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フリーランスが厚生年金の代わりに利用できる制度

厚生年金がある会社員でも老後の備えは不十分と言われていますから、
厚生年金の無いフリーランスはより老後の不安が大きいです。

では、フリーランスの老後の備えとして厚生年金の代わりとなるものは
あるのでしょうか?

フリーランスが利用できる厚生年金の代わりとなる制度

厚生年金のように国民年金に上乗せする形で、
フリーランスが利用できる制度がいくつかあります。

老後の備えとして十分とは言えないものの、これから紹介する制度を利用すれば
65歳以降に貰える年金額を多少増やすことが可能です。

国民年金基金

フリーランスにとって厚生年金の代わりとなる制度として代表的なのが
「国民年金基金」です。
(https://www.zenkoku-kikin.or.jp/)

有名タレントを起用したTVCMが現在も放送されていますから、
名前だけは聞いたことがある人も多いかもしれません。

厚生労働大臣の認可を受けた全国国民年金基金連合会が運営する制度で、
国民年金や厚生年金と同様に公的年金の1つとなっています。

厚生年金は第2号被保険者である会社員や公務員しか加入できませんが、
国民年金基金は第1号被保険者しか加入できません。

フリーランスや自営業者、個人事業主など組織に属さない労働者にとっては、
まさに厚生年金に代わる制度なのです。

ただし個人事業主でも
 ・歯科医師
 ・司法書士
 ・弁護士
については、
それぞれ個別の国民年金基金へ加入することになるので注意してください。

国民年金基金の掛金

国民年金基金の掛金は加入した時の年齢と性別、加入する基金のタイプ、
口数によって変わります。

例えば40歳男性が終身年金A型に加入した場合は、
1口目の掛金は月額13,515円、2口目以降は月額4,505円です。

給付額は1口目が月額15,000円で2口目以降は月額5,000円となり、
2口加入で月額20,000円が年金に上乗せされます。

1口目は終身年金しか選択できませんが、
2口目以降は終身年金と確定年金のいずれかを選択できます。

加入後に口数の変更ができるようになっており、収入が安定しない内は
口数を少なく、収入が増えて安定してきたら口数を増やすといったことが可能です。

ただし国民年金基金の掛金には上限が設けられており、
最大でも月額68,000円までしかかけられません。

ちなみに40歳男性が終身年金A型に加入して掛金を最大にすると、
月額70,000円が年金に上乗せされることになります。

また国民年金基金は一度加入すると、
自己都合による離脱はできないので注意してください。

iDeCo

フリーランスが厚生年金の代わりとして利用できる制度2つ目は「iDeCo」です。
(https://www.ideco-koushiki.jp/)

こちらも全国国民年金基金連合会が運営している制度ですが、
国民年金基金と違って私的年金制度となります。

また国民年金基金はフリーランスや自営業者など第1号被保険者しか
加入できませんが、iDeCoは国民年金加入者なら誰でも利用できます。

iDeCoは毎月の掛金を金融商品を使って運用して積み立て、
60歳以降に掛金と運用益を年金もしくは一時金として受け取れる制度です。

国民年金基金は掛金によって給付額が決まり、
掛金より給付額が少なくなることは基本的にありません。

しかしiDeCoは掛金を運用するので、運用次第で拠出金額が変わりますし、
場合によっては掛金より拠出金が少なることも考えられます。

ただNISAと違って運用に使う金融商品を自由に選ぶことはできず、
 ・定期預金
 ・投資信託
 ・保険商品
など比較的低リスク低リターンの金融商品の中から選ぶことになります。

60歳以降に貰える拠出金額を大幅に増やすことは難しいですが、
拠出金額が掛金総額より少なくなるリスクも小さいです。

フリーランスなど第1号被保険者は、掛金を月5,000円から68,000円まで
1,000円単位で変更可能です。
(第2号被保険者や第3号被保険者は掛金の上限が違う)

国民年金基金と併用可能ですが、
併用する場合は国民年金基金の掛金との合計で月68,000円が上限となります。

基本的に途中解約はできませんが、掛金の支払いを停止することは可能です。

掛金の支払いを停止すると、
これまでに積み立てた掛金の運用のみ行うことになります。

ただし運用のみ行う場合は、月66円の手数料が発生するので注意してください。

付加年金

フリーランスが厚生年金の代わりとして利用できる制度としては
「付加年金」というものもあります。
(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/1go-dokuji/20140625.html)

付加年金は、国民年金と同じ日本年金機構が運営している公的年金制度です。

国民年金基金と同じで、
基本的にフリーランスや自営業者など第1号被保険者しか加入できません。

国民年金の保険料に月400円プラスすると、200円に付加年金保険料納付月数を
掛けた金額が国民年金受給額に上乗せされます。

例えば付加年金保険料を20年納めたとすると、
200円×240か月で年額48,000円が国民年金に上乗せとなります。

国民年金と違って物価スライドによる給付額の増減はありませんが、
国民年金基金との併用はできません。

小規模企業共済

フリーランスが厚生年金の代わりとして利用できる制度としてもう1つ
「小規模企業共済」というものがあります。
(https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/)

独立行政法人である中小企業基盤整備機構が運用する制度で、
フリーランスや自営業者などにとっての「退職金制度」とも言われています。

小規模企業共済に加入しているフリーランスなどが廃業すると共済金を
貰えることから、フリーランスなどにとっての退職金制度と言われるわけです。

廃業時でなくても、掛金を180か月以上払っていれば65歳になると
共済金を受け取れるので年金の代わりともなります。

もちろんフリーランスや自営業者として働きながら共済金を受け取ることも
可能です。

これまでに紹介した制度と違って、小規模企業共済は途中解約ができます。

ただし掛金の払込期間が12か月未満だと、
掛金が掛け捨てとなって解約しても解約手当金は貰えません。

また掛金の払込期間が20年に達せずに解約すると、
解約手当金が掛金の総額よりも少なくなってしまうので注意も必要です。

小規模企業共済の掛金は月額1,000~70,000円の間で500円単位で設定できます。

小規模企業共済は国民年金基金・iDeCo・付加年金のいずれとも併用が可能です。

個人年金保険

フリーランスが利用できる厚生年金に代わるものとして「個人年金保険」もあります。

各保険会社が提供している私的年金で、加入の義務はもちろんありませんし、
国民年金基金など他の制度との併用も可能です。

保険会社によって中身は違いますが
 ・確定年金
 ・有期年金
 ・終身年金
の3種類が基本となっています。

確定年金と有期年金は契約時に定めた年数しか年金を受け取れず、
終身年金は自身が亡くなるまでずっと年金が受け取れます。

ただし確定年金は自身が亡くなったら遺族が受け取れますが、
有期年金と終身年金は自身が亡くなると遺族は受け取れません。
(終身年金は遺族が受け取れる場合もある)

掛金の運用方法によっても「定額年金」と「変額年金」の2種類に分けられます。

定額年金は決まった利率で掛金が運用されますから、
契約した時点で将来年金として受け取れる金額も決まっています。

定額年金の利率は1~4%程度なので、年金額が掛金を大きく上回ることは
ありませんが元本割れのリスクはありません。

変額年金は掛金を保険会社が様々な金融商品を使って運用するので、
運用結果次第で受け取れる年金額が変わるのです。

場合によっては利率が10%を超えることもありますが、
受け取る年金総額が掛金総額よりも少なくなってしまうリスクもあります。

各保険会社が様々な個人年金保険商品を提供していますから、
自分に合った保険商品を探すのにも手間がかかります。

厚生年金の代わりとなる制度の掛金は控除対象?

フリーランスが厚生年金の代わりとして利用できる制度をいくつか紹介しましたが、
それらの掛金は所得控除の対象となります。

国民年金基金・iDeCo・付加年金・小規模企業共済については、
掛金の全額が所得控除の対象です。

付加年金は掛金の金額が小さいですが、国民年金基金とiDeCoは合計で
最大月68,000円、小規模企業共済は最大で月70,000円掛けられます。

全額控除できますから、国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済は
最大で80万円以上の所得控除となるのです。

80万円以上は難しいとしても、年間で数万円から数十万円の控除となるので
所得税をかなり抑えることができます。

ちなみに保険会社が提供している個人年金保険の掛金も所得控除の対象ですが、
個人年金保険の掛金は最大でも4万円までしか控除されません。

フリーランスにとって厚生年金の代わりとなる制度は、
老後の備えとしてだけでなく現在の節税対策としても使えます。

フリーランスに転向したてで収入が安定せず掛金の捻出が難しいなら、
無理に国民年金以外の制度に加入する必要はありません。

しかし収入がある程度増えて安定したら、節税対策にもなるので
国民年金基金など何かしらの制度を利用するのがおすすめです。

個人事業主は厚生年金に加入できる?

フリーランスなど第1号被保険者は基本的に厚生年金に加入できません。

しかし同じ第1号被保険者でも、
自営業者や個人事業主だと厚生年金に加入できるケースがあります。

「加入できる」と言うよりも「加入しなければならない」ケースがあるのです。

1つは自営業者や個人事業主としての事業を「法人化」した場合です。

法人化すると事業主と従業員は第1号被保険者ではなく第2号被保険者と
なるので、厚生年金に加入しないといけません。

従業員が居らず事業主1人だけでも、
法人化したら厚生年金に加入する必要があります。

もう1つは従業員を常時5人以上雇っている場合です。

従業員を5人以上常時雇っている場合は、
事業を法人化していなくても厚生年金への加入が義務付けられています。

常時雇っている従業員が正社員でなくパートやアルバイトであっても、
5人以上であれば厚生年金への加入が必要です。

フリーランスや個人事業主であっても、法人化したり従業員を常時雇っている
場合は厚生年金への加入が必要となることもあるので注意してください。

ただし農林漁業やサービス業については、法人化しても従業員が
常時5人以上居ても厚生年金への加入は必須ではありません。

まとめ

厚生年金に加入できないフリーランスが、
厚生年金の代わりとして利用できる制度をいくつか紹介しました。

フリーランスが厚生年金の代わりとして利用できる制度の掛金は
所得控除の対象ですから、節税対策としても使えます。

会社員からフリーランスに転向するなら、
老後の備えに加えて節税対策として国民年金基金などの利用を検討しましょう。

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この記事を書いた人

はじめまして、こんにちは。
HN:ミカエルといいます。
1978年生まれ、40代独身の中小企業サラリーマンです。ずっと平社員、つまり「ヒラ」です。

もともと理系ですが、プログラミングなどの専門スキルはなく、PCも人並みに使える程度。性格は内向的で、人前で話すのは大の苦手。そんな自分なりに頑張ってきたつもりですが、気づけば40代になっても平社員のまま。悔しさや惨めさを感じたこともありましたが、これからは気持ちを切り替え、「仕事は仕事」と割り切りながら、健康に気をつけつつ、投資や副業で新しい道を模索していこうと考えています。


「ヒラサラ」について
「ヒラサラ」は、意識低めの40代平社員が、会社や仕事に振り回されず、無理なく生きるためのヒントを発信するブログです。

社会では「出世しないとダメ」「頑張らないと負け組」といった風潮が根強いですが、私は「優秀じゃないと受け入れられない社会」から降りる選択肢もアリだと考えています。

このブログでは、
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✅ 副業・投資を活用して人生の選択肢を広げるヒント
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などを、リアルな経験を交えながら発信していきます。

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