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フリーランスになると厚生年金はどうなりますか?

会社勤めをしていると「厚生年金」の保険料を毎月払いますが、
会社を辞めてフリーランスになったら年金がどうなるか気になりますよね。

今回は、会社員時代に納めた厚生年金の保険料を含めて、
フリーランスになると年金がどうなるのか詳しく見ていきます。

フリーランスは厚生年金に加入できない

フリーランスは厚生年金に加入できないので、
会社を辞めてフリーランスになると厚生年金から離脱しなければいけません。

日本では、20歳から60歳までの人には国民年金への加入が
「国民年金法」によって義務付けられています。
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000086593.pdf)

そして国民年金の被保険者はその職業によって
 ・第1号被保険者
 ・第2号被保険者
 ・第3号被保険者
の3種類に分けられているのです。

自営業者や農林漁業者、学生などが「第1号被保険者」で、
フリーランスや無職の人もここに分類されます。

「第2号被保険者」は70歳未満の会社員や公務員で、
この第2号被保険者は国民年金と厚生年金の両方に加入することになります。

「第3号被保険者」は第2号被保険者の配偶者です。

改正させる可能性がありますが、現状では年収130万円かつ第2号被保険者で
ある配偶者の年収の2分の1未満の人が第3号被保険者の対象となります。

第2号被保険者が第3号被保険者の分も保険料を納めるので、
第3号被保険者は個別に保険料を納める必要はありません。

厚生年金に加入できるのは第2号被保険者である70歳未満の会社員・公務員で、
第1号被保険者であるフリーランスは厚生年金に加入できないのです。

第2号被保険者である会社員として働いていたけど辞めてフリーランスになった
場合は、加入資格を失うので厚生年金から離脱します。

ちなみに厚生年金の離脱手続きは勤めていた会社が行ってくれますが、
国民年金への切り替え手続きは自分で行わないといけません。

会社員を辞めて保険料などフリーランスになると厚生年金はどうなりますか?

国民年金も厚生年金も自身が一定の年齢に達したら受給できますが、
会社員を辞めてフリーランスになっても厚生年金は貰える可能性があります。

「国民年金保険料を10年以上、厚生年金保険料を1か月以上納める」という
受給条件を満たしていればフリーランスでも厚生年金が受給できます。

会社員として10年以上働いていた場合、国民年金も厚生年金も10年以上
保険料を納めたことになるので、受給年齢に達したら両方とも受給できるのです。

会社員や公務員として働いていて、
最初の給料日を待たずに辞めてフリーランスになることはそうそうありません。

ですから、会社員や公務員を辞めてフリーランスになる場合でも
後々に厚生年金が受給できますから、厚生年金の保険料は無駄にはなりません。

フリーランスになると配偶者も国民年金の保険料を納めないとならない

会社員や公務員を辞めてフリーランスになった場合、
配偶者も国民年金の保険料を納める必要があります。

第2号被保険者である会社員や公務員の配偶者、年収が130万円未満かつ
配偶者の年収の2分の1未満なら第3号被保険者となります。

第3号被保険者は第2号被保険者が代わりに保険料を納めるので、
第3号被保険者自身は国民年金も厚生年金も保険料を納める必要はありません。

しかし配偶者が会社を辞めて第1号被保険者になると、
その配偶者も第3号被保険者から第1号被保険者となります。

第1号被保険者は自身で国民年金の保険料を納めないといけません。

例えば妻が第2号被保険者で、
専業主夫である夫が第3号被保険者の夫婦が居るとします。

妻が第2号被保険者である限りは、第3号被保険者である夫は
国民年金も厚生年金も保険料を納める必要はありません。

しかし妻が会社を辞めて第1号被保険者になると、専業主夫である夫も
第1号被保険者になって国民年金の保険料を納めないといけないということです。

第1号被保険者になれば厚生年金の保険料が不要となりますから、
家計全体で見ると年金保険料が負担が大きく増えるわけではありません。

国民年金の保険料は控除対象

フリーランスになったら配偶者とともに国民年金の保険料を納めますが、
国民年金の保険料は所得控除の対象です。

フリーランスである第1号被保険者が夫婦2人分の保険料を納めている場合は、
2人分の保険料を所得から控除できます。

確定申告の際に1年間に納めた国民年金保険料を所得から控除できるので、
所得額が少し減って納める税金も少なくなるのです。

会社員や公務員は収入が安定しているので、
必要以上に節税を意識しなくも良いです。

しかしフリーランスは収入が不安定ですから、
できれば少しでも節税して出て行くお金を減らす必要があります。

国民年金保険料は1人分でも結構な負担ですから、
所得から控除できることを覚えておいて損はありませんよ。

国民年金の保険料を免除してもらうこともできる

国民年金には保険料の免除・納付猶予制度があり、
これを利用すれば国民年金の保険料を一時的に支払わずに済ませられます。

ちなみに、大学に3年以上通っていた人のほとんどが
国民年金の保険料の免除・納付猶予制度を利用しています。

私も大学を卒業していますが、私が20歳になった時に父親が国民年金の
保険料の免除申請をしてくれていました。

自身では免除や納付猶予の手続きをした覚えはないけど、親が手続きを
してくれていて免除や納付猶予の制度を知らずに利用していた人も多いです。

前年の所得が
 ・(扶養家族人数+1)×35万円+32万円以下なら全額
 ・88万円+扶養家族控除額+社会保険料控除額以下なら4分の3
 ・128万円+扶養家族控除額+社会保険料控除額以下なら2分の1
 ・168万円+扶養家族控除額+社会保険料控除額以下なら4分の1
が免除となります。

免除は納めたいけど収入が少ないので納められない、
未納は納められる収入はあるけど納めないと全く意味が違います。

なので未納では国民年金が受給できませんが、
免除の手続きしていれば後々国民年金を受給できます。

ただし保険料を免除された場合には、
受給できる国民年金額も満額納付に比べると減ってしまうので注意してください。

フリーランスに転向してしばらくは収入が安定せず、
国民年金保険料を納めるのも厳しいといったことがあるかもしれません。

将来の生活も大事ですが今の生活も大事ですから、
収入が少ない内は免除・納付猶予の制度の利用を検討してみてください。

ちなみに国民年金保険料は追納が可能で、
追納が認められた月から10年遡って追納することができます。

免除を受けた分を全額追納すれば満額納付と同じ扱いになりますから、
収入が増えて生活に余裕ができたら追納を考えても良いでしょう。

フリーランスも年金を「2階建て」にできる

第2号被保険者である会社員や公務員は国民年金に加えて厚生年金にも
加入するので、一般的に「年金が2階建てになっている」と言われます。

第1号被保険者は国民年金だけで厚生年金には加入できないので、
基本的に年金は「1階建て」です。

しかしフリーランスなど第1号被保険者も年金を2階建てにすることができます。

国民年金基金

第1号被保険者が厚生年金のように年金を上乗せできるものとして
利用できるのが「国民年金基金」です。

国民年金基金は厚生労働大臣の認可を受けた国民年金基金連合会が運営する、
れっきとした公的な年金制度です。

厚生年金が会社員など第2号被保険者しか加入できないのと同じで、
国民年金基金は第1号被保険者しか加入できません。

毎月国民年金基金の掛金を納めることで、
60歳もしくは65歳になった時に国民年金とは別に受給できます。
(基本終身なので生きている限りはずっと)

掛金の金額は加入時の年齢や性別、加入するタイプによって変わります。

例えば私のような40代が加入した場合は、1口目が月額10,000~15,000円で
2口目以降は1口月額5,000円です。
(月68,000円が上限)

国民年金保険料と同じで、国民年金基金の掛金は全額所得控除の対象となります。

ただし加入後に掛金を増やしたり減らしたりはできますが、
掛金を払うのがキツイなど自己都合では止めることはできません。

iDeCo

フリーランスが年金を2階建てにする方法の2つ目が、「iDeCo」の利用です。

iDeCoは、積み立てた掛金を金融商品で運用して、
満期となる60歳以降に掛金と運用益を受け取れるという私的年金制度です。

年金のように毎月分割して受け取ることもできますし、
一時金として全額まとめて受け取ることもできます。

私的年金制度ではあるものの、iDeCoの掛金は全額所得控除の対象で、
運用益は非課税、満期後に受給するお金も控除対象となります。

フリーランスの場合、
掛金は月5,000円から68,000円まで1,000円単位で選択可能です。

ただし先の国民年金基金と併用する場合は、
国民年金基金の掛金とiDeCoの掛金を合わせて月68,000円が上限となります。

またNISAとは違って、
いくら運用益が出てても60歳になるまでは引き出すことができません。

付加年金

フリーランスが利用できる年金の2階建て部分として「付加年金」というものも
あります。

これは日本年金機構が提供している公的な年金制度の1つです。

国民年金の保険料に月400円上乗せすることで、
国民年金の受給額が少し増えるという制度です。

年間支給額は200円×付加年金納付月数で、
終身年金ですが国民年金のように物価スライドによる増額・減額はありません。

例えば付加年金を10年間納めると、
200円×120か月で国民年金の受給額が年間24,000円増えることになります。

ただし国民年金基金との併用はできませんから注意してください。

小規模企業共済

年金とは少し違いますが、「小規模企業共済」を利用することでもフリーランスは
老後の資金を増やすことができます。

会社員や公務員には退職金がありますが、
フリーランスや自営業者には退職金はありません。

小規模企業共済はフリーランスや自営業者の退職金制度のようなもので、
積み立てておくことで廃業時に退職金代わりとして受け取れます。

分割して受け取ることもできますから、年金の2階建て部分とすることも可能です。

掛金は月1,000~70,000円の間で500円単位で設定可能、
途中で掛金を増やしたり減らしたりも500円単位でできます。

廃業時に受け取る共済金は課税対象ですが、
毎月の掛金は全額所得控除の対象です。

自己都合による解約は可能ですが、
加入から12か月未満の解約では共済金が受け取れないこともあります。

また加入から20年未満で自己都合で解約すると、払った掛金総額より
受け取る共済金額の方が少なくなることもあるので注意も必要です。

まとめ

厚生年金は会社員や公務員など第2号被保険者のみ対象ですから、
第1号被保険者であるフリーランスは厚生年金に加入できません。

会社員や公務員を辞めてフリーランスになる場合は、
厚生年金から離脱することになります。

ただ1か月以上厚生年金の保険料を納めていれば、
60歳もしくは65歳で年金を受給する際に厚生年金の上乗せがあります。

これまで納めた厚生年金保険料が無駄にならないとは言え、
定年まで保険料を納める場合よりも上乗せ分は減ってしまいます。

フリーランスになるなら国民年金基金など、
厚生年金に代わる新たな2階建て部分を検討した方が良いかもしれませんね。

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この記事を書いた人

はじめまして、こんにちは。
HN:ミカエルといいます。
1978年生まれ、40代独身の中小企業サラリーマンです。ずっと平社員、つまり「ヒラ」です。

もともと理系ですが、プログラミングなどの専門スキルはなく、PCも人並みに使える程度。性格は内向的で、人前で話すのは大の苦手。そんな自分なりに頑張ってきたつもりですが、気づけば40代になっても平社員のまま。悔しさや惨めさを感じたこともありましたが、これからは気持ちを切り替え、「仕事は仕事」と割り切りながら、健康に気をつけつつ、投資や副業で新しい道を模索していこうと考えています。


「ヒラサラ」について
「ヒラサラ」は、意識低めの40代平社員が、会社や仕事に振り回されず、無理なく生きるためのヒントを発信するブログです。

社会では「出世しないとダメ」「頑張らないと負け組」といった風潮が根強いですが、私は「優秀じゃないと受け入れられない社会」から降りる選択肢もアリだと考えています。

このブログでは、
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