最近大規模な災害が頻発していることもあって、
災害時の停電に備えて「ポータブル電源」の利用を検討しています。
では、災害用としてポータブル電源を利用する場合、
電力は何ワット必要なのでしょうか?
ポータブル電源のワット数
私も含めてポータブル電源を使ったことが無い人は、
ポータブル電源の「ワット数」には2種類あるということを知らなかったりします。
一般的にポータブル電源でワット数で表すのは「容量」と「出力」の2つです。
容量はポータブル電源の蓄電池の容量で、
「Wh(ワットアワー)」という単位で表されます。
簡単に言うと、「どのぐらいの電気が溜められて」「どのぐらいの電気が使えるか」
ということを表しているのが容量です。
厳密にはWhで表されますが、
短縮して容量をワット数として表現することもあります。
出力はポータブル電源から電化製品などに供給できる電力のことで、
こちらは「W(ワット)」の単位で表されます。
簡単に言うと、「どのぐらいの強さで電力が供給できて」
「どういった電化製品が使えるか」を表しているのが出力なのです。
大体のポータブル電源は容量と出力が比例しており、
容量の大きいモデルほど出力も大きくなっています。
スマホやタブレット、ノートパソコンの充電にしか使わないなら、
容量も出力も小さいポータブル電源で構いません。
しかしテレビや冷蔵庫などの大型家電への給電に使うのであれば、
容量も出力も大きなポータブル電源が必要です。
災害用のポータブル電源の容量は何ワット必要?
ポータブル電源を災害用として使う場合には、
容量はできれば1000Wh以上は欲しいです。
一口に災害用と言っても、
人によってポータブル電源の使い方が違いますから一概には言えません。
しかし、停電時に暗い中で過ごすのは不安ですから「照明」は使いたいですし、
情報を得るのに「スマホやタブレットの充電」は欠かせません。
災害時は複数の機器に給電するのに加えて、停電が長期化する恐れがあります。
停電が数日間続いても灯りとスマホなどの充電を切らさないためには、
少なくとも1000Whぐらいの容量が必要となるのです。
夏場には扇風機ぐらいは使いたい、寒い時は電気毛布を使いたいなどといった
場合はさらに容量の大きなポータブル電源が必要となります。
どのメーカーでも1500Whや2000Whぐらいのモデルはありますし、
メーカーによっては3000Whクラスや6000Whクラスもあります。
災害時にどういった用途にポータブル電源を使うのかを考えて、
1000Wh以上で適したワット数のポータブル電源を選びましょう。
ちなみに私はネガティブな性格なので最悪の事態も考えてしまうので、
少なくとも2000Whぐらいのポータブル電源が欲しいですね。
(懐が許せば6000Whが欲しい)
災害用のポータブル電源の出力は何ワット必要?
次に災害用として使うポータブル電源の出力ですが、
これは「どんな電化製品を使いたいか」で決まります。
使いたい電化製品の「消費電力」がポータブル電源の「出力」より大きいと、
その電化製品はポータブル電源に接続していも使えません。
無理に使おうとするとポータブル電源が故障してしまいます。
なので、使いたい電化製品の消費電力以上の出力を持ったポータブル電源を
選ぶことになります。
一般的な家庭用コンセントの出力は1500Wですから、出力が1500W以上の
ポータブル電源であればほとんどの電化製品の使用が可能です。
ただ出力が1500W以上となると、
容量が2000Wh以上のクラスで当然ですが価格も高くなるので注意してください。
主な電化製品の消費電力
使いたい電化製品の消費電力に合った出力のものを選べと言われても、
普段使っている電化製品の消費電力なんて知らないですよね。
偉そうに言っている私も知りませんから、
主な電化製品の消費電力を調べてみました。
(https://eco-power.jp/power_list.html)
災害時に電気が使えなくて困るのが「照明」と「スマホの充電」です。
照明は電球の種類によって消費電力が違っており、
・LED 10W
・蛍光灯 25W
・白熱灯 60W
となっています。
スマホの充電は15Wぐらい、
いずれもそれほど消費電力は多くないのでポータブル電源で問題なく使えます。
災害時により詳しい情報を収集するため、
「パソコン」を使いたいということもあるかもしれません。
何なら災害時でも仕事をしないといけないというビジネスパーソンの鑑のような人も
居るでしょう。
デスクトップパソコンで150Wぐらい、ノートパソコンだと50Wぐらいで、
こちらもほとんどのポータブル電源で問題なく使えます。
夏場は熱中症が怖いので扇風機は使いたいですし、
冬場は電気毛布やこたつを使いたいです。
扇風機や電気毛布は消費電力100W以下ですから問題なし、
こたつは弱なら100W程度ですが強にすると500W以上となります。
500Wとなるとある程度出力の大きいものが必要となるので、
必然的に容量の大きいポータブル電源を使わないといけません。
災害時でもお腹は空きますから、
炊飯器や電子レンジ、ホットプレート、IH調理器などの調理家電も使いたいです。
調理家電はいずれも消費電力が1000W以上と大きく、
特にIH調理器の消費電力は3000Wとなっています。
災害時に調理家電を使いたい場合はできるだけ容量の大きなポータブル電源、
と言いたいところですが災害時には調理家電は使わない方が良いです。
ポータブル電源で調理家電は使えますが、
調理家電を使うとすぐにポータブル電源の充電が無くなってしまいます。
停電が長期化することも考えられますから、少しでもポータブル電源を
長く使うためには消費電力の大きい調理家電は使わない方が良いです。
災害用ポータブル電源を選ぶ際のワット数以外のポイント
災害用としてポータブル電源を使う場合、
ワット数以外にも抑えておきたいポイントがいくつかあります。
価格
ポータブル電源は安いものではありませんから、当然「価格」は重要なポイントです。
価格はメーカーによって違いますが、
容量の数字を100倍すると価格の目安となります。
例えば100Whクラスなら1万円台、300Whクラスなら3万円台といった感じです。
どういった機能が付いているかにもよりますが、
容量が1000Whクラスだと大体10~15万円ぐらいで購入できます。
ただ1500Whクラス以上になると価格は跳ね上がり、
1500Wクラスで20万円超、2000Whクラスだと25~30万円です。
6000Whクラスの超大容量のポータブル電源もありますが、
こちらは価格が100万円を軽く超えてきます。
充電方法
災害用のポータブル電源は「充電方法」も重要です。
停電していなければ家庭用コンセントで充電できますが、
災害が発生して停電すると家庭用コンセントは使えません。
車のシガーソケットでも充電できるものの、
シガーソケットで充電するには車を動かす必要があります。
動かさずにエンジンをかけただけの状態でポータブル電源をシガーソケットで
充電すると、車のバッテリーが上がるので注意してください。
災害時は車の燃料も貴重となりますから、ポータブル電源をシガーソケットで充電するというのは現実的ではないです。
(シガーソケットだと充電時間も長い)
停電時に使うことを想定すると、
「ソーラーパネル」で充電できるタイプのポータブル電源がおすすめです。
ポータブル電源とセットでソーラーパネルを購入する必要がありますが、
ソーラーパネルなら停電時でも充電できます。
ソーラーパネルで充電しながらポータブル電源を使えば、
停電が長期化しても「電気が使えない生活」に陥る心配がありません。
本体重量
ポータブル電源を選ぶ際には「本体重量」も重要となります。
電気代節約のために普段からポータブル電源を使うならともかく、
非常用として使う場合には普段は物置などにしまっている可能性が高いです。
災害発生時に物置からポータブル電源を出してくることになりますが、
本体重量が重いと持ち出すのも一苦労です。
最近のポータブル電源は軽量化されてきているものの、
容量が1000Whを超えると本体重量も10kgを超えてきます。
重さが10kgを超えると、女性や高齢者でも持ち上げることはできますが、
持ち運ぶことが難しくなります。
ただ災害用には容量の大きいポータブル電源が必要で、
容量が大きくなると重くなって持ち運びにくくなる、というのがジレンマですね。
メーカーによっては、持ち運びやすいように重いポータブル電源にキャスターを
付けていることもあります。
(https://www.jackery.jp/products/explorer-2000-plus-portable-power-station?srsltid=AfmBOopdcNBzpWrAZsk6VU6CHyGo56J_cOn3NwJnjnIVQMljNjAFjxhN)
ポータブル電源用のキャリーカートもありますから、
容量が大きくて重いポータブル電源を使う場合は検討しても良いかもしれません。
(https://www.jackery.jp/products/foldable-carry-cart?srsltid=AfmBOorsafZvk-Jw9SJeTc_g53z-8cFzaEmIFWj7ZiiSNUbyvkWhJVg2)
安全性
ポータブル電源を選ぶ際には「安全性」も重要な要素です。
災害が発生して困難な時に、
ポータブル電源に発火などのトラブルが発生すると目も当てられません。
スマホ用のモバイルバッテリーでも発火事案がありますし、「モバイルバッテリーの
でかい版」と考えるとポータブル電源も発火しないとは言えないのです。
(https://re-energy.co.jp/news/2295/)
一般的なポータブル電源には、
スマホなどと同じ「リチウムイオン電池」が使われています。
ただリチウムイオン電池にもいくつか種類があり、中でも比較的安全性が高いと
言われているのが「リン酸鉄リチウムイオン電池」です。
リチウムイオン電池が発火する原因は熱ですが、リン酸鉄リチウムイオン電池は
構造が安定していて内部で熱が発生しにくくなっています。
内部で熱が発生したとしても熱暴走を起こしにくいので、
発火の危険性はかなり低いです。
ポータブル電源を安全に使うのであれば、
リン酸鉄リチウムイオン電池を使ったものを選ぶのがおすすめです。
リン酸鉄リチウムイオン電池のポータブル電源はコスパも高い
リン酸鉄リチウムイオン電池のポータブル電源は安全性が高いだけでなく、
コスパも高くなっています。
価格自体はそれほど安くありませんが、
リン酸鉄リチウムイオン電池のポータブル電源は長寿命です。
スマホなどに使われているリチウムイオン電池は、
充放電を500回繰り返すと容量が大幅に減ってしまいます。
要するに、毎日充電していると1年ちょっとでバッテリーのもちが悪くなってしまう
ということです。
リン酸鉄リチウムイオン電池は、
充放電を4000回繰り返しても容量が70~80%程度確保されます。
毎日充電しても10年以上使えますから、
リン酸鉄リチウムイオン電池のポータブル電源は長寿命でコスパが高いのです。
まとめ
災害用としてポータブル電源を利用する場合は、
容量が1000Wh以上のものがおすすめです。
一般的な家庭用コンセントの出力が1500Wですから、
出力が1500W以上のポータブル電源ならほとんどの電化製品が使えます。
災害時でもそれなりに快適に過ごすには、
容量と出力の大きいポータブル電源が必要です。
しかし容量と出力が大きくなると価格も高くなりますから、
ポータブル電源は欲しいけど懐の寂しい私には悩ましい問題ですね。