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会社の評価制度は建前ばかりなのか、その本質を探る

会社は「公平に評価している」と言いますが、
評価される側からすると公平な評価は建前ばかりとしか思えません。

では本当に会社の評価制度は公平なのか、公平は建前でしかないのか、
詳しく見ていきましょう。

会社の人事評価の仕組み

会社によって多少違いはありますが、一般的な評価制度は
 ・評価
 ・等級
 ・報酬
の3つで構成されています。

1つ目の「評価」で、人事対象となる社員の勤務態度、能力、成果などを評価します。

その評価を元に、社員をいくつかのランクに仕分けるのが2つ目の「等級」です。

そして3つ目の「報酬」では、
仕分けられた等級に沿って報酬額を決めることになります。

1つ目の評価と2つ目の等級が機械的に行われているのであれば、
会社側の言う通り「公平な評価制度」です。

しかし実際には評価と等級が機械的には行われておらず、「人の手が加わって
いる」ため公平とは建前ばかりの評価制度となってしまっているわけです。

「評価」はどのように行われているのか?

会社の評価制度の1つである「評価」は、
 ・人事考課
 ・業績評価
の2つを元に行われるのが一般的となっています。

「人事考課」は、業績のように数字では表れない部分、
簡単に言うと勤務態度や能力を評価する項目です。

単純に、無遅刻無欠勤で真面目に仕事に取り組んでいる、
リーダーシップがあるなどといったことが評価されます。

ただ現状の能力に加えて、「将来的に業績アップに貢献してくれる可能性が高い」
という点も人事考課では評価対象となります。

会社内で既に成果を上げている社員と同じような行動特性を持っているかどうかで、
将来性を評価しているのです。

例えば「報連相を怠らない」「会議で積極的に発言する」など、
既に成果を上げている社員と同じような取り組みをしているかということです。

既に成果を上げている社員と同じように取り組んでいれば、現状では成果が
上がっていなくても将来的には必ず成果が上がるだろうという考え方になります。

業績評価は業績アップにどの程度貢献したかで、
ある程度数字で表れる部分の評価です。

評価を元に等級を決めるところに問題あり

人事考課や業績評価による評価を元に等級を決めるのですが、
ここで問題が起こりやすくなっています。

ビジネスパーソンの多くが「評価制度は建前ばかり」と感じる原因はここにある、
と言っても良いぐらいです。

一般的には評価を元に5段階もしくは7段階に等級分けするのですが、
等級分けは相対評価で行われることが多いです。

例えば、学校の成績がA~Eの5段階評価で、テストで100点を取ると
一番上のAランクになれるのが絶対評価です。

テストで100点は取ったけど他の人と比べて授業態度が良くない、
など他の人との比較でランクを決められるのが相対評価となります。

会社の評価制度では相対評価で等級分けをしているので、トップクラスの
高い評価を得たとしても一番上の等級に入れないこともあるのです。

絶対評価にすると、
上の方の等級に入って給料が上がる社員が多くなってしまいます。

かなり儲かっている会社なら、給料が上がる社員が多くなっても問題はありません。

しかし実際には、社員の給料をいくらでも上げられるほど儲かっている会社は
少なく、少しでも人件費を抑えたいのが多くの会社側の本音です。

少しでも人件費を抑えたいので、
相対評価によって給料が上がる等級に入る社員の数を絞っています。

「同じように働いて同じような成果を上げているのに、アイツの給料が上がって
自分は上がらない」といったことが起こるのは相対評価のせいです。

ただ会社の評価制度は学校の成績とは違いますから、
絶対評価で等級を決めるのは簡単ではありません。

人事考課や業績評価の資料を1人分だけ渡されて、
「この人の等級は?」と聞かれると想像してください。

評価が数字で表されていて、
明確な基準があるなら絶対評価での等級分けは簡単です。

しかし評価は数字で表されない部分も少なくありませんし、会社によっては
明確な基準もないので、どうしても相対評価せざるをえないのです。

一番上の等級には誰も入れない?

一般的に会社の評価制度では5段階や7段階の等級分けを行いますが、
一番上の等級に入れる社員はほとんど居ません。

ほとんど居ないどころか、
「一番上の等級に入れる社員はゼロ」と言っても良いぐらいとなっています。

例えばA~Eの5段階評価だとしたら、
一番上のAランクに入れる社員は1人も居ないということです。

一番上の等級に入れる社員が居ないのは、賃金調整が難しくなるからです。

全体の人件費はある程度決まっていますから、一番上の等級で大幅昇給する
社員を出すと最低等級で大幅減給の社員も出さないといけなくなります。

勤務態度がかなり悪い・全く成果が上がっていないというような社員が居れば、
大幅減給も可能です。

でも大幅減給させられるような社員が居なければ、大幅昇給もさせられないので
一番上の等級に入る社員はほとんど居ないというわけです。

中には、5段階評価なのに一番上と一番下に入る社員が居なくて
実質3段階評価となっている会社もあります。

また「去年高評価だったから、今年は評価を1つ落とす」といった
調整が行われることもあるのです。

特に異動が決まっている社員や退職予定者は、給料を上げる必要がないので
「調整弁」として低評価となることも少なくありません。

上司の好き嫌いで等級が決まってしまうことも

評価制度が相対評価だと、
評価する側である「上司の好き嫌い」で等級が決まってしまうことも多いです。

例えば、あなたが上司の立場だとして
 ・真面目で成果を上げている部下
 ・不真面目で成果を上げていない部下
の2人だったら「真面目で成果を上げている部下」を高く評価するでしょう。

では2人とも「真面目で成果を上げている部下」で、
高く評価できるのはどちらか1人だけだとしたらどうでしょうか?

勤務態度や能力、成果、業績で比較できないとなると、
それぞれの「イメージ」で比較するしかありません。

1人は「明るくハキハキしている」、もう1人は「暗くてボソボソ話す」としたら、
「明るくハキハキしている」方を高く評価してしまいます。

暗いより明るい方がイメージが良いですから、
評価が同じならイメージの良い方を上の等級に入れることになるわけです。

評価される側の部下からすると、「能力は同じなのに明るくハキハキしている
だけで高い評価を得た」ように見えて不公平感を覚えます。

しかし評価する側の上司からすると、
「能力が同じなら最後は好き嫌いで決めざるをえない」という部分もあるのです。

それでも部下には「好き嫌いだけで決めている」ように見えるので、
評価制度の公平さは建前ばかりと感じてしまいます。

公平な評価制度の罠

評価制度の不公平感を無くすために、
「MBO」という制度を取り入れている会社もあります。

MBOは「Management By Objectives」の略で、
日本語で言うと「目標による管理」です。
(https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=24)

簡単に言うと、社員それぞれに目標を設定して、
その進捗率によって評価する制度のことです。

設定された目標に対する進捗率という数字での評価なので、
評価する側の手が入りにくく公平な評価制度とされています。

厳格にMBOを運用すれば公平になりますが、
実際には評価する側の手が入って不公平となることが少なくありません。

目標は上司と部下の話し合いで設定

MBOでは目標の進捗率によって評価しますから、
まず評価対象となる目標を設定しなければいけません。

MBOでの目標は、評価する側である上司と評価される側の部下の
話し合いによって設定されるのが一般的です。

部下全員に同じ目標だと公平ではあるものの、新人・中堅・ベテランと経歴によって
目標のハードルの高さが変わってしまいます。

例えば「契約5件取る」という目標だと、まだ顧客を持っていない新人と
既に何軒もの顧客を抱えるベテランでは達成するハードルの高さが全然違います。

そこで部下一人一人に違う目標を設定するのですが、
ここに「評価する側の手」が入ってしまうのです。

気に入っている部下には達成しやすい低い目標、ソリが合わない部下には
達成が難しい高い目標を設定するといったことができてしまいます。

さすがにそこまで露骨ではないものの、目をかけていて引き上げたいと
思っている部下に対しては目標設定が甘くなることがあります。

数値による評価で公平なはずのMBOにも、目標設定の段階で上司の好き嫌いが
反映される恐れがあるという罠があるのです。

評価制度に不満があるから転職するのは間違い?

評価制度に不満があり、
正当な評価を受けられていないと感じると「転職」が頭に浮かびます。

40代である私の若い頃には終身雇用制の名残がまだありましたから、
転職するとキャリアがリセットされて不利になると考えられていました。

しかし最近は終身雇用制がほぼ崩壊しており、
転職してもキャリアがリセットされる心配がありません。

ただ現在の会社の評価制度に不満があることを理由に転職するのは、
あまりおすすめできないです。

評価制度が相対評価で上司の好き嫌いが反映されやすいのは、
現状だとどこの会社でも同じです。

転職したからと言って、必ずしも公平な評価が受けられるとは限りません。

転職活動の時点は「ウチの評価制度は公平」と言っていても、
実際に入社したら公平は建前ばかりといったことも十分に考えられます。

外資系は上司の好き嫌いで評価されない?

外国人は日本人に比べて仕事での人間関係がドライだから評価制度が公平で
転職するなら外資系と、考えるかもしれません。

しかし実際に外資系企業で働く人によると、
外資系企業でも評価に上司の好き嫌いが反映されることがあるとのことです。

ただ外資系企業の管理職には強い人事権があり、
部下に対して採用から解雇まで一連の権限を持っています。

強い人事権が与えられている代わりに責任も重く、
結果が出ないと管理職も管理職が評価した部下も全員解雇となってしまいます。

引き上げた部下が結果を残せないと自分のクビも涼しくなるので、
能力や成果に応じた公平に近い評価・処遇が行われるのだそうです。

外資系企業でも評価に上司の好き嫌いが反映されることはあるものの、
日本企業に比べると能力や成果により重きが置かれています。

能力に自信があって公平で納得できる評価を受けたいのであれば、
外資系企業への転職も悪くありません。

まとめ

会社の評価制度は建前ばかりで全然公平じゃないと思うビジネスパーソンも
多いですが、会社側からすると仕方のない面もあります。

評価や人事に関してはブラックボックスの部分も多く、
評価される側の社員にはどうすることもできません。

どうしても評価に納得ができないなら、
日本企業よりは評価制度が公平な外資系企業への転職を検討しましょう。

私も今の会社の評価制度には納得してないですが、
能力に自信がありませんから外資系企業に転職する勇気は無いですね・・・。

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