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愛社精神を持つことは気持ち悪いと感じる

十分ではないものの日本人の働き方が欧米型へと変わってきたことで、
「愛社精神」を持つビジネスパーソンが減ってきました。

私も愛社精神という言葉を聞くと「気持ち悪い」と感じるタイプですが、
愛社精神を持つことってビジネスパーソンに必要なのでしょうか?

そもそも愛社精神って何?

我々アラフォー以上の世代は就職したら愛社精神を持つのが当たり前とされましたが、
最近は愛社精神の意味すら分からない若者も増えています。

愛社精神とは文字通り「自分が働いている会社を愛する気持ち」のことです。

自分の会社を愛することで「会社のために一生懸命働こう」という気持ちが生まれて、
仕事に対するモチベーションがアップするとされています。

我々アラフォーの親や祖父母の世代、いわゆる高度経済成長期やバブル期の
ビジネスパーソンの多くは愛社精神を持っていました。

高度経済成長期やバブル期は終身雇用制が一般的で、
就職すると年功序列によって勤続年数を重ねれば地位も給料も上がりました。

長く勤めるほど出世できて高い給料がもらえるわけですから、
転職することはほとんど無く自然と愛社精神が育まれる環境だったんですね。

また新人の時に愛社精神を植え付けられる教育も行われていたとのことで、
ビジネスパーソンである以上は愛社精神を持つのが当たり前だったのです。

バブル崩壊によって愛社精神も崩壊?

1990年代初頭にバブル経済が崩壊したことをきっかけに、
自分の会社を愛する愛社精神を持つビジネスパーソンが減っていきます。

バブル経済が崩壊して、
金融機関のような「絶対潰れることがない」と思われていた会社の倒産が相次ぎます。

倒産寸前の会社を助けられる体力のある会社が日本には無かったので、
政府の規制緩和もあって外資系企業が日本に続々と参入してきます。

外資系企業が日本に入ってきたことで、
終身雇用制や年功序列といった日本型の働き方が崩れました。

能力のある人は求められて転職するのが当たり前という欧米型の働き方が浸透します。

外資系企業には「会社を愛する」という考え方は基本的にありませんし、
愛社精神を持って働いている社員もほとんど居ません。
(https://toyokeizai.net/articles/-/369772)

1つの会社で長く働き続けるからこそ愛社精神が生まれるのであって、
短期間で転職する人が増えれば必然的に愛社精神を持つ人が減るわけです。

もう1つはバブル経済が崩壊した時に、多くの会社が倒産を免れるためにリストラを
行ったことが愛社精神を持つ人を減らす要因となりました。

経営陣は「会社を守るため」という大義名分のために、
愛社精神を持って会社のために一生懸命働いてきた人たちをクビにしたのです。

会社を守るために平気で社員をクビにする大企業を目の当たりにして、
会社を愛する、仕事に誇りを持つということが馬鹿らしく思えてきたというわけです。

愛社精神を持つことにもメリットはある

愛社精神という言葉を気持ち悪いと思う人が増えている現状ですが、
愛社精神を持つことにもメリットはあります。

自分が勤める会社を愛して仕事に誇りを持つことで、
仕事に対するモチベーションがアップします。

モチベーションがアップすると積極的に仕事に取り組めますから成果が上がりやすく、
結果的に昇進や昇格、昇給に繋がるのです。

また愛社精神を持っている社員全員が「会社のため」という大きな同じ目標に向かって
仕事をするので、社員に一体感が生まれます。

社員同士に一体感が生まれると職場の居心地が良くなり、
自然と働きやすい環境になるのです。

働きやすい環境が整うと仕事が少々忙しくてもストレスが溜まりにくくなり、
ストレスが原因で体を壊す、精神を病むといったリスクも減ります。

働きやすくなって健康を損ねる心配もなくなるわけですから、
愛社精神を持つことは悪いこととも言えません。

社員に愛社精神を持ってもらうことは会社側にもメリットがある

働いている社員に愛社精神を持ってもらうことは、
会社側にとっても小さくないメリットがあります。

愛社精神を持っている社員は転職を考えることはないので、離職率が下がるのです。

離職率が高いと、
時間をかけて育ててようやく一人前になった社員が次々と辞めていってしまいます。

優秀な社員から辞めていってしまいますから、会社を支える優秀な人材が不足します。

また辞めた社員の穴を埋めるために次の人材を育てる必要があり、
人材の採用や育成にリソースを割かないといけません。

社員が愛社精神を持って離職率が下がると、
時間をかけて育てて一人前になった社員が会社を支える人材となってくれます。

退職者の穴を埋める必要も無くなるので、
人材の採用や育成に割くリソースは最小限で済みます。

一人前になった社員が次世代の会社を支える人材を育成する、
という好循環が生まれて会社が発展していくことになるのです。

社員が転職せず長く働くことで仕事の効率が上がって生産性も向上しますから、
社員に愛社精神を持ってもらうことは会社にとっても大きなメリットがあります。

愛社精神を持つことのデメリット

働く側にとっても愛社精神を持つことにメリットはありますが、
反対に愛社精神を持つことがデメリットとなることもあります。

愛社精神を持つ社員ばかりになると会社全体を俯瞰で見ることができなくなり、
問題点が見えにくくなってしまうのです。

2023年は政治・芸能・経済それぞれの分野で大きな組織の不祥事が発覚しました。

不祥事を起こした組織の多くは組織全体を俯瞰で見られておらず、
一般的に非常識なことが非常識だとは捉えられていません。

一般的に非常識なことが当たり前のこととされていて、
それが明るみに出て問題視されても何が悪いのか分からないのです。

愛社精神を持つと会社に対して盲目的となり、
一般的に非常識とされることでも当たり前で受け入れるようになってしまいます。

パワハラ・セクハラは当たり前、サービス残業・休日出勤はしない方がおかしいなど
いわゆるブラック企業化の原因が過剰な愛社精神なのです。

「会社のために」は会社のためじゃない?

愛社精神を持つ社員は「会社のために」一生懸命仕事に打ち込みますが、
その「会社のために」は会社のためになりません。

そもそも「会社」は人が作ったものであり、運営しているのも人、働いているのも人、
利用するのも人です。

要するに「会社があって人がある」のではなく「人があって会社がある」のです。

「会社のために働く」ということは、
「会社を経営している人のために働く」ということになります。

その会社を経営している人は、
本当にあなたが人生を捧げてまで尽くすほど価値のある人なのでしょうか?

中小企業ならともかく大きな企業になると、
社長などの経営者は数年で交代することが多いです。

しかも新しく社長に就任したのは、その会社で長く働いていた人ではなく
他の会社からヘッドハンティングされてきた人であることも少なくありません。

他社から来ていきなり社長になった一緒に働いたことがない人のために、
人生を捧げて尽くすなんて馬鹿らしいですよね。

でも愛社精神を持って「会社のために働く」というのはそういうことで、
会社のためが会社のためにはなっていないというわけです。

会社が愛社精神を持っている社員を愛していないことも

社員の愛社精神が一方通行で、会社が社員を愛していないことも少なくありません。

経営状態が悪化すると、
愛社精神を持っている社員でも持っていない社員でも関係なくリストラします。

実際にこの2年間で多くの大企業が大規模なリストラを行っているのです。
(https://unistyleinc.com/columns/740)

会社を愛して会社のために働いても、
経営が傾くと会社はそんな愛社精神を持つ社員も平気でクビにします。

一方通行で報われない愛ほど虚しいものは無いですから、愛社精神を持つ人が減って、
会社を愛することが気持ち悪いと思われるようになっても仕方がありません。

まとめ

愛社精神を持つことは決して悪いことではないですが、
必ずしも持たなければならないものでもないです。

会社勤めであっても働くのはあくまで「自分のため」であって
「会社のため」ではありませんから、必要以上に愛社精神を持つ必要はないでしょう。

しかし「社精神を持つ人が減っている現状では、
私のような人間は逆に愛社精神を持つことが出世に繋がるかもしれないなぁ。

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