多くの女性の結婚相手の条件の1つが「年収500万円以上」ということもあり、年収500万円を目指しているビジネスパーソンも多いはずです。
日本人の平均から考えると年収500万円は決して高望みではないものの、現実的には「夢見すぎ」な部分もないわけではありません。
日本人の平均年収っていくらくらい?
国税庁の調査によると、2024年の給与所得者の平均年収は478万円となっています。(https://news.yahoo.co.jp/articles/3a27287e10f83f7d689697b4118cea6c90d16cb5)
日本人の平均年収が480万円程度だと考えると、年収500万円は少し夢見すぎな数字に見えます。
ところが、同じ国税庁の調査で正社員に限った平均年収を見てみると、2024年は545万円です。さらに男性の正社員に限ると、2024年の平均年収は600万円超となっています。
正社員だと男女合わせた平均でも年収500万円を大きく超えていますし、男性だけなら年収600万円を平均で超えています。そう考えると、年収500万円は決して夢見すぎな数字とは言えないのです。
ただ年齢別の平均年収を見ると、全体では平均で年収が500万円を超えるのは40代以上、男性だけだと30代以上となっています。年収500万円は決して夢見すぎな数字ではないものの、実際に年収が500万円を超えるにはある程度キャリアを重ねないといけません。
終身雇用・年功序列が当たり前の時代なら単に同じ会社に勤め続けるだけでも給料が上がったので、いずれは誰でも年収500万円に達しました。しかし終身雇用・年功序列が崩れ、ビジネスパーソンにもスキルが求められる時代になってきています。
そんな現状で500万円以上の年収を得ようと思ったら、何かしらのスキルを身に付けないと難しいのではないでしょうか。私のように他人に誇れるような特別なスキルを持っていないビジネスパーソンにとっては、年収500万円は夢見すぎな数字となってしまうのです。
年収500万円でも500万円は貰えない?
年収が500万円であっても、1年間に実際貰える給与の総額が500万円になるわけではありません。ビジネスパーソンに限らず働いて稼いだお金には、所得税や住民税といった税金がかかります。
給与所得者の経費にあたる給与所得控除が、年収500万円だと「500万円×20%+44万円」なので144万円となります。それ以外にも社会保険料控除や生命保険料控除、基礎控除、結婚していれば配偶者控除、子どもなど扶養者が居れば扶養控除も付きます。
独身だと配偶者控除と扶養控除は付かないので、諸々の控除を差し引いた課税所得額は200万円から240万円程度です。課税所得が200万円から240万円だと所得税率は5%となり、10万円から12万円程度の所得税を納めることになるのです。
住民税は所得額に関わらず一律10%なので、課税所得200万円から240万円だと住民税額は20万円から24万円程度となります。これ以外にも健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料なども差し引かれるので、年収500万円でも手取りは390万円ぐらいです。
年収500万円なのに、実際には500万円どころか400万円にも満たない金額しか手元には残らないのです。
年収500万円が夢見すぎと言われる要因
日本人の平均年収から考えると年収500万円は平均を下回っていますから、高望みとは言えません。しかし実際には年収が500万円を超えるのは夢見すぎとまでは言えなくてもかなりハードルが高いですし、手取りで年収500万円は完全に夢見すぎです。
では、平均を下回る年収500万円が夢見すぎと言われるにはどういった要因があるのでしょうか?
賃上げ停滞と物価上昇
年収500万円が夢見すぎと言われる最大の要因は、賃上げが停滞していることと物価が上昇していることです。
賃上げについては、2024年・2025年の春闘においていずれも賃上げ率5%以上の高水準を達成しています。ところがそれ以前を見ると、2022年の賃上げ率は約2%、1999年から2021年に至ってはほとんどの年で賃上げ率が2%を下回っています。
賃上げ率が5%だと年収が10万円以上増えることになりますが、1~2%台だと4万円5万円上がる程度です。この2年間は大幅な賃上げが達成されたものの、その前の約20年間はほとんど給料が上がりませんでした。
これまで給料が上がってこなかったわけですから、ベースとなる給与水準も低く抑えられてしまっています。この2年間で5%ずつ賃上げされたと言っても、スタートの年収が低いので500万円に達するにはそれなりに時間がかかってしまうのです。
また、物価上昇率が2023年以降大きくなっているのも問題です。
総務省の2020年基準の消費者物価指数によると、2023年末時点で105.6、2024年末時点で109.5、2025年10月時点で112.8となっています。2020年から給料は数%しか上がっていないのに、物価は2020年から10%以上も上がっているのです。
2020年以前は、約25年に渡って消費者物価指数が100を下回っています。要するに、2020年までは物価が上がらないどころか少し下がっていたぐらいなので、給料が上がらなくても生活が苦しいと感じることはありませんでした。
ところが、特に2023年以降は物価が急上昇していて、賃上げが物価上昇に追いついていないため、給与は実質的にダウンしている感覚になっているわけです。
物価上昇が続けばそれに伴って給料も上がるので、20代30代の平均年収が500万円に達することもあるかもしれません。しかし物価上昇率を考慮すると、年収の額面が500万円になっても、現在の年収300万円400万円と生活の質は変わらないことになってしまいます。
会社に忠誠を誓っても給料は上がらない
現在は「会社に忠誠を誓っても給料が上がらない」時代なので、年収500万円が高望みとされています。
昭和から平成の中頃にかけては終身雇用の年功序列の会社がほとんどでしたから、会社に忠誠を誓って勤め続ければ自然と給料が上がっていきました。私のような仕事があまりできない社員でも、勤続20年30年というだけで年収が500万円にも600万円にもなったのです。
しかし平成初期の1990年頃から終身雇用・年功序列を止める会社が出始め、令和が始まる頃には終身雇用も年功序列も崩壊したような状況となりました。(現在も終身雇用・年功序列を続ける会社はある)
年功序列が廃されて成果主義が取り入れられることで、会社に忠誠を誓って勤め続けても成果を上げないことには給料が上がらなくなっています。
さらにこの数年は日本の労働市場でも流動性が高くなってきており、キャリアップを求めて転職する人が増えています。会社側も、必要とするスキルを持った人材を外部から招くことを厭わなくなってきているのです。
要するに、必要とされるスキルを持っていないことには給料は上がらないし、キャリアアップを目的とした転職も難しいということです。
現状で他人とは違うスキルを持っているなら、いずれは年収500万円も夢ではないかもしれません。しかし現状で特別なスキルを持っていなければ、スキルアップやリスキリングをしない限りは年収500万円は夢見すぎです。
評価制度が公平でない
特に中小企業に多いのですが、社内の「評価制度」が公平でないことが年収500万円を高望みとさせている要因の1つとなっています。
年功序列が崩壊して成果主義を取り入れたとしても、これまでの「実績」や「貢献度」を成果として評価しているケースがあります。実績や貢献度を成果とされてると、勤続年数の長いベテランや目に見える成果を上げた社員だけが評価されて給料が上がることになるのです。
ベテランや目に見える成果を上げた社員のサポートやフォローに回った一般社員にまでは、給料アップの恩恵は回ってきません。一般社員のままではベースとなる給料が上がらず、年収を増やすには成果を上げて役職付になるしかないのです。
とは言え、社内の役職には限りがありますから、成果を上げたからと言って必ず役職付になれるとは限りません。同年代の同僚が評価されて先に役職付になってしまうと、自分はなかなか役職付になれず、年収500万円は夢のまた夢となってしまいます。
年収500万円を達成するにはどうすれば良い?
今の20代30代が年収500万円に達するには、どうすれば良いのでしょうか?
一般論としては、現在働いている会社や業界で役に立つ資格を取得したりスキルを身に付けたりして評価を上げることが勧められます。資格やスキルがあれば転職も可能ですから、キャリアップ転職で給料アップも見込めます。
収入の複線化
資格を取得したりスキルを身に付けたりと言うのは簡単ですが、実際には一朝一夕にはいきません。働きながら勉強するのは大変ですし、資格やスキルの勉強に熱中しすぎて仕事が疎かになるとかえって評価を下げてしまいます。
そこで、手っ取り早いのは収入を「複線化」することです。収入の複線化というと何か難しそうですが、簡単に言うと副業で稼ぐということです。
会社で副業が認められていないと無理ですが、最近は副業を認める会社も増えてきています。仕事終わりや休日など空いた時間に副業を行うことで、本業以外の収入を得て年収を500万円に近づけるわけです。
今働いている会社や業界ではあまり役に立たないけど、他の会社・業界では役に立つスキルを持っているなら副業で大きく稼ぐことも可能です。特にスキルを持っていなくても、最近はスキマバイトがありますから、空いた時間に軽作業などのバイトをすれば多少は稼げます。
ただ、副業で収入を複線化すると残業や休日出勤がしにくくなりますから、場合によっては出世を諦めなくてはいけません。
出世して年収500万円を達成するのであれば、副業なしで残業・休日出勤も厭わずに今の会社で働く方が良いでしょう。しかし特に資格もスキルも持っていないなら、出世は諦めて副業で収入を上乗せする方が年収500万円には近道です。
副業は小遣い稼ぎと割り切る
本業とは別に副業と行うのであれば、副業は「小遣い稼ぎ」と割り切った方が良いでしょう。
副業で本業並みに稼ぐのは難しいですし、副業で稼ぐ金額にノルマを課すと副業がストレスになってしまいます。ただでさえ本業で給料が上がらなくてストレスを感じているのに、副業でもストレスを感じると身体や心が壊れてしまうかもしれません。
身体や心を壊してまで年収500万円を達成しても意味がないです。副業はあくまで小遣い稼ぎ、本業で生活費をしっかり稼ぐと割り切って、できるだけストレスを感じないような働き方をすることが重要です。
税金や社会保険料を減らす
いくら仕事を頑張ったところで年収500万円は難しいですから、給料増やすのではなく出ていく方を減らす方向で考えるのも良いかもしれません。具体的に言うと、税金と社会保険料を減らして手取りを増やすのです。
個人事業主やフリーランスならともかく、会社勤めしているビジネスパーソンが税金や社会保険料を減らすのは簡単ではありません。しかしできないことでもありませんから、大幅に減らすことは難しくても現状より多少は減らせる可能性があります。
税金を減らすには控除を利用しますが、例えば「医療費控除」が使えます。1年間の医療費は生活費を共有する1家族あたり上限10万円となっており、医療費が10万円を超えた分は確定申告することで返ってくるのです。
医療費関係で言うと、「セルフメディケーション税制」も利用できます。薬局やドラッグストアで対象の医薬品を購入した金額が、1年間で12,000円を超えた分が控除となります。(上限88,000円、確定申告が必要)
医療費控除との併用はできませんが、通院や入院をしていない場合はセルフメディケーション税制の利用を検討すると良いでしょう。
「ふるさと納税」も税金を減らす方法として有効です。ふるさと納税の寄付金から2,000円を引いた金額が、翌年の所得税から控除されます。返礼品で食料品や日用品を貰えば生活費を抑えることにも繋がりますし、その上税金も減らせるので一石二鳥です。
会社勤めのビジネスパーソンが社会保険料を減らすのは難しいですが、方法が無いわけではありません。
毎年4月から6月の給与を元に、社会保険料を算出するための標準報酬月額が決められています。ということは、4月から6月の給与を低く抑えることで、社会保険料を減らすことが可能なのです。
フレックスなどで出勤日数を調整できるなら、4月から6月は出勤日数を減らすことで社会保険料を減らせます。出勤日数の調整ができないなら、4月から6月は残業や休日出勤をできるだけしないようにすれば良いでしょう。(なかなか難しいですが・・・)
確定申告が必要など、税金や社会保険料を減らすには多少手間がかかります。それでも、副業をせずとも給料が上がらずとも手取りを増やせますから、やってみる価値はありますよ。
まとめ
日本人の平均年収を考えると、年収500万円は決して夢見すぎな数字ではありません。しかし実際には、30年近くに渡って賃上げが停滞していてベース給が低く抑えられており、今後賃上げが続いても年収500万円は簡単ではないです。
特別な資格やスキルがあるなら、それを生かしてキャリアップすれば年収500万円も難しくありません。資格やスキルがないなら、副業で収入を増やす、税金や社会保険料を減らすといったことを考えると良いでしょう。