日本では少子化が叫ばれて久しいですが、中には「メリットよりもデメリットが
大きいから子供は要らない」という人も少なからず居ます。
個人的には人の命に関わることをメリット・デメリットで考えるのはおかしいと
思う部分があるものの、世間的にはどうなのでしょうか?
子供を産むメリット・デメリットを考えるのはおかしい?
子供を産むことは「命を繋ぐこと」、
先祖から代々受け継いできた命を次世代に繋ぐということです。
ヒトと類人猿の両方の特徴を持った人間の祖先である「猿人」が誕生してから
約700万年が経過しています。
(https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science210302/)
700万年もの間、
命が受け継がれてきたことで2024年の現在に我々は存在しているのです。
人間にとっての大きな使命の1つが「命を繋ぐこと」であると考えると、
子供を産むことをメリット・デメリットで考えるのはおかしいとなります。
全ての現代人が子供を産むことを否定すると、
あと100年ほどで700万年続いてきた人類の歴史が終了してしまいます。
人類が生み出した文明も無駄になりますし、これまで人類の歴史を紡いできた
何億何十億という人の努力も無駄になってしまうのです。
子供を産んで命を次世代に繋ぐことは人間にとっての使命であり、
良し悪しやメリットデメリットで考えることではありません。
・・・と偉そうなことを言っている私は独身子なしですから、
先祖から見れば立派な穀潰しなんですけどね。
近視眼的には子供を産むことをメリット・デメリットで考えるのは仕方ない
人類という大きな視点で考えると、
子供を産むことをメリット・デメリットで考えるのはおかしいです。
しかし自分の人生という近視眼的な視点で考えると、子供を産むことを
メリット・デメリットで考えるのはそれほどおかしいことではありません。
誤解を恐れずに言うのであれば、独身子なしの目から見ると子供を産むことには
メリットよりもデメリットの方が大きいと感じます。
子供ができた途端に、自分の人生が自分中心ではなく子供中心へと変わります。
何をするにも子供優先となって、
お金も時間も自分のためには自由に使えなくなってしまうのです。
自分の人生なのに子供ができることで自分の思うように自由に生きることが
できなくなってしまうのは、自分にとって大きなデメリットです。
自分の人生を自由に生きられなくなるデメリットを超える、
金銭的・時間的メリットを子供がもたらしてくれるとは考えられません。
そうするとメリットよりデメリットが大きいとなって、
子供を作らないという選択をする人が増えるのも頷けますね。
子供を産むことの具体的なデメリット
では、子供を産むことには具体的にどういったデメリットがあるのでしょうか?
お金がかかる
子供を産むことの最大のデメリットは「お金の問題」です。
子供は生まれてから高校・大学を卒業して就職するまで、
全ての生活費は親が面倒を見なければいけません。
子供が生まれてから大学卒業までには、
1人当たり3000~4000万円のお金がかかるとされています。
(https://www.oitamirai.co.jp/column/loan/2402_cost-simulation/)
医療費や給食費、高校の授業料など、我々40代が子供の頃には必要だった
費用が現代では無料になっているものもあります。
しかし、代わりにスマホやインターネットなど我々40代が子供の頃には
不要だった費用が必要にもなっているのです。
また習い事も我々が子供の頃より選択肢が増えていますし、
本格的な指導が受けられる分費用も高くなっています。
老後2000万円問題で、退職金や年金だけでは老後の資金が2000万円前後
足りないとも言われています。
子供にかかるお金が無くなれば老後の資金に余裕ができるので、
お金の問題が子供を産むことの大きなデメリットとなるのです。
時間の問題
子供ができると子供中心の生活となって、
一人や夫婦二人の時間というものが無くなってしまいます。
まさか小さい子供に留守番させて夫婦二人で出かけるなんてできませんから、
どこへ行くにも子供を連れていくことになります。
子供連れだと行けるところが限られてしまいますし、
何より子供が行きたいところに行かないといけません。
子供にとって楽しい場所が大人にとって楽しい場所とは限りませんから、
子供のために楽しくない場所へ行かないといけないこともあるのです。
(特に夫が)配偶者に子供の世話を押し付けて自分の時間を満喫しようものなら、
「親失格」の烙印を押されてしまいます。
多趣味だったり好奇心旺盛だったりであれもこれもやりたいという人にとっては、
子供が居ることで時間の制約を受けるのは大きなデメリットです。
仕事でのキャリアに影響が出る
仕事でのキャリアに影響が出る恐れがあるのも、子供を産むデメリットの1つです。
最近は男性も育休を取得するケースが増えていますが、男性の育休は
数週間から1か月程度なので仕事にそれほど大きな影響はありません。
ところが実際に出産する女性は、子供を産むことで場合によっては
年単位で仕事をセーブしないといけないのです。
妊娠したことが分かってから安定期に入るまでは、流産のリスクが高まる
精神的・身体的に負担のかかることは避ける必要があります。
仕事で長時間立ちっぱなし座りっぱなしは身体的に大きな負担となるため、
安定期に入るまではある程度仕事をセーブすることになります。
何より安定期に入るまではつわりなどで体調が不安定になりますから、
妊娠前と同じようには仕事ができません。
安定期に入ると体調が安定して流産のリスクも低くなりますが、
お腹が大きくなってくるので体が動かしにくく、動くと疲れやすいです。
出産が近付くと産休に入り、出産後も体力がある程度回復するまでは
休むことになりますからすぐに職場復帰はできません。
出産前後だけでなく妊娠初期の段階から考えると、
年単位で仕事をセーブすることになるわけです。
年単位で仕事をセーブしないといけないとなると、
妊娠が分かった段階で重要な仕事が任されなくなります。
出産後に職場復帰してもブランクがあるのですぐに最前線というわけには
いかないので、どうしても子供ができると女性はキャリアが停滞してしまうのです。
仕事で順調にキャリアを積んでいる女性にとっては、
キャリアを停滞させる子供を産むことはデメリットとなります。
子供が居ても老後は安心じゃない
子供を産むメリットは「老後が安心なこと」と言われることがありますが、
子供が居ても老後が安心とは限りません。
高校・大学を卒業して就職するまでは親元に居ることも多いものの、
就職すると子供は親元を離れます。
さらに結婚して家庭を持とうものなら、
そちらを優先して実家に帰ってくる回数は大幅に減ります。
また親としても結婚して子供(孫)ができた子供に対して、
「しょっちゅう実家に帰ってこい」とは言いにくいです。
昔のように二世代同居・三世代同居が当たり前の時代なら、
子供に老後の面倒をみてもらえるかもしれません。
しかし核家族化が進んだ現代では、
子供が居ても子供に老後の面倒を見てもらえるとは限らないのです。
子供が2人3人と居る場合には、介護や相続の問題で揉めることもあります。
最初から子供が居なければ、子供が介護や相続で揉めることはありませんし、
老後の面倒を子供に見てもらうという発想がそもそもありません。
子供を産むことで「老後の面倒を見てもらえるんじゃないか」と
淡い期待をもってしまうことが、後々デメリットとなるのです。
子供を産むことには無形のメリットがある
子供を産むことに経済的・時間的なメリットはありませんが、
形にならない「無形のメリット」はあります。
生きる目標
子供を産むことで得られる無形のメリットとして一番大きいのが
「生きる目標」を持てることです。
少なくとも成人するまでの子供は親への依存度が高いですから、
親としては人生をリタイアするわけにはいきません。
可愛い自分の子供を路頭に迷わせるわけにはいかないので、
子供のために長く生きようとするのです。
「病は気から」とも言いますし、子供という心の支えがあることで
病気にかかりにくくなり、少々の病気なら治ってしまいます。
さらに子供が結婚して孫ができると、
今度は孫が大きくなるまで元気で居ないといけないと新たな目標ができます。
またある程度動けるようにしておかないと孫と一緒に遊べませんから、
子供を産むことで結果的に健康寿命を延ばすことにもなるのです。
節約意識
子供を産むと、
これからの子育てにかかるお金のことを考えて「節約意識」が芽生えます。
子供が大きくなるまでの生活費を捻出するのもそうですし、
子供が親元を離れてからは少しでも子供にお金を残してやろうと考えます。
趣味などで不要なものは買わなくなり、
日用品も同じものなら少しでも安いものを求めるようになるのです。
節約意識が高まった結果、
子育て費用だけでなく自分たちの老後の資金にも余裕ができます。
子供が居ないと不要なものを買ったり、同じものでも贅沢志向になったりして、
子育て費用が不要なのに思ったほどお金が貯まらないということがあります。
時間の使い方が上手くなる
子供を産むことで、時間の使い方が上手くなります。
小さい子供は寝る時間も早いので起きる時間も早く、
親は嫌でも早起きして朝の準備をしてあげないといけません。
子供の準備をしながら自分も仕事に出かける準備をして、
朝食を食べたら子供を送って仕事へと出かけます。
仕事が終わったら買い物をして子供を迎えに行き、
帰ったら夕食の準備をして子供をお風呂に入れます。
夕食が終わったら寝かしつけて一日が終わるのですが、
子供や自分のことをする合間に掃除や洗濯など家事もこなさないといけません。
1つ1つをゆっくり丁寧にやっていては24時間では足りないので、
複数のことを同時に行うなど時間を上手く使えるようになるのです。
時間が上手く使えるようになると仕事でも効率が上がりますから、
子供を産むことが結果的に仕事でもプラスになります。
また子供に合わせて早寝早起きの習慣ができて生活が規則正しくなり、
健康寿命を延ばすことにも繋がります。
子供が居ることの幸せ
子供を産むことで得られる最大のメリットは
「子供が居ることの幸せ」を感じられることです。
私は独身で子供は居ませんが、
兄夫婦のところに私から見ると姪っ子と甥っ子が1人ずつ居ます。
元々私は小さい子供が好きではありませんでしたが、初めて姪っ子を
抱っこした時に「こんなに可愛いと感じる存在があるのか」と思いました。
以降は姪っ子が可愛くて仕方なくなり、
兄夫婦が姪っ子を連れて実家に帰ってくるのが楽しみとなっていました。
姪っ子ですからコレですから、自分の子供となるともっと可愛くて、
見ているだけでもっと幸せを感じるだろうと簡単に想像できます。
子供が居ることに幸せについては、「『子どもを持つメリットってありますか?』と
聞かれたら」というエッセイを読んでいただくとよく分かるはずです。(https://www.gentosha.jp/article/21483/)
このエッセイを読むと、子供が居る幸せがよく分かりますし、
子供を産むことをメリット・デメリットで計れないことも気付かせてくれますよ。
まとめ
子供を産むメリット・デメリットを考えるのはおかしいと思う反面、
見方によっておかしくないとも思います。
ただ子供を産むことが絶対正しいわけでもありませんし、
子供を産まないことが絶対に正しいわけでもありません。
人それぞれに子供を産むことに対する考え方があり、
それぞれの考え方は尊重されるべきです。
なので、結婚しない(できない)からと言って私を奇異な目で見るのは
止めていただきたいと職場のあの人たちにお願いしたいですね。