これまでは日本であまり馴染みのない家電メーカーばかりでしたが、
今回は日本でもそれなりに知名度がある「AEG(アーエーゲー)」についてです。
何となくどんな家電を扱っているかは知っているものの、
詳しくは知らないので調べてみました。
AEGはどこの国のメーカー?
「AEG(アーエーゲー)」はかつて存在したドイツの家電メーカーで、
現在は家電ブランドとなっています。
(https://www.aeg-jp.com/)
「エーイージー」ではなく「アーエーゲー」と読むことから、
ドイツの会社やブランドじゃないかと想像できた人も多いのではないでしょうか。
ちなみに私は大学時代に第二外国語としてドイツ語を履修していたので、
AEGはドイツ語圏のメーカーだろうと想像できました。
かつてはドイツの老舗家電メーカーでしたが、「エレクトロラックス」に買収されて
現在はエレクトロラックスの家電ブランドとなっています。
AEGはエジソンと関係あり
AEGの歴史は古くて創業は何と1883年、発明王エジソンが発明した
電球のドイツでの特許を取得したことがAEGの始まりです。
今まで海外の家電メーカーや家電ブランドについて色々調べてきましたが、
エジソンのような歴史上の人物が出てきたのは初めてですね。
ドイツにおける電球の特許を取得したエミール・ラテナウが、
AEGの前身であるドイツ・エジソン社(DEG)を設立します。
創業当初はモーターや発電機といった動力機器を電球とともに作っていましたが、
動力技術を応用した電化製品を開発します。
それがヘアドライヤーや掃除機で、
さらに冷蔵庫や乾燥機の開発にもAEGの動力技術が大きく貢献しているのです。
電球や動力技術を生かした電化製品によって、
AEGは瞬く間にドイツを代表する企業となります。
20世紀に入るとアメリカのGEと並ぶ世界的電機メーカーとなり、
ドイツ国内ではシーメンスとともに資本を独占するような状態となりました。
しかし第一次大戦の戦後処理でシーメンスに立場を取って代わられ、
第二次大戦時には統制経済に組み込まれてしまいます。
また第二次大戦時にAEGはほとんどの設備を焼失したものの、
軍需産業にも進出したことで1960年代にはV字回復を成し遂げます。
ところがベルリンの壁が崩壊してドイツが政治的にも経済的にも混乱している隙に
乗じて、アメリカやフランスの資本がドイツに進出してきます。
この流れにAEGも飲み込まれ、1989年にダイムラー・ベンツに買収されると同時にダイムラーとともにAEGコンツェルンは解体されてしまうのです。
AEGの各部門は切り売りされて、家電部門は1994年にスウェーデンの
電機メーカーであるエレクトロラックスに買収されました。
1989年にコンツェルンが解体されたことで電機メーカーとしてのAEGは消滅、
現在はエレクトロラックスの家電ブランドとしてAEGの名前を残すだけです。
エレクトロラックスはどんな家電メーカー?
現在AEGブランドを所有しているエレクトロラックスは
どんな家電メーカーなのでしょうか?
1919年にスウェーデンで創業、現在は世界150か国で年間5000万台以上の
製品を販売する世界的家電メーカーです。
小型家電から業務用の電化製品まで製造・販売しており、
年間の売上高は日本円にして1兆円を優に超えています。
日本にも進出しており、日本では空気清浄機や除湿器、掃除機といった
小型家電を中心に展開しています。
そう言えば、私が以前に自家用車の掃除用に購入した
コードレスハンディクリーナーがエレクトロラックスでしたね。
私の個人的な感覚ですが、ハンディクリーナーに関してはダイソンほど
高価ではなく手頃な価格だったように思います。
かつて東芝と提携していたこともありましたし、2013年にはコードレススティック
掃除機で日本シェア1位を獲得するなど日本市場にも浸透しています。
AEGはデザイン性も重視
AEGはデザイン性も重視しており、
見た目のスタイリッシュさもAEG家電の特徴の1つとなっています。
家電にデザイン性を世界で初めて取り入れたのがAEGと言われています。
20世紀初頭、まだ一般的な家庭では電化製品を使うのが当たり前でなかった
時代にAEGは工業デザイナーをデザイン顧問として迎え入れました。
工業デザインの父とも言われるペーター・ベーレンスをデザイン顧問として招聘、
魅力的なデザインの電化製品を世に送り出し続けたのです。
現代では「インテリアと調和したデザイン性の高さ」が家電にも求められていますが、
AEGは100年以上前にデザインの重要性に気付いていたわけです。
最近は一見しただけでは家電とは分からない製品も多く、デザイン性の高い
家電が当たり前のように製造・販売されているのはAEGのおかげと言えます。
AEGがデザインの重要性に気付いていなければ、
工業機械のような機械丸出しの家電を使うことになっていたかもしれませんね。
AEGにはどんな家電がある?
AEGがドイツなど日本以外でどんな製品を扱っているか分かりませんが、
日本ではキッチン家電と生活家電が中心です。
キッチン家電は
・電気オーブン
・クッキングヒーター(IH、ガス)
・食洗機
などで、生活家電は洗濯機です。
キッチン家電は基本的にビルトインタイプということもあって、
価格は他メーカーに比べると高めとなっています。
例えば、2口のIHクッキングヒーターの価格は約24万円です。
日本の大手電機メーカーの製品でも、
ビルトインタイプの2口のIHクッキングヒーターの価格は大体10万円前後です。
最上位モデルでも20万円以内で買えるので、
AEGのIHクッキングヒーターはかなり高めと言えます。
洗濯機も容量8kgのドラム式でAEGは40万円以上しますが、
日本の大手メーカーだと20万円台で購入できます。
エレクトロラックスの中でもAEGは高級ブランドの位置付けで、
価格は日本メーカーの製品の2倍ぐらいとなっているのです。
性能や機能を考えるとそれほど高額ではないのかもしれませんが、
庶民感覚からすると「高級家電」ですね。
AEGの家電が今後日本では使えなくなる?
AEGには日本法人があり、
日本向けに製造・販売されているAEGの家電があります。
一部家電量販店でもAEGの家電が販売されていますし、
AEGの公式サイトで購入することも可能でした。
ただ今後は日本でAEGの家電が買えなくなる可能性があります。
2024年9月にAEGが日本から事業撤退することが発表され、
2024年11月15日をもって商品の出荷が停止されます。
(https://euromobil.jp/news/info/10245/#:~:text=%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E5%AE%B6%E9%9B%BB%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%80%81AEG,%E6%9C%AA%E5%AE%9A%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)
家電量販店などでは在庫があれば購入可能だと思いますが、
AEGの公式サイトでは家電の購入ができなくなっているのです。
製品ページから「購入はこちら」へ進んでも問い合わせページに飛ばされるだけで、
購入手続きに進めません。
どうやらAEGブランドの所有者であるエレクトロラックスが
日本から撤退するとのことです。
2024年11月現在、公式発表はありませんが、2024年いっぱいで
エレクトロラックスが日本から撤退するのではないかと言われています。
エレクトロラックスやAEGが日本から撤退するということは、
日本向けの製品も作られなくなる可能性があります。
日本向けの製品が作られないということは、日本でエレクトロラックスやAEGの
家電を買ったり使ったりすることが難しくなるということです。
2025年の対応は未定
エレクトロラックスやAEGの2025年の対応は、
2024年11月時点で未定となっています。
現状でエレクトロラックスやAEGの家電を使っている人は注意が必要です。
サポートや修理を含めたすべての対応が未定となっているので、
使っている家電が故障した場合に修理窓口がどこになるか分かりません。
そもそも公式に修理対応してもらえるのかも分かりませんし、
メーカー保証がどうなるのかも分からないです。
エレクトロラックスほどの世界的電機メーカーがすべて放り出して
日本から出ていくとは考えにくいので、何らかの対応はしてもらえると思います。
ただ現状では対応は未定なので、
エレクトロラックスやAEGの家電を使っている人は注意してください。
今後AEGの家電は購入しない方が良い?
AEGが日本から撤退した以上は、
今後AEGの家電を日本で購入するのはおすすめできません。
今後AEGの家電を購入するのがおすすめできない理由は、
「日本向けの製品」が作られない可能性が高いからです。
家電量販店や公式オンラインストアでは購入できなくなりますが、
海外製品を専門的に取り扱う通販サイトなどではAEGの家電が購入できます。
ただAEGの家電に限らず、日本仕様になっていない海外メーカーの家電は
そのままでは日本で使えない可能性が高いのです。
アメリカメーカーの家電ならそのままでも使えるかもしれませんが、
AEGのようにヨーロッパメーカーの家電はそのままでは使えません。
アメリカと日本は、一般的に家庭で使われる電気の「電圧」はほぼ同じですし、
電化製品のプラグの形状も同じです。
日本の電圧は100Vでアメリカは110-120V、プラグ形状は日本もアメリカも
2本の板状の突起物が付いたAタイプと言われるものです。
電圧はアメリカの方が少し高いですが、
10-20Vぐらいの差なのでほとんど問題なく使えます。
ところがヨーロッパで一般的に使われている電気の電圧は220‐240Vで、
ドイツの電圧は230Vです。
2倍以上電圧が違いますから、230V対応の家電を100Vで使うと十分な性能が
発揮できず故障の原因となります。
またプラグの形状もヨーロッパは2本の棒状の突起物が付いたCタイプと
言われるもので、そのままでは日本の家庭用コンセントに接続できません。
今後AEGはヨーロッパをメインに展開するでしょうから、
日本から撤退した後に購入できるAEG家電はヨーロッパ仕様となります。
ヨーロッパ仕様の家電はそのままでは日本で使えず、昇圧変圧器や
パーツの交換など別途追加費用がかかることになるので注意が必要なのです。
まとめ
今回は「AEG(アーエーゲー)」について調べましたが、
AEGはかつて存在したドイツの家電メーカーでした。
現在はスウェーデンの世界的家電メーカー「エレクトロラックス」の
高級家電ブランドとなっています。
エレクトロラックスとともにAEGは日本にも進出しており、
家電量販店などでもAEGの家電が購入できました。
ただ2024年いっぱいでエレクトロラックスとAEGは日本から撤退するようで、
2024年11月現在は公式オンラインストアで家電は購入できなくなっています。
サポートや修理の対応についても未定となっていますから、
現在エレクトロラックスやAEGの家電を使っている人は注意してくださいね。