フリーランスや個人事業主でも、
「みん社保」というサービスを利用すると社保や厚生年金に加入できます。
通常できないものができるというのは何とも怪しいですが、
みん社保はどんなサービスで評判はどうなのでしょうか?
みん社保はフリーランスが社保や厚生年金に加入できるサービス
「みん社保」は、通常は加入できないフリーランスや個人事業主を
社保や厚生年金に加入できるようにするサービスです。
(https://minsyaho.com/)
社保や厚生年金は、
会社員や公務員など組織に継続的に雇われている人が入れる社会保障です。
フリーランスや個人事業主は、業務委託などで一時的に雇われますが、
継続して1つの組織に雇われているわけではありません。
会社員が加入する社保は「健康保険組合」や「全国健康保険協会(協会けんぽ)」が運営しています。
健康保険組合は、単独で従業員700人以上の大企業や従業員総数が
3,000人以上となる複数の企業が協同で設立・運営している組織です。
協会けんぽは、健康保険組合を設立していない中小企業の従業員が
加入するための組織となっています。
組織自体が設立・運営している、もしくは組織で働く従業員のために設立・運営
されているので、組織に属していないと社保に加入できないというわけです。
みん社保は、フリーランスや個人事業主を組織に属す形にすることで
社保や厚生年金に加入できるようにするサービスなのです。
みん社保の仕組み
みん社保の仕組みは、
まずフリーランスや個人事業主が会費を払ってみん社保に加盟します。
みん社保に加盟したフリーランスや個人事業主は、
「ITフリーランス協会」という一般社団法人の理事となります。
理事として一定の仕事をこなして給与を貰うことで、ITフリーランス協会と
加盟したフリーランスや個人事業主とは継続した雇用関係となるのです。
ITフリーランス協会は法人ですから、法人と継続した雇用関係ができることで
フリーランスや個人事業主でも社保や厚生年金に加入できるというわけです。
一昔前までは考えられませんでしたが、
最近は会社員でも副業が認められるケースが増えています。
フリーランスがみん社保を利用するのは、「会社員として企業で働きながら
フリーランスとして副業を行っている」のと同じと考えると分かりやすいです。
実態はフリーランスが本業で協会理事が副業ですが、
副業の協会理事の方で社保や厚生年金に加入するという仕組みです。
みん社保の利用にかかる費用
みん社保の利用には月会費として99,000円がかかります。
ただ協会理事として給与を月56,000円貰えますから、
実質的な負担は月43,000円となります。
社保と厚生年金の保険料はITフリーランス協会が納めてくれますから、
月の実質負担43,000円で社保と厚生年金に加入できるのです。
現状で国保と国民年金の保険料が月43,000円を超えていれば、
みん社保の利用することで公的保険料負担を軽くできます。
理事の仕事は何をする?
実質負担43,000円で社保と厚生年金に加入できるのは魅力ですが、
「理事の仕事」をしないといけないのが気になるところですよね。
勤務実態が全く無いのに給与を支払って雇用した形にして、
社保や厚生年金に加入させるのは完全に違法です。
フリーランスや個人事業主を法に触れることなく社保や厚生年金に加入させるには、
労働の対価として給与を支払う必要があります。
なのでみん社保に加盟したら、
ITフリーランス協会の理事として仕事をしないといけないわけです。
では、その理事として仕事は何なのかですが、
ITフリーランス協会の場合は「レポートの提出」となっています。
レポートの提出と言っても難しいものではなく、
XなどSNSで定型文を理事報告として投稿するだけです。
みん社保を宣伝する定型文をSNSに理事報告として月1回投稿すればOK、
それで理事として仕事をしたことになります。
職員じゃなくて理事なのはなぜ?
形だけの雇用関係なのに、
職員ではなくわざわざ理事という肩書を付けるのには意味があります。
役員でない会社員や職員が社保や厚生年金に加入するには
・1週間および1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
の条件をクリアするか、もしくは
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・2か月を超える雇用期間が見込める
・月の賃金が88,000円以上
・学生でない
・従業員101人以上の事業所に勤務
の5つの条件をすべてクリアしないといけません。
フリーランスや個人事業主を本業としている以上、
副業の協会職員として少なくとも週20時間以上働くのは難しいです。
ところが、役員や理事となると労働日数や労働時間に関する決まりはなく、
勤怠管理すら不要となります。
要するに協会理事にすることで、
社保や厚生年金に加入するハードルがグッと下がるのです。
職員ではなく理事にすることで、実態はフリーランスや個人事業主のままでも
社保や厚生年金に加入できるようにしているわけです。
みん社保の良い評判
比較的新しいサービスということもあってネットの口コミはそれほど多くないですが、
実際に利用している人からは好意的な意見が多く聞かれます。
健康保険と年金の保険料が大幅に節約できた
みん社保に対する好意的な意見として多く見られたのが、
「公的保険料が大幅に節約できた」というものです。
先にも説明しましたが、みん社保に加盟すると1か月の実質負担が43,000円で
社保と厚生年金に加入できます。
国民年金の保険料は一律ですが、
国保の保険料は年齢や前年の総所得額によって変わります。
例えば前年の総所得額が350万円だとすると、
国保の保険料は40歳未満で約30,000円/月、40歳以上で約35,000円/月です。
(https://www.cr.mufg.jp/mycard/knowledge/23121/index.html)
これに国民年金の保険料の16,980円を加えると、月47,000~52,000円となります。
みん社保に加盟すると公的保険料の実質負担は月43,000円ですから、
4,000~9,000円ほど保険料が節約できるのです。
前年の所得額が多ければもっと金額差は大きくなりますから、
年間で100万円以上節約できるケースもあります。
家族の保険料も節約できる
配偶者や子供が居るフリーランス・個人事業主だと、
みん社保を利用することで家族の保険料も節約可能です。
国保や国民年金は基本的に個人で加入するので、
家族が居る場合は家族の人数分の保険料を納めないといけません。
配偶者もフリーランスとして働いている場合は、前年の所得額に応じて保険料が変わるのは同じです。
子どもが児童や学生の場合は所得無しで国民年金は支払わなくてよいですが、
国保の保険料は年間4~8万円ほどかかります。
(地域によって保険料が違う)
例えば夫婦ともにフリーランスで前年の所得額が350万円、
小学生の子どもが2人居るとします。
夫婦はそれぞれ国保と国民年金の保険料を合わせて月47,000~52,000円、
小学生の子ども2人も国保の保険料としてそれぞれ月4,000円ほど納めます。
そうすると家族全員分の公的保険料として、
月10万円から11万円納めることになるのです。
社保と厚生年金は扶養家族分は納める必要がありませんから、
少なくとも子供の保険料はゼロです。
もし配偶者がそれぞれみん社保に加盟しても、月の実質負担は86,000円で
国保と国民年金の保険料よりも2~3万円ほど安くなります。
前年の所得額が多いとさらに差額は大きくなりますから、所得が多くて
家族の居るフリーランスはみん社保を利用しないと損と言っても良いぐらいです。
年金の受給額が増えた
みん社保に対する好意的な意見としてもう1つ多く見られたのが、
「年金の受給額が増えた」というものです。
通常フリーランスや個人事業主は国民年金しか加入できませんが、
会社員や公務員は国民年金に加えて厚生年金に加入できます。
国民年金の平均受給額は月約56,000円で、
国民年金+厚生年金の平均受給額は月約14,4000円です。
平均でも月8万円近い差があり、年間だと100万円近い差となってしまいます。
配偶者と2人となるとさらに差は大きくなりますが、
みん社保に加盟して厚生年金に加入すればその差を埋められるのです。
ただでさえフリーランスは収入が不安定で、
老後の備えが不十分になりがちと言われます。
みん社保を利用して年金受給額が増えると、
老後の備えが十分は言いませんが多少はプラスになります。
みん社保の良くない評判
良い評判があれば良くない評判もあり、ネットの口コミで見られた
みん社保に対するネガティブな意見もいくつか紹介しましょう。
みん社保のサービスが突然利用できなくなる恐れがある
みん社保に対するネガティブな意見として一番多く見られたのが、
「突然サービスが利用できなくなる恐れがある」というものです。
現状ではみん社保のサービスは法律に違反しておらず、
法的な問題でみん社保が利用できなくなることはありません。
実際にみん社保は弁護士や社労士が運営に関わっており、
リーガルチェックをクリアしています。
ITフリーランス協会に問い合わせると、
税務署でも問題ないことが確認されているとのことです。
ただあくまで法律の網の目を掻い潜っているだけで、形だけの雇用関係で
社保と厚生年金に加入させるのは正当な行為とは言えません。
今後みん社保の利用者が増えて厚労省に目を付けられると、法律改正によってみん社保のサービスが違法となる恐れは十分にあるのです。
実際に「社保サポ」など、突然利用できなくなったみん社保と同様のサービスが
いくつかあります。
(社保サポは利用者が少なくて運営が行き詰った可能性が高い)
現状ではみん社保のサービスを問題視する動きはありませんから、
当面はみん社保が突然利用できなくなるリスクは低いです。
しかし未来永劫利用し続けられるとも言えませんから、みん社保を利用するなら
突然利用できなくなることも頭に入れておいた方が良いでしょう。
税金が高くなる恐れがある
みん社保に対するネガティブな意見として、
「税金が高くなる恐れがある」というものも見られました。
これは実際にみん社保を利用している人ではなく、
みん社保のサービス内容を見た感想としての意見です。
みん社保に加盟すると、
ITフリーランス協会の理事となって月56,000円の給与を貰います。
形だけの雇用関係とは言っても給与は実際に貰っているので、
総所得額は増えて税額も増えることになるのです。
また「iDeCo」を利用していて掛金が23,000円を超えている場合は、
みん社保を利用することで税金が増える実際にあります。
iDeCoの掛金は所得控除の対象で、フリーランスや個人事業主など
第1号被保険者は最大68,000円まで控除されます。
ところが会社員や公務員など第2号被保険者になると、
iDeCoの掛金の控除額は最大23,000円となってしまうのです。
ITフリーランス協会の理事として社保や厚生年金に加入しますから、
実態はフリーランスでも第2号被保険者と見なされます。
もしiDeCoの掛金が23,000円を超えている場合は、
超えた分は控除の対象とならないので税金が増える恐れがあります。
ただしみん社保の会費99,000円は経費として計上可能で、
それで所得額が増えた分をカバーできれば税金は増えません。
まとめ
みん社保の評判を調べてみましたが、
現状では実際に利用している人からはネガティブな意見は聞かれませんでした。
しかしグレーな部分も多いサービスですから、
法律改正によって利用できなくなるリスクがあるのは事実です。
フリーランスや個人事業主にとってはメリットの大きいサービスですが、
現状でもグレーであるということは頭に入れて検討した方が良いかもしれません。