私もアラフォーよりもアラフィフに近い年齢となってきましたが、
50代になると早期退職して第2の人生を歩み始める人も増えてきます。
では50歳で早期退職する場合、
貯金がいくらあれば不安なく辞められるのでしょうか?
50歳から亡くなるまでに必要な生活費
50歳で早期退職してから亡くなるまでに必要な生活費は、
単身者の場合は大体6000~7000万円といったところです。
配偶者が居ると単身者より生活費が嵩みますから、
亡くなるまでに必要な生活費は1億円を超えてきます。
総務省の家計調査報告書(2022年)によると、
単身者の平均的な消費支出額は1か月約16万円となっています。
(https://www.navinavi-hoken.com/articles/alone-living-expenses)
夫婦2人の場合、平均的な消費支出額は1か月約29万円です。
厚生労働省の令和5年簡易生命表によると、
50歳の平均余命は男性が約32年、女性は約38年となっています。
単身者の消費支出は1か月約16万円ですから年間だと約200万円、
それに平均余命をかけると大体6000~7000万円となるのです。
夫婦2人だと年間の消費支出は約350万円で、
夫の平均余命32年をかけると約1億1000万円となります。
退職金と年金を考慮すれば貯金は少なくて済む
早期でも円満に退職すれば「退職金」が貰えますし、
現行制度に変更が無ければ65歳からは年金が貰えます。
退職金と年金を考慮すると、
生活の不安なく早期退職するのに必要な貯金額を減らすことが可能です。
自己都合で早期退職するか、
会社の早期退職制度を利用して早期退職するかで退職金の額は多少変わります。
自己都合よりも早期退職制度を利用した方が、退職金を少し多くもらえます。
例えば大卒で勤続30年の場合、自己都合による早期退職だと退職金は
約1700万円ですが、早期退職制度を利用すると約1900万円です。
高卒の場合は勤続年数は長くなるものの、入社時の基本給が安い上に
昇進・昇格でも多少不利になるので大卒よりも退職金は少なくなります。
勤続35年で自己都合による早期退職だと約1500万円、
早期退職制度利用だと約1600万円です。
年金は年収500万円だとすると年間支給額が約135万円で、男性は65歳から
17年で約2000万円、女性は65歳から23年間で約3000万円貰えます。
退職金と年金を合わせると、男性で3500万円、女性で4000万円ぐらいは見込めます。
単身者だと亡くなるまでに必要な生活費が大体6000~7000万円ですから、
貯金は2500~3000万円あれば足りることになるのです。
夫婦2人の場合、2人とも退職金を1500万円ほど貰えれば良いですが、
50歳だと女性は男性に比べて退職金がかなり少なくなると予想されます。
(30年前の男女の賃金差は現在よりも大きい)
年金支給額も単純に2倍にはならず、
年間で大体220万円ぐらい貰えれば良い方です。
例えば夫の退職金が1500万円で妻の退職金が1000万円とすると、
年金と合わせて夫が亡くなるまで約6000万円の収入が見込めます。
夫婦2人の平均的な消費支出総額は1億1000万円ですから、
50歳で早期退職するには5000万円ほどの貯金が必要となります。
勤務先が中小企業だと退職金額は少なくなる
勤続30~35年で1500万円以上の退職金が貰えるのは大企業の話で、
勤務先が中小企業だと退職金額はもっと少ないです。
大卒で勤続30年だと自己都合による早期退職では約700万円、
早期退職制度を利用した場合は約800万円です。
高卒で勤続35年でも同じぐらいの退職金額ですから、
大企業の半分ぐらいしか退職金が貰えません。
年金支給額は大企業でも中小企業でも大きく変わりません。
退職金が少ない分、中小企業に勤務している場合は700~800万円ほど
多く貯金しておく必要があります。
セミリタイアなら貯金額が少なくても可能
50歳で早期退職して貯金と年金だけで生活するとなると、
退職金以外に5000万円以上の貯金が必要です。
しかし早期退職しても完全リタイアではなくセミリタイアであれば、
貯金額が5000万円に満たなくても退職後に不安なく生活できます。
セミリタイアは、会社を退職した後に必要に応じてアルバイトや個人事業主、
フリーランスとして働くライフスタイルです。
会社勤めしている時よりは収入は減るものの、ある程度の収入は見込めるので
貯金を取り崩すペースを遅れさせることができます。
例えばアルバイトやフリーランスとして月10万円稼ぐとすると、
年間120万円の収入が得られます。
単身者の平均的な年間消費支出は約200万円ですから、
年間120万円の収入があると年間支出額が80万円に抑えられます。
50歳の平均余命は男性32年、女性38年ですから、
年間支出が80万円だと亡くなるまでの総額で2500~3000万円必要です。
80歳を超えても月10万円稼げるとは限りませんから、
もう少し多めの3000~4000万円ぐらいと見積れます。
退職金や年金を考慮すると、50歳でセミリタイアする時点で
2000~3000万円ぐらいの貯金があれば不安なく生活することが可能となります。
50歳で早期退職するなら固定費の見直しは必須
完全リタイアにしろセミリタイアにしろ、平均的なビジネスパーソンが50歳で
早期退職するなら「固定費」の見直しは必須です。
生活費における固定費は
・住居費
・光熱費
・通信費
・保険料
など毎月ほとんど定額で発生する費用のことです。
「住居費」は、賃貸住宅なら家賃、持ち家なら住宅ローンや固定資産税などと
なります。
「光熱費」は電気・ガス・水道の料金、
「通信費」は固定電話やスマホ、インターネットの料金です。
「保険料」は公的保険や任意保険の保険料、公的年金・個人年金の掛け金など
となります。
公的保険や公的年金の掛け金を見直すのは難しいですが、
それ以外は見直しが可能です。
まず住居費は、賃貸住宅ならより家賃の安いところへの引越しを検討します。
持ち家で住宅ローンが残っているなら、繰り上げ返済で可能ならば早期退職前に
払い終えるなど負担をできるだけ減らしておくことが求められます。
光熱費については、電気・ガスが自由化されたことで料金の安い
電気会社・ガス会社を選ぶことが可能です。
今契約している会社で料金が安くなるプランへの変更でも良いですし、
料金の安い電気・ガスの会社に乗りかえるでもOKです。
早期退職する前にオール電化にしてガス料金をゼロにして、
ソーラーパネルを設置して電気代を節約するという方法もあります。
通信費は、可能ならば固定電話とインターネット回線は解約して
スマホだけにするのがベターです。
スマホも大手キャリアから料金の安いMVNO(格安SIM)に乗り換えれば、
データ容量が同じプランでも大幅に料金が下がります。
「5G」が使えるプランにすれば光回線並の通信速度が出ますし
、テザリングを利用すればパソコンをスマホの回線に繋いで通信できます。
固定電話とインターネット回線を解約して、
スマホを大容量かつ通話定額のプランにすれば通信費の節約可能です。
固定費見直しで地方への移住はアリ?
生活費の固定費を見直すのに、
都会から少し物価の安い地方への移住を検討するケースもあります。
あくまで私の個人的意見ですが、
固定費見直しのために地方へ移住するのは賛成できません。
理由としては、地方に移住しても固定費が安くなるとは限らないからです。
まず水道代が地方移住によって高くなる可能性があります。
2021年のデータですが、47都道府県で一番水道代が安いのは神奈川県で、
一番高いのが青森県となっています。
(https://waterserver-mizu.com/interview/suidou_ranking)
上水道設備を使用したり整備したりするのにかかる費用は水道代で賄われますが、
人口の多い地域の方が1人当たりの負担額が小さくなるのです。
そのため地方に移住すると、
都市部に住んでいた時よりも水道代が高くなることが考えられます。
もう1つは、地方だと生活するのに「自動車」が欠かせないことです。
都市部、特に東京や大阪などの大都市部は電車やバスなどの公共交通機関が
充実しています。
また買い物ができる施設も多いですし、
病院も個人病院から総合病院まで揃っています。
ところが地方に行くと、利用できる公共交通機関が無いこともあるのです。
買い物ができる施設や病院まで車で1時間かかることもザラですから、
自動車が生活に欠かせません。
都市部なら自動車が必要な場合でもカーシェアやレンタカーが利用できますが、
地方だとそれも利用できません。
自家用車を持っておく必要があり、その維持費が嵩んでしまいます。
光熱費が安くなるとは限らないこと、自家用車が必要なことから
生活費の固定費見直しで地方への移住は賛成できないのです。
投資で早期退職後の資金を増やそうとするのも危険
早期退職やセミリタイアに関する情報が掲載されているサイトでは、
必ずと言って良いほど「投資」が勧められています。
新NISAによって投資のハードルが下がっており、
投資で手元にある資金を増やしやすくはなっています。
しかし、これまでに一切投資をしたことが無い素人が
投資で早期退職後の生活費を稼ごうとするのは危険です。
2024年に入って株価が高騰しましたが、日銀が金利を引き上げたことやアメリカの景気不安から2024年8月には株価が大きく下落したことがありました。
もし2024年に入ってから投資を始めていた場合には、
2024年8月の時点でそれなり損が出てしまっているはずです。
株式投資は長期的に見ればリスクは少ないのですが、
短期的には大損するリスクも大いにあります。
実際に日経平均が4万円を超えた時には「まだまだ上がる」と予想した
エコノミストも多く、数か月で1万円近く下落するとは誰も思っていませんでした。
経済のプロですら株価の先行きは見通せないのですから、
昨日今日投資を始めた素人が見通せるはずがありません。
余ったお金を投資に回すのは良いですが、
早期退職後の生活費のために投資に手を出すのはかなり危険ですよ。
会社勤めしながらセミリタイアという選択肢も
50歳で早期退職するのではなく、
会社勤めしながらセミリタイアするという選択肢はどうでしょうか。
会社を辞めずに、仕事以外の楽しみを見つけて、
昇進・昇格を諦めて定年まで働き続けるのです。
昇進・昇格を目指すと、
仕事量がどうだの成果が何だのと肉体的・精神的にストレスがかかります。
しかし昇進・昇格を諦めると、現在任されている仕事をこれまで通りにこなせば
良いだけなので気分的にかなり楽です。
また仕事以外の楽しみを見つけることで、楽しみのために働くことができます。
自分の生活のためと考えると働くのは面倒ですが、
可愛い子供や孫のためと考えると働くのも面倒でなくなったりします。
それと同じで、休日に楽しいことが待っていると思うと、
意外と面倒と思わずに一週間働くことができるのです。
楽しいことと言っても大袈裟に考える必要はなく、
他人が見たら「くだらない」と思うようなことで構いません。
パートナーと一緒に食事に行くでも良いですし、ペットと遊ぶでも良し、
童心に帰ってトレーディングカードを集めるといったことでもOKです。
どんなことでも良いので没頭できることを見つけて、
その没頭できることのために今の会社で働くのです。
セミリタイア状態でも定年まで働ければ退職金は満額貰えますし、
年金支給額も減りません。
退職後の資金のより余裕ができますから、私個人としては早期退職よりも
会社勤めしながらのセミリタイアがおすすめです。
まとめ
50歳で早期退職する場合、完全リタイアなら単身者で6000~7000万円、
夫婦だと1億円以上の資金が必要となります。
セミリタイアで退職後にアルバイトなどをするにしても、
3000~4000万円程度の貯金がないと厳しいです。
私は数千万円も貯金できないので、昇進・昇格を諦めて楽しみのために働く、
会社勤めしながらのセミリタイアを目指します。