

我々氷河期世代が「損ばかり」なのは、
時代が変わる過渡期に就活の時期を迎えたことにもあります。

先にも少し書きましたが、ちょうどインターネットが一般的に普及し始めた頃で、
パソコンやネットが使えるスキルが求められるようになります。

実際に、応募要項に「WordやExcelが使えること」といった条件が
書かれていたこともありました。

私が高校の頃にパソコンの授業が始まり、
大学ではコンピュータ室で何十台ものパソコンが自由に使えました。

私は比較的パソコンに興味があったので、
ブラインドタッチができてWordとExcelも多少は使えました。

そのおかげもあって、
幸いにも今の会社に正社員として拾ってもらうことができたのかもしれません。

しかし当たり前にパソコンが自宅にあるという時代ではなかったので、
急にパソコンのスキルが求められても困る人も少なくなかったはずです。

我々より上の世代はまだまだアナログの時代で、
就活では当然パソコンスキルは求められませんでした。

我々より下の世代は小さい頃から当たり前にパソコンやインターネットに
触れており、自宅にもパソコンがあるのが一般的です。

小学校や中学校でプログラミングの授業があったりして、
就活時点でほぼ全員が一定程度のパソコンスキルを身に付けています。

氷河期世代はちょうど狭間で、
パソコンスキルを持っている人と持っていない人が混在していました。

にも関わらず、就活ではパソコンスキルを求められることも増えていたので、
スキルを持っていない人は特に就活で苦労したのです。

そもそもパソコンスキルなど求められない上の世代、全員がパソコンスキルを
身に付けている下の世代に比べると、狭間の氷河期世代は損です。

終身雇用制の崩壊

我々氷河期世代が社会に出る頃は、
ちょうど「終身雇用制」の崩壊が始まる頃でもありました。

終身雇用制は就職したら定年まで働き続けられる制度で、
高度経済成長期を支えた雇用制度でもあったのです。

労働者は一度就職すると定年まで安定して働けますから、
結婚や子育てなどライフプランが立てやすいです。

企業にしても社員を一からじっくり育てることができて、
戦力の流出の心配がないというメリットがあります。

しかしバブル崩壊や規制緩和によって外資が参入してきたことで、
雇用制度にも欧米の考え方が反映されるようになります。

その結果日本独自の終身雇用制は崩壊、
労働者の選択肢が増える代わりに雇用の安定性も失われてしまいました。

終身雇用制が崩壊しても我々より上の世代は雇用が守られており、
崩壊後に就職した氷河期世代から雇用が不安定になったのです。

小さい時から「良い大学を出て良い会社に入れば一生安泰」と教えられてきたのに、
社会に出たらそれが通用しなくなっているのですから損ですよね。

年功序列の崩壊

終身雇用制とともに、
氷河期世代が社会に出る頃には「年功序列」も崩壊し始めていました。

年功序列は、年齢や勤続年数によって役職や給料などの待遇が決まる制度です。

簡単に言うと、同じ会社に長く勤め続けて年齢が高くなれば
自動的に昇進・昇格して給料が上がるということです。

今の若い人には信じられないでしょうが、
我々より上の世代には年齢や勤続年数で待遇が決まるのは当たり前でした。

これも外資の参入によって崩壊が始まって実力主義・成果主義へと
変わっていきます。

その結果、我々氷河期世代は運よく就職できても、
なかなか役職や給料が上がらないことになったのです。

しかも上司は年功序列で出世した人たちですから、
必ずしも仕事ができるとは限りません。

人によっては、上司に仕事を押し付けられるだけで給料は全く上がらないという
状況で働かないといけなくなったのです。

我々より下の世代は実力主義・成果主義が当たり前なので、
役職や給料が上がらないのは「自己責任」とされます。

氷河期世代は評価する上司が年功序列世代で、正当な評価を受けられずに
役職や給料が上がらないこともあったので損なのです。

労働組合の弱体化

バブル崩壊後に「労働組合」が弱体化したことも、
我々氷河期世代の就職に大きな影響を与えています。

バブル期までは労働組合が非常に強く、
我々が子供の頃には「ストライキ」のニュースをたびたび見聞きしました。

今では考えられませんが、国鉄(現在のJR)の職員がストライキを行って
電車が動かないということもあったのです。

また毎年5月1日には、
労働者による大規模な集会やデモ行進なども行われていました。

ところがバブル崩壊によって、労使関係において企業側の立場が強くなり、
労働組合が企業に対して物申せなくなります。

労働組合がストライキを盾に強硬な態度に出ると雇用自体が脅かされるので、
強硬な手段が取れず弱体化していきました。

労働組合が守ってくれなくなって給料が上がらず雇用が不安定化したのも、
ちょうど氷河期世代が社会に出る頃と重なったのです。

同年代にも理解されない氷河期世代の辛さ

上の世代や下の世代に理解されないのはある程度仕方ありませんが、
同じ氷河期世代にも辛さが理解されていないこともあります。

同じ氷河期世代でも、
大学や親類のコネでそれほど苦労せずに就職できた人も居ます。

また超一流大学を出た人はどの企業も欲しがったので、
氷河期でも就活に苦労しませんでした。

こうした「氷河期でも苦労せずに就職できた人」は、
就活に苦労した氷河期世代の辛さを理解していません。
(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14295070704)

氷河期でも苦労せずに就職して、
就職後も順調にキャリアを重ねて、結婚して子供も居る人も少なからず居ます。

こういう人は氷河期世代も辛さを経験していないので、
「大して辛くなかった」「損などしていない」と言えるのです。

あまつさえ、氷河期世代でしんどい思いをしている人に向かって
「努力が足りない」など言ってしまうのです。

氷河期世代で就活はもちろん40代になった今でも苦労している人たちも、
人並みには努力しています。

しかしその努力が正しく評価されない環境でしか働けていないので、
努力が報われないだけです。

「評価されないなら転職すれば」と簡単に言いますが、
40代にもなると今以上の待遇で働ける転職先などほとんどありません。

自分たちが恵まれていることを理解せずに苦労している人たちを蔑むような輩が、
悲しいかな氷河期世代にも居ます。

まとめ

氷河期世代は上の世代や下の世代に比べると苦労していることが多く、「損ばかり」とは言えないものの「損している」と言えます。

私は比較的恵まれている方だとは思いますが、
それでも就職してから約20年はしんどい思いもたくさんしてきました。

損ばかりとは思いませんが、上の世代や下の世代を見ていると
「やっぱり氷河期世代は損してるな」と思うことも少なくありません。
(隣の芝生は青く見えるだけですかねぇ・・・)

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この記事を書いた人

はじめまして、こんにちは。
HN:ミカエルといいます。
1978年生まれ、40代独身の中小企業サラリーマンです。ずっと平社員、つまり「ヒラ」です。

もともと理系ですが、プログラミングなどの専門スキルはなく、PCも人並みに使える程度。性格は内向的で、人前で話すのは大の苦手。そんな自分なりに頑張ってきたつもりですが、気づけば40代になっても平社員のまま。悔しさや惨めさを感じたこともありましたが、これからは気持ちを切り替え、「仕事は仕事」と割り切りながら、健康に気をつけつつ、投資や副業で新しい道を模索していこうと考えています。


「ヒラサラ」について
「ヒラサラ」は、意識低めの40代平社員が、会社や仕事に振り回されず、無理なく生きるためのヒントを発信するブログです。

社会では「出世しないとダメ」「頑張らないと負け組」といった風潮が根強いですが、私は「優秀じゃないと受け入れられない社会」から降りる選択肢もアリだと考えています。

このブログでは、
✅ 仕事は仕事と割り切る考え方
✅ 健康を維持しながら無理なく働く方法
✅ 副業・投資を活用して人生の選択肢を広げるヒント
✅ 会社に依存せず、個人としての価値を高める方法

などを、リアルな経験を交えながら発信していきます。

「仕事一筋じゃなくてもいい」「平社員のままでも幸せになれる」
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