今度こそ知らないメーカーが出てきても無視しようと思いましたが、
「Severin(セヴェリン)」というメーカーのことが気になって仕方ありません。
気になることは調べずにはいられない性質なので、
Severinについて調べてみることにします。
Severinはどこの国のメーカー?
「Severin(セヴェリン)」は、
ドイツのゾンスベックというところに本社を構えるドイツの家電メーカーです。
(https://severin.com/de-de/)
創業は1892年、
和暦では明治25年で日本で第2回衆議院総選挙が行われました。
勝海舟や徳川慶喜、新しい1万円札の肖像になっている渋沢栄一など
我々からすると歴史上の人物がまだ存命だった頃ですね。
日本の歴史上の人物が存命だった頃に創業したSeverinは、
130年以上の歴史を持っています。
創業者であるアントン・セヴェリンは家業の鍛冶屋で仕事を学び、
26歳の若さで事業を立ち上げます。
家業で学んだ鍛冶の技術を生かした機械・設備・車両などの修理を専門に行う
事業で、これがSeverinの前身です。
その後第二次大戦終了後まで金属加工を行っていましたが、
1951年に家電市場へと参入します。
当時のドイツは家電需要が高まっていたこともあって、
Severinの家電事業はすぐに軌道に乗ります。
現在のSeverinの骨格が形成されたのは1960年代に入ってからで、
・コーヒーメーカー
・コーヒーグラインダー(電動コーヒーミル)
・ワッフルメーカー
など次々とヒット作品を世に送り出して業界トップの地位を固めました。
その後はキッチン家電や調理家電に加えて生活家電分野にも進出、
ヨーロッパトップクラスの家電メーカーとなった現在へと続きます。
Severin躍進のカギは「品質保証」と「顧客対応」?
私個人の意見ですが、Severinが1960年代に大きく躍進したのは「品質保証」と
「顧客対応」にカギがあるのではないでしょうか。
コーヒーメーカーなどのヒット製品を生み出して業界トップへの階段を上り始める
1961年にSeverinはテスト部門とカスタマーサービスを設立しています。
テスト部門は当然製品の品質をチェックするところで、
テストをクリアした製品だけを販売することで品質を保証したのです。
カスタマーサービスは問い合わせを受け付ける部門で、
当時としては恐らく珍しい48時間対応でした。
自社で行っているとは言え品質テストをクリアした製品ですから、
顧客はSeverin製品を安心して購入・使用できます。
購入した製品で分からないことがあってもカスタマーサービスに問い合わせれば
解決しますし、クレームや意見もメーカー側に伝わります。
顧客からのクレームや意見を製品に反映させることで、より使いやすくて
便利な家電が生み出せるという好循環を生み出したのではないかと思うのです。
品質保証や顧客対応が丁寧なのは日本メーカーで、海外メーカーはどちらかと
言うとそういうものを簡素にする代わりに価格を抑えるイメージがあります。
しかし1961年時点でドイツメーカーであるSeverinは、
品質保証や顧客対応の重要性に気付いて実践していたんですね。
個人的には、Severinは日本企業に近い考え方や感覚を持っているように感じます。
Severin製品は「Made in Germany」じゃない!?
Severinは現在もドイツに本社があるドイツメーカーですが、
Severin製品は残念ながら全て「Made in Germany」というわけではありません。
ドイツのトップメーカーでヨーロッパでも有数の家電メーカーであるSeverinは、
1990年代半ばにアジア市場へ進出します。
日本や韓国ももちろんですが、メインターゲットは中国です。
1990年代に中国では改革開放路線が急激に加速、
初の民間銀行が設立されるなど計画経済から市場経済への移行が進みました。
同時に「世界の工場」化も進み、
多数の海外メーカーの工場が中国に誘致されました。
海外メーカーの工場が中国国内に建設されることで中国経済も潤い、
中国国民の生活水準も大きく上昇します。
一般家庭での家電需要の高まりを狙って、
Severinは深センに工場を作ってアジア向けの生産を始めたのです。
Severinは現在でもドイツに工場を持っていますが、ヨーロッパ以外の市場では
中国深センの工場で作られた製品が多く販売されています。
Made in GermanyのSeverin製品だと思っていたら実はMade in Chinaだった、
といったことがあるかもしれません。
Made in Chinaが悪いわけじゃない
Severin製品がMade in Chinaと聞くと、
何となく「品質が良くなさそう」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
特に日本ではMade in Chinaに対しては「安かろう悪かろう」のイメージが
強く残っており、敬遠されることも少なくありません。
一昔前まではMade in Chinaの品質はあまり良くないことが多く、
私もそれを実感したことがあります。
しかし中国が世界の工場となってから約30年が経過、生産技術やノウハウなどが
蓄積されたことでMade in Chinaの品質も大きく向上しているのです。
特にパソコンやスマホなどの電子機器の生産技術に関しては世界トップで、
海外では中国製電子機器は高品質・高性能の証とされていることもあります。
またSeverinは中国の自社工場で製品を作っており、
品質管理の面はドイツにある工場と大きく変わりません。
中国の業者に製造委託している場合は多少品質に問題があるケースもあります。
しかしSeverinは自社工場で製品を作っており、
Made in Chinaが多いとしても品質にはまったく問題がありません。
Severinの家電
私はあまり馴染みがありませんが、
実際にSeverinはどういった家電を製造・販売しているのでしょうか?
Severinの公式オンラインストアでは、
・グリル
・コーヒーマシン
・キッチン家電
・生活家電
・ヘアケア
などの製品が販売されています。
「グリル」はバーベキューなどで使うグリルで、
炭を使って火を起こすのではなく電気で加熱するタイプです。
電気が無いと使えませんから、アウトドアに持って行って使うと言うよりは
自宅の庭などでバーベキューをする時に使うといった感じでしょうか。
オンラインストアの画像を見ると、
ホットプレートのように使うタイプのグリルもあるようです。
「コーヒーマシン」はコーヒーを作るのに使う家電で、
・コーヒーメーカー
・エスプレッソマシン
・ミルク泡立て器
・電気ケトル
・コーヒーグラインダー
などです。
「キッチン家電」には
・電子レンジ
・トースター
・フードプロセッサー
・ジューサー
・卵調理器
・アイスクリームメーカー
・冷蔵庫
などがあります。
「生活家電」は掃除機やアイロン、「ヘアケア」はドライヤーやヘアアイロンなどです。
日本でも馴染みのある家電もあれば、
「ミルク泡立て器」や「卵調理器」など日本ではあまり見かけない家電もあります。
ミルク泡立て器は自動でミルクを温めながら攪拌、
ホットチョコレートなどを作るのにも使われる電化製品のようです。
卵調理器はゆで卵を作るためだけの家電で、
日本にもありますがあまりメジャーではないですね。
Severinの家電は日本でも買える?
Severinの家電は家電量販店や日本向けの通販サイトでは
ほとんど取り扱われていませんが、日本で買えないわけではありません。
Severinの公式オンラインストアで購入できますし、
「Techinn」など海外製品を専門的に取り扱っている通販サイトでも購入可能です。
日本円で電子レンジが2万円台、冷蔵庫が15万円前後といったところですから、
大体日本で販売されている家電と価格はそれほど変わりません。
Severinの家電は日本では使えない?
公式オンラインストアなどでSeverinの家電は日本からでも買えますが、
購入する場合には注意も必要です。
海外メーカーの家電でも、
日本向けに作られていて日本で販売されているものは問題ありません。
しかしSeverinの家電は日本向けには作られていないので、
そのままでは日本で使えない可能性があるのです。
日本とドイツでは、電気の「電圧」と電化製品のプラグの形状が違っています。
日本の家庭で使える一般的な電気の電圧は100Vですが、
ドイツで一般的に使われている電気の電圧は230Vです。
Severinの家電はドイツやヨーロッパ向けに作られていますから、
日本よりも高い電圧に対応しています。
高い電圧に対応した家電を低い電圧で使うと、
十分な性能が発揮できないだけでなく故障の原因となる恐れがあります。
Severinの家電の性能を日本で十分に発揮させるためには、
昇圧変圧器の設置か家電のパーツ交換が必要です。
昇圧変圧器の設置には数十万円の費用がかかりますし、
パーツ交換にも数万円程度の費用がかかると思われます。
もう1つプラグの形状ですが、日本は2本の板状の突起物が付いたAタイプで、
ドイツでは2本の棒状の突起物が付いたCタイプです。
いわゆる「EUプラグ」と言われるもので、
そのままだと日本の家庭コンセントにプラグを差し込むことができません。
家電量販店などで数百円程度で手に入る変換プラグを使えば、
EUプラグを日本の家庭用コンセントに繋げられます。
どうしてもSeverinの家電を日本で使いたいなら止めないですが、別途費用を
かけてまで使うほどSeverinの家電に大きなメリットがあるとは思えません。
そのままでも使える日本仕様の家電を使った方が経済的ですしリスクも
少ないので、Severinの家電を日本で使うのはあまりおすすめしないです。
まとめ
Severin(セヴェリン)は、
1892年創業で130年以上の歴史を持つドイツの家電メーカーです。
冷蔵庫なども作っていますが、コーヒーメーカーなど小型家電を得意としています。
中国の深センに自社工場を持っているものの日本には進出しておらず、
家電量販店などでは取り扱いがありません。
公式オンラインストアや海外製品を専門的に取り扱う通販サイトで購入できますが、
電圧やプラグの関係でそのままだと日本では使えない可能性が高いです。
Severinの家電は魅力的ではあるものの、昇圧変圧器の設置や
パーツ交換をしてまで使うほど魅力のある家電とは思えません。